『見えない巨人―微生物』から発酵・病気・環境を考える。

腸内フローラ

『見えない巨人―微生物』から発酵・病気・環境を考える。

『見えない巨人―微生物』から考える「発酵」「病気」「環境」。

今回は、『見えない巨人―微生物』(別府輝彦 著 ベレ出版)という書籍を、令和の時代の健康と幸福を考えるために取り上げたいと思います。

当ブログでは他の記事で、『あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた』や『土と内臓』、『抗生物質と人間』など、微生物に関わる本を取り上げてきましたが、2015年に出版された東京大学名誉教授の別府輝彦氏の『見えない巨人―微生物』という一冊は、

  • 「発酵」
  • 「病気」
  • 「環境」

の三つの分野にまたがる微生物について読みやすく書かれています。

 

私たち人間を取り巻く微生物は、「発酵」「病気」「環境」の三つの分野において、私たちの生活そのものと深く関わっています。

ミクロの存在である微生物によって様々な恩恵を受けることもあれば、微生物によってあっけなく命を奪われてしまうこともあります。

そのため、この別府輝彦氏の『見えない巨人―微生物』は、微生物とは、「発酵」「病気」「環境」の三つの分野においてどのような存在であり、どのような働きをしているのか知るためには最適であるといえます。

 

(略)多様な種が混在している自然界では、同種の微生物のクローンの中だけでなく、異種の微生物同士も種の壁を越えて共生の環によって結ばれていると考えられるのです。(略)相互作用の環でつながっている微生物全体を、地球サイズの超個体とみなす考えには、必ずしも誇大妄想とはいえない真実が含まれています。

(別府輝彦『見えない巨人―微生物』 p28)

 

本書『見えない巨人―微生物』は、入門書としては少し難しいと感じるかもしれませんが、微生物の基本情報がうまくまとまっており、大変読みごたえがあります。

特に本書を通読すると、微生物が「共生」する存在であり、私たちには見ることのできない巨大なネットワークを築いているということが浮かび上がってきます。

 

別府輝彦『見えない巨人―微生物』 目次

1 微生物とは何だろう?(微生物は見えない生き物/微生物は巨大な生き物/微生物は多様な生き物/微生物と人間のかかわり)/2 発酵する微生物(発酵とは何だろう?/発酵という文化/新しい微生物、新しい発酵/次の世代に向かって)/3 病気を起こす微生物(歴史の中の感染症/病原体との戦い/新しい感染症の姿)/4 環境の中の微生物(環境を支える微生物/共生する微生物/集団としての微生物/地球環境と微生物)

 

ヒトのからだの健康や免疫のあり方は、微生物との共生が深く関係している。

ヒトのからだの健康や免疫のあり方は、微生物との共生が深く関係している

以前の記事でも述べましたが、私たちのからだに生息している腸内細菌については、増え過ぎたり減り過ぎたりすることなく、善玉菌・悪玉菌・日和見菌のバランスを維持することが大切だと思われます。

また、腸内細菌の集まりである腸内フローラのバランスを整えてより健康になるためには、腸内細菌の多様性が重要になってくるとされています。

さらに、そのほかの皮膚や口腔内に存在する微生物(常在菌)も例外ではなく、ヒトのからだの健康や免疫のあり方は、微生物との共生というものが深く関係しているのではないかと、本書『見えない巨人―微生物』を読むと考えさせられます。

 

それゆえ、21世紀の文明社会のなかで、ヒトという生命を良好に維持していくためには、私たち人間は微生物に対してどのように向き合い、どのような態度を取るのが正しいのかを、熟考しなければならないと感じます。

 

 感染症という微生物との戦いについて私たちが改めて理解しなければならないのは、ヒトが地球の生態系をつくり上げている無数の生物種の一つに過ぎないという当たり前の事実です。病原体すべてを根絶することはできるはずがありません。イヤでも共存しなくてはならない相手である病原体との間に、どのような平衡関係をつくり上げるかがいま問題になっているのです。

(別府輝彦『見えない巨人―微生物』 p185)

 

 微生物の生体についての研究はいま新しい時代を迎えています。そこで重要になるのは、微生物がほとんどあらゆる生物との間に張り巡らしている広い意味での共生関係と、集団としての微生物細胞の間で働く遺伝子と化学信号を介するネットワークの拡がりです。微生物はそれによって地球上のすべての高等動植物の生存を支えると同時に、これまで分散して生活していると考えられていた微生物自身も、寄り集まって信号を交わし、さらに遺伝子までやり取りし、代謝を共有しながら環境に適応して、生物の中でもっとも急速に進化し続けていることがわかってきました。このようにダイナミックに環境の中で活動している微生物の姿には、まさに「微生物とは何だろう?」の章の中ですでに使った、地球と共生する「超個体」の生物という言葉がぴったりするようです。

