マインドフルネスでやめられない習慣が断ち切れるワケ

マインドフルネス

マインドフルネスでやめられない習慣が断ち切れるワケとはー『あなたの脳は変えられる』

マインドフルネスでやめられない習慣が断ち切れるワケ

刺激→行動→報酬というサイクルから脱け出すことは可能でしょうか?

前回の記事では、目の前の報酬に飛びついてしまうような、「わかっちゃいるけどやめられない」習慣から脱け出すためには、マインドフルネス瞑想の実践が有効かもしれない、ということについて主に述べました。

今回は、前回に引き続き、『あなたの脳は変えられる 「やめられない! 」の神経ループから抜け出す方法』(ジャドソン・ブルワー 著 久賀谷亮 監修・翻訳 岩坂 彰 訳 ダイヤモンド社)という一冊を取り上げながら、マインドフルネスでやめられない習慣が断ち切れるワケについて述べていきたいと思います。

 

SNSで「いいね!」されることを求めすぎたり、ギャンブルに溺れたり、美味しいスイーツを食べ過ぎたりしてしまう経験をお持ちの方は現代社会では当たり前のようにいらっしゃるのかもしれませんが、心の渇きを癒すために何を欲するかは人それぞれ違うとしても、実は報酬を求めて行動するというのは、ジャドソン・ブルワー氏が『あなたの脳は変えられる』のなかで述べているように、

「(1)食べ物を見る、(2)食べる、(3)おいしい。つまり、刺激→行動→報酬をリピートする」

という意外と「単純な話」なのかもしれません。

 

 最新のスマホゲームにはまっているとき、あるいは好みの味のアイスクリームに病みつきになるとき、私たちは、現在科学的に知られているかぎりで、進化上最も古くから受け継がれている学習プロセスを働かせている。人間はそのプロセスを無数の生物種と共有する。最も原始的な神経系を持つ生物でも同じだ。それは、報酬に基づく学習プロセスである。このプロセスは、基本的に次のように働く。

おいしそうな食べ物を見つけると、脳が「カロリーだ! 生き延びられるぞ!」と叫ぶ。そしてそれを食べ、味わう。おいしい。とくに糖を摂取したときには、身体が脳に「この食べ物を見つけた場所を覚えておくように」という信号を送り、経験と場所に基づく記憶として残していく(専門的には文脈依存記憶と呼ぶ)。こうして、次の機会に同じ手順を繰り返すことを学習するのだ。(1)食べ物を見る、(2)食べる、(3)おいしい。つまり、刺激→行動→報酬をリピートする。単純な話だ。

(ジャドソン・ブルワー『あなたの脳は変えられる』 岩坂 彰 訳 p35)

 

<わたし>のなかの「主観的なバイアス」とは?

<わたし>のなかの「主観的なバイアス」とは?

たとえば目の前にリンゴとバナナがあったら、同じ果物であるのに、どちらか好きなほうをたいていの場合、選んでしまうと思います。

リンゴかバナナを選ぶのに、無意識のうちに自分の好きなほうを選択するのは、たいした問題ではないかもしれません。

 

しかし、誰か知人からひどい言葉を浴びせられたり、教師や上司に叱責されたりして心理ストレスを感じたあとに、どのような行動を選択するか、といったことについてはどうでしょうか?

その際に考えられる選択肢は、相手への誹謗中傷をネット上に書き込んで仕返しをしたつもりになる、何もしないで黙っている代わりに、スマホのゲームや買い物、ギャンブルで憂さ晴らしをする、などがあり、「ストレス」に対してどのような行動をとるのかは人それぞれなのかもしれません。

 

 私たちはみな、ストレスの引き金になる何らかのボタンを持っている。そのボタンがどんなものであるかは、報酬による学習で身につけてきた人生への取り組み方(あるいは取り組まないやり方)でほぼ決まってくる。また、そのストレス因子が自分の生活や周囲の人間にどの程度影響するかえ、問題の重症度が決まってくる。

