contents
今回は『「原始人食」が病気を治す ヒトの遺伝子に適合した物だけ食べよう』(﨑谷博征 著 マキノ出版)を、これからの健康を考え、日頃の食生活を見直すための一冊としてご紹介していきたいと思います。
医学博士・パレオドクターである﨑谷博征氏の『「原始人食」が病気を治す ヒトの遺伝子に適合した物だけ食べよう』を読むと、都市生活のなかで何気なく行っている食事というものを見直すきっかけが与えられるように思います。
このことに関して、本書においては、たとえば以下のように書かれています。
人類が動物性の食事を開始し、エネルギー摂取を高めた約260年前から、約1万年の農耕革命に至るまで、人類は同じ傾向の食事を続けてきました。1万年前に起こった農耕革命と動物の家畜化が、私たちの食事内容を激変させたのです。
人類の進化、遺伝子の適応化という大きなタイムスケールの中では、1万年という期間はまだほんの一瞬です。そう、1万年前から現代社会までのライフスタイルの激変に、遺伝子はまだ追いついていません。この不適合によって、肥満をはじめとした多くの慢性病はつくられているのです。
原始人食では、この二百数十万年続けてきた食事内容をベースに、そこに日本の伝統的な発酵食を取り入れました。
(『「原始人食」が病気を治す』 﨑谷博征 マキノ出版 p4)
狩猟・採集民族は、マンモスのような大きな動物からシロアリのような昆虫にいたるまで、無数の種類の獲物からたんぱく質を摂取していました。また、ビタミン、ミネラル、食物繊維、フィトケミカル(食物栄養素)など豊富な栄養素を含む100種類以上の食物やベリー類を摂取していました。
(『「原始人食」が病気を治す』 﨑谷博征 マキノ出版 p40)
とはいっても、これまで自分が行なってきた都市型の食生活を、いきなり狩猟採集時代に戻すというと、極端に聞こえるかもしれません。
また、普段からスーパーやコンビニエンスストアで食材を買うことが当たり前になっている方にとっては、この『「原始人食」が病気を治す』に書かれている内容を、いきなり実践するのは難しいと思われますし、どこか自分の中の常識が覆され、受け容れがたい部分も生じてくると思います。
しかし、本書では「原始人食」を始めるにあたって、
「①赤肉、鶏肉、魚介類、野菜、果物、日本の発酵食を食事の中心とする
②①の食事内容を8割方守る。」
という基本が提示されています。
「原始人食」を始めるためには、何から手をつけたらいいでしょうか?
これは、極めて簡単です。原始人食では、食事に含まれるエネルギー(カロリー)や糖質などを知るための面倒な計算は必要ありません。
基本ルールは、以下の2つです。
①赤肉、鶏肉、魚介類、野菜、果物、日本の発酵食を食事の中心とする
②①の食事内容を8割方守る。
この基本を守っていれば、自分の適性体重になります。多くの人は適正体重よりも体重があるために、体重は落ちていくことでしょう。
(『「原始人食」が病気を治す』 﨑谷博征 マキノ出版 p168)
といった指針が示されています。
原始人は、いちいち数字を気にしない。
また、本書『「原始人食」が病気を治す』では、「推奨する食品」「控える食品」「絶対に食べてはいけない食品」がリストアップされていますが、細かく制約されているカロリー制限や糖質制限によってストレスを溜める必要はありません。
なぜなら原始人は、いちいち数字を気にするカロリー制限や糖質制限を行っていないからです。
原始人食においても、やはり糖質はある程度制限します。しかし、患者さんが悩んでいる症状がかなり重症のものでない限り、厳格な糖質制限は行いません。大半の方は、糖質もある程度の量は摂ってよいことになっています。(『「原始人食」が病気を治す』 﨑谷博征 マキノ出版 p131)
また、原始人食では、ほんの一部を除き、新鮮な野菜や果物を摂ることをむしろ積極的に奨励しています。なぜなら、新鮮な野菜や果物には、ミネラルやビタミン、フィトケミカル(植物栄養素)など、健康を増進させる効果のあるものが豊富に含まれているためです。(同)
『「原始人食」が病気を治す』で、生活習慣病の原因になっている現代人の食生活を見直す。
私自身、実際に原始人食を実践できているのかといえば、自信をもって100%イエスということは出来ませんので、この本に書かれている食事法の内容を実践すれば必ず健康になれると、この記事を読んでくださっている方に押しつけるつもりはありません。
しかし、この﨑谷博征氏の『「原始人食」が病気を治す』は、生活習慣病の原因になるような現代人の食生活を見直すとともに、自分のなかの食生活についての常識を疑うきっかけを与えてくれる一冊であるように感じられるのです。
食生活や健康法に関しては残念なことに、「常識」や「正しい」とされていることの多くが、実は一部の企業やマスメディアによってお金儲けのために作られている可能性が高いのです。
また、健康に関しては「~すれば必ず健康になれる」ということは難しいと思われますので、本書『「原始人食」が病気を治す』に書かれている内容も、100%正しいと思って読む必要はないと思いますが、本書はこれまでの自分の食生活を見直したり考え直したりするという点では、非常に役立つ一冊だといえます。
ちなみに、この『「原始人食」が病気を治す』は、2013年に出版されていますが、本書では、近頃深刻な問題になってきている「リーキーガット症候群」や「慢性炎症」についても言及されています。そのため、生活習慣病の多くやアトピー性皮膚炎・アレルギーなどに悩んでいる方にもオススメです。
また、著者の﨑谷博征氏の近著には、「健康常識パラダイムシフトシリーズ」として、『「プーファ」フリーであなたはよみがえる! 生命場を歪ませるアルデヒド』(鉱脈社)や『病は「リポリシス」から 生体内核爆発リポリシス』(風詠社)、『糖尿病は砂糖で治す!』(鉱脈社)などがあり、こちらも、これまでの健康常識を覆すような大変興味深い内容になっています。