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長引くコロナ禍でお金が悩みが尽きない、だけどどうしたらいいか分からない・・・そんな時こそ、価値主義に生きることで、お金という価値観を超えた生き方を実践してみませんか?
今回は、今こそ読みたい『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』(佐藤航陽 著 幻冬舎)を取り上げ、そのなかの「価値主義」について述べていきたいと思います。
『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』はお金に対する価値観を刷新する非常に魅力的な一冊ですが、本書のなかで述べられている「価値主義」という考え方は、資本主義に次にやって来る経済モデルとして、たいへん納得のいくものだといえます。
では『お金2.0』の著者である佐藤航陽氏が述べる「価値主義」とは何でしょうか?
佐藤航陽氏は、『お金2.0』のなかで、この「価値主義」について、
資本主義上のお金というものが現実世界の価値を正しく認識できなくなっています。今後は、可視化された「資本」ではなく、お金などの資本に変換される前の「価値」を中心とした世界に変わっていくことが予想できます。
私はこの流れを「資本主義(capitalism)ではなく「価値主義(valualism)」と呼んでいます。2つは似ているようで別のルールです。資本主義上で意味がないと思われる行為も、価値主義上では意味がある行為になるということが起きます。
(佐藤航陽『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』 p162~163)
と述べています。
また、世の中で使われている「価値」という言葉を、
①有用性としての価値・・・有用性・有益性・実用性など、役立つかどうか、としての価値。
②内面的な価値・・・「愛情・共感・興奮・好意・信頼など」、「個人の内面にとってポジティブな効果を及ぼす」価値。
③社会的な価値・・・「個人ではなく社会全体の持続性を高めるような活動」などの価値。
に分類し、
「資本主義の問題点はまさに①の有用性のみを価値として認識して、その他2つの価値を無視してきた点にあります」としたうえで、
価値主義で扱う価値とは、①有用性としての価値だけではなく、②人間の内面的な価値や、③全体の持続性を高めるような社会的な価値も、すべて価値として取り扱う仕組みです。
(p169)
としています。
つまり、資本主義において価値があるモノとは、有益性や実用性があるものだけを基本的に意味しましたが、資本主義の後にやってくるであろう価値主義においては、人間の内面や社会的な活動など、<お金にならない価値がある>とされてきたものも、価値として取り扱われるということなのです。
お金は「価値を媒介する1つの選択肢」に過ぎないワケ。
さらに佐藤航陽氏は、『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』のなかで、
「資本主義が考える価値があるものと、世の中の人の考える価値あるものの間に大きな溝ができており、それが多くの人が違和感を持つ原因です。」(p154)
とし、
「つまり、今起きていることは、お金が価値を媒介する唯一の手段であったという「独占」が終わりつつあるということです。価値を保存・交換・測定する手段は私たちがいつも使っているお金である必要はなくなっています。」(p155)
とも述べています。
このことは、資本主義においては有用性・実用性のある商品が、お金によって交換されてきましたが、価値主義においては、「価値を保存・交換・測定する」のに、必ずしもお金が必要であるわけではない、ということを意味しているように思います。
あらゆる「価値」を最大化しておけば、その価値をいつでもお金に変換することができますし、お金以外にものと交換することもできるようになります。お金は価値を資本主義経済の中で使える形に変換したものに過ぎず、価値を媒介する1つの選択肢に過ぎません。
(佐藤航陽『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』 p165)
価値主義に生きるとはどういうことか?
ここまで『お金2.0』のなかで述べられている「価値主義」をご紹介してきましたが、モノ(商品)ではなく、若い世代を中心に、刺激的な体験や感動体験に惜しげもなくお金を払うことは、もはや珍しくありません。
そして、これからの時代は、「価値主義」に生きることが大切になってくると思われます。
なぜなら、「価値主義」に生きるとは、お金を超えた価値に生きることを意味するからです。
そもそも、私たち人間のみならず、動物など、ありとあらゆる生命は、生きているだけでお金に換算できない、お金を超えた価値を有しているといえます。
また人生のなかの様々なかけがえのない体験や培った経験は、簡単にお金に換算できるものではありません。
しかしこれまでは資本主義という暗黙のルールのなかで、人間は当たり前のように「資本」や「人材」と見なされて、ある意味、物やお金を生み出すための部品のように扱われてきました。
ですが、資本主義が行き詰まると共に、人生の生きがいを喪失して、意識的にせよ無意識的にせよ、お金を目的にして働くということ自体に生きづらさや息苦しさを感じている人は多いと思います。
ところが、価値主義においては、電子マネーや仮想通貨を含め、お金とは価値を交換するための手段にすぎないので、お金やお金を得ること自体には、たいした意味も価値もないのだと思われます。
つまり、価値主義に生きるとは、お金という価値観を超えた生き方を実践するということなのです。
そしてそのためには、お金に対する見方をアップデートすることが必要なのです。