最も重症な側に依存症、つまり悪影響があるにもかかわらずやめられない学習がある。靴のひもを結ぶのは問題のない習慣だが、運転中のスマホは悪い習慣だ。ここで重要なのは、どのような行動を身につけるか、どのくらいのペースでそれを学習するか、どのくらい根深い習慣になるかは、報酬の中身次第という点だ。

(ジャドソン・ブルワー『あなたの脳は変えられる』 岩坂 彰 訳 p98)

 

ですが、基本的には、刺激→行動→報酬というサイクルなのであり、「ストレス」などの刺激を受けた時に、どのような方向へ進むのかは、自分自身が身につけてきた「習慣」によって決まるのです。

すなわち自分自身の「習慣」とは、ある意味、自分自身の「こだわり」や「主観」であり、自分にとって「A」と「B」、「C」の選択肢のうちのどれがより好ましいと感じられるかといったように、バイアス(偏り)のかかった眼鏡を通して世の中を見ることでもあるのです。

 

 主観的なバイアスの問題は、本書『あなたの脳は変えられる』の中心テーマの1つである。それゆえ、ここで少し立ち止まってこの問題を解きほぐしておこう。

ごく単純に言うなら、私たちは、1つの行動を繰り返せば繰り返すほど、世界について1つの決まった見方をするようになる。繰り返してきた行為がもたらす報酬と罰に基づいて、バイアスのかかった眼鏡を通して世の中を見はじめるのだ。私たちは生活の中でさまざまな習慣を身につけていくが、身につけた習慣的なものの見方が、ここでいう眼鏡である。

(ジャドソン・ブルワー『あなたの脳は変えられる』 岩坂 彰 訳 p42)

 

特定の眼鏡をかけて特定の見方で世界を見ることに慣れるに従い、眼鏡をかけているのを忘れ、いつしか私たちの身体の一部となり、それを通して見たものはすべて真実だと感じるようになる。

主観的バイアスは、ごく基本的な報酬学習のプロセスから生じるものであるため、食べ物の好みだけでなく、ほかのさまざまな面にも表れる。

(ジャドソン・ブルワー『あなたの脳は変えられる』 岩坂 彰 訳 p43)

 

 依存症的行動はどれもそうだが、反応は反復によって強化される。反復により抵抗のためのトレーニングをしているのだ。フェイスブックで「いいね!」を確認するたびに「私は良い」というバーベルを持ち上げ、刺激に反応してタバコを1本吸うたび、「私は吸う」という腕立て伏せをする。最近思いついた最高のアイデアを同僚にまくし立てるたびに、「私は賢い」という腹筋運動をしている。かなりのエクササイズである。

そしてあるとき、私たちは自分の正の強化や負の強化の(永続的な)ループを持続させている輪の中を走り回るのをやめる。それはたいてい、疲れ切ったときだ。あらゆる条件反応に食傷したとき、それでは何も得られないという事実に気づきはじめる。

立ち止まって人生を見つめ直すと、一歩下がったところから、自分が迷子になっていて、どこにもたどり着けない状況が見えてくる。コンパスを取り出して、間違った方向に向かっていたと気づくのである。ここでありがたいのは、自分でストレスをどう生み出しているかについて単純に注意を向ければ、つまり、ただマインドフルになれば、別の道に向かうトレーニングを始められることだ。

(ジャドソン・ブルワー『あなたの脳は変えられる』 岩坂 彰 訳 p304)

 

マインドフルネス瞑想でいつもの習慣をストップできる理由とは?

マインドフルネス瞑想でいつもの習慣をストップできる理由とは?

