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ネガティブではなく「ポジティブ」な感情に注目することで、これからの免疫力を高める生き方、始めてみませんか?
以前の記事で、ポジティブではなくネガティブな思考ばかりに苛まれてしまうのかということについて述