人生の意義や目的とは欠落・欲求不満から生まれるものですが、あらゆるものが満たされた世界ではこの人生の意義や目的こそが逆に「価値」になりつつあります。
この流れはさらに加速していき、人間は物質的な充足から精神的な充足を求めることに熱心になっていくことは間違いありません。これから誰もが自分の人生の意義や目標を持てることは当然として、それを他人に与えられる存在そのものの価値がどんどん上がっていくことになります。
(佐藤航陽『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』 p217)
お金に対する見方を変えるのは簡単ではない。
しかし、自分自身のお金の見方をアップデートするというのは、簡単ではありません。
なぜなら、頭のなかでは「お金が全てではない」「一万円札はただの紙切れにすぎない」と思っていたとしても、想定外の金銭的報酬を得ることで大喜びしたり、何かをきっかけにもし自分の手持ちのお金が全て失われ、そのことで、恐怖心や不安感が増大したりするのであれば、無意識のレベルで、「価値」ではなく、物質としてのお金をこのうえなく重要視していることになるからです。
このことに関して、たとえば「第4章「お金」から解放される生き方」の以下の一節は、お金についての悩ましい一面を非常によく表していると思います。
本当にお金や経済が作り出す課題を解決したいと考えるのであれば、お金に自らがくっつけている「感情」を切り離して考えなければなりません。お金や経済が持つ特徴を理解した上で、それらを自分の目的のために「ツール」として使いこなす訓練が必要なのです。
たくさんのお金を動かしている人ほどお金が好きな拝金主義者や守銭奴のような印象を持っている人がいますが、実際は全くの逆です。よりたくさんのお金や経済を動かしている人ほど、お金を紙やハサミやパソコンと同様に「道具」として見ています。そこに何の感情もくっつけていません。純粋に便利な道具という認識を持っているからこそ、それを扱う時も心は揺れませんし、冷静に判断をし続けることができます。
一方で、お金がうまく扱えず困っている人ほど、お金に特別な感情を抱いていることが多いです。私もそうでした。それがないことによって起きる困窮や不安から、お金に感情をくっつけてしまい、道具以上の意味を感じてしまいがちです。お金や経済を扱うためには、お金と感情を切り離して1つの「現象」として見つめ直すことが近道です。
(佐藤航陽『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』 p257)
お金に対するマインドを変えることが価値主義につながる。
つまり、不安に限らず喜びなど、お金に何らかの感情がくっついてしまうと、お金をただの道具と冷静に見なすような、お金に対しての適切な距離を保てなくなるのです。
したがって、お金への見方をアップデートするために必要なのは、佐藤航陽氏が述べている通り、
「お金と感情を切り離して1つの「現象」として見つめ直すこと」
なのです。
ちなみに私自身も近頃お金について悩むことが多いですが、お金を自分の感情と切り離して扱うということは非常に重要であると痛感します。つまりお金がないことに対して不安になればなるほど、お金をうまく扱うことが出来なくなるのです。
そして資本主義経済に浸かれば浸かるほど、お金による呪縛から逃れるのは難しくなりますが、やはりお金自体に意味や価値はなく、結局お金というものは、自己実現やお金を超えた価値を創造するための手段に過ぎないのです。
すなわち、お金に対するマインド(心の持ちよう)を変えることが、価値主義の実践につながっていくのです。
これまでは、資本主義という1つの大きな枠組みの中で競争するのがセオリーでした。それはより多くの資本を積み上げた人間がより多くの力を得るという世界でした。
これからは価値という観点から、自分なりの独自の枠組みを作れるかどうかの競争になります。枠組みの中の競争ではなく、枠組みそのものを作る競争です。そのためには自分の興味や情熱と向き合い、自らの価値に気づき、それを育てていく。そしてその価値を軸に自分なりの経済圏を作っていく。
(佐藤航陽『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』 p231)
『お金2.0』を読むだけでおカネに対する狭い見方をアップデート。
以上ここまで、佐藤航陽氏の『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』(幻冬舎)について述べてきましたが、本書はこれからの未来をよりよく生きるために、お金についての悩みや息苦しさを抱えている方にとっては必読の一冊だといえます。
なぜなら、まずは読むだけでお金に対する狭い見方をアップデートできるからです。
そのため本書『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』の内容が気になる方は、ぜひ実際に手に取り、繰り返し読んでみることで、行き詰っている<お金>に対する見方を変えてみていただきたいと思います。
そうすれば新型コロナウイルスで生じた問題で経済的につらい思いをされていたとしても、何か発想の転換につながるかもしれません。
なお、この記事は2018年に書いたものに加筆・修正をほどこしたものですが、「価値主義」という考え方こそ、長いコロナ禍を経た今こそ、必要になってくるように思います。
またこの本を読んでから約5年が経過しましたが、お金そのものではなく、「価値」というものを大切にすると、結果としてお金の流れが良くなるようにも個人的には思います。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます(^^♪