ところが、マインドフルネス瞑想を継続し続ければ、選択肢「A」「B」「C」のうち、いつもは「B」を選んでしまうとしても、その「B」を選ぶ前に、一度立ち止まることができるのです。

 

たとえば、知人にひどいことを言われてストレスを受けたときにどう行動するかで、選択肢「A」「B」「C」があったとします。

「A」・・・相手に自分が「傷ついた」ことを伝える。

「B」・・・我慢してあとで他の自分の好きなことで憂さ晴らしをする。

「C」・・・あえて何もしない。

 

このとき、普段だったらすぐに「B」を選んでしまうところを、マインドフルネス瞑想を実践することによって、一度立ち止まることができるようになるのです。

ここでいう「一度立ち止まる」とは、マインドフルネスによって自分の感覚に意識を向けたり、身体や心を観察したりすることです。

そのあとに「A」や「C」を選択できるかどうかは、自分次第ですし、ほかの「D」というより良い選択肢も思い浮かぶかもしれませんが、ここで述べたいのは、いつもの「B」を選んでしまう習慣が動き始めるのをストップすることができるということです。

 

このことを、ジャドソン・ブルワー氏は、「森の中で迷ったときは、立ち止まり、深呼吸をして、地図とコンパス」を取り出すことだと説明しています。

 

マインドフルネスとは、世界を今よりもはっきりと見ることだ。主観的バイアスのせいで道に迷い、同じ場所をぐるぐると回っているとき、マインドフルネスはそのバイアス自体に気づかせてくれる。その結果、自分がどうやって迷ったかが見えてくるのである。どこにもたどり着かない道を歩いていることにいったん気がつけば、そこで立ち止まり、不要な荷物を捨て、違う方角に歩き出せる。たとえて言うなら、マインドフルネスは、人生を歩む際に役立つ地形図となりうるのだ。

(ジャドソン・ブルワー『あなたの脳は変えられる』 岩坂 彰 訳 p52)

 

 森の中で迷ったときは、立ち止まり、深呼吸をして、地図とコンパスを取り出せと私は教わった。位置関係がわかり、方角がはっきりした時点で、初めて歩きはじめるべきなのだ。本能に反するやり方だが、私は実際、これで命拾いをしてきた(今でもこのやり方を守っている)。同じように、物事をはっきりと見極めつつ、それに反応せずにいることで、自分が不ー快をどのように悪化させているか、また、どうすればもっとうまく取り組んでそこから離れられるのかを学んでいけるだろう。

(ジャドソン・ブルワー『あなたの脳は変えられる』 岩坂 彰 訳 p53)

 

以上今回の記事では、前回に引き続き、『あなたの脳は変えられる 「やめられない! 」の神経ループから抜け出す方法』(ジャドソン・ブルワー 著 久賀谷亮 監修・翻訳 岩坂 彰 訳 ダイヤモンド社)という一冊を取り上げながら、マインドフルネスでやめられない習慣が断ち切れる理由について述べてみました。

 

現代は、何でも自由に選択できる時代といわれていますが、様々な選択を毎回本当の意味で自由に行っているかは、実は疑わしいのかもしれません。その理由は先程も述べたように、これまでの成長過程で築き上げられた「習慣」によって、機械的に選択しているかもしれないからです。

そういう意味では、SNSによる情報発信やオンラインショッピングなど、インターネットなどを通じてたくさんのことを選択できる時代においては、マインドフルネス瞑想の実践によって、いつもと同じ選択をしてしまう前に自分の感覚を確かめることで、本当にその選択が自分が幸せになるために最良なのか、一度立ち止まってみるのも良いかもしれません。

 

また、次の記事で述べていますが、マインドフルネスは自分のこだわりから距離を置くのにも役立つかもしれません。

 

 マインドフルネスを学べば、気づきと気遣いを深める生き方を身につけることができる。ドーパミンの分泌を求めて機械的にレバーを押し続けるよりも、あらゆる行動に注意を向けつつ、関わるものすべてを意識的に選択する生き方である。そのとき私たちは、浅い興奮に満たされるだけの人生ではなく、より幸せで健康的な人生を見出すだろう。

(ジャドソン・ブルワー『あなたの脳は変えられる』 岩坂 彰 訳 p325)

 

 

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