(同 p258~259)

 

 

当ブログ「ハチミツとミトコンドリア」ではハチミツの栄養効果とミトコンドリアのエネルギーで、令和の時代の真の健康と幸福の実現、現代病の問題の多くを解決する方法について考えています。ここまで記事を読んでくださり、ありがとうございます。


(なお、健康についてはそれぞれ個人差があり、誰にとっても100%正しい情報というのは考えにくいため、当ブログの記事内容については参考程度に止めておいていただければ幸いです)。

関連記事

  1. 病気にならない生き方

    酵素

    『病気にならない生き方』をこれからの健康のために読み直す。

    今回は『病気にならない生き方』(新谷弘実 著 サンマーク出版)…

  2. 人生を良い方向に変えるための『小さな習慣』とは?

    生活習慣

    人生を良い方向に変えるには『小さな習慣』が大切。

    どういうわけか何をやってもうまくいかない、と思い、気分が落ち込…

  3. 食品業界は今日も、やりたい放題

    食品添加物

    なぜ『食品業界は今日も、やりたい放題』なのか?

    当ブログでは令和の時代の真のヘルスケアについて述べていますが、…

  4. 苫米地式 聴くだけで脳からストレスが消えるCDブック

    ストレス解消法

    『苫米地式 聴くだけで脳からストレスが消えるCDブック』でストレス対策。

    今回は日頃の慢性的なストレスを「音」のチカラによって解消してい…

  5. はちみつ日和

    ハチミツ

    『はちみつ日和』はミツバチの幸せも願った一冊。

    当ブログではハチミツとミトコンドリアで真の健康を実現する方法に…

  6. 自由への旅 「マインドフルネス瞑想」実践講義

    マインドフルネス

    『自由への旅』はマインドフルネス瞑想を長く続けていくための一冊。

    今回は『自由への旅 「マインドフルネス瞑想」実践講義』(ウ・ジ…

特集記事

  1. 『マインドフルネスを「習慣化」する生き方 瞑想を続けるための3つの方法』
  2. 『腸内フローラ改善習慣で、腸を元気にする生き方 「腸内細菌のバランスを整える」とは目的ではなく「結果」だった』
  3. 乳酸菌より注目な「乳酸菌生産物質」の腸への効果とは?

オススメ記事

  1. RTRoomのルイボスティーは高品質でおすすめ。
  2. 脳の炎症がうつの症状を引き起こす?
  3. 『肥満を解消するためのマインドフルネス・ダイエット』Kind…
  4. 繰り返し練習し続けることがいつものパターンを変える。【いつも…
  5. 「生活習慣」はアトピーを治していくためのキーワード。

カテゴリー

『腸内フローラ改善習慣で、腸を元気にする生き方』Kindle で販売中です😊

ブログ内検索

Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Post Type Selectors

Copyright © 2024 copyrights.ハチミツとミトコンドリア All Rights Reserved.

 

amazonアソシエイトプログラムに参加しています。当ブログの記事には、訪問者様が製品またはサービスをamazonから購入した場合に、管理人が手数料を受け取ることがあるリンクが含まれています。

  1. <呼吸>によるマインドフルネス瞑想が、心身のバランスを整える。

    呼吸

    <呼吸>によるマインドフルネス瞑想が、心身のバランスを整える。
  2. 【ジャラハニーの効果・効能】ハチミツ生活のために知っておきたい。

    ハチミツ

    【知っておきたい】ジャラハニーの効果・効能とは? 2024年版
  3. 『はちみつ・ミトコンドリア・腸健康法 これからの免疫力を高める生き方』

    電子書籍

    『はちみつ・ミトコンドリア・腸健康法 これからの免疫力を高める生き方』のお知らせ…
  4. ヘンプシードの免疫系に作用する働き

    ヘンプシード

    ヘンプシードは未来の健康のためのスーパーフード。
  5. 『腸内フローラ改善習慣で、腸を元気にする生き方 「腸内細菌のバランスを整える」とは目的ではなく「結果」だった』

    電子書籍

    『腸内フローラ改善習慣で、腸を元気にする生き方 「腸内細菌のバランスを整える」と…
PAGE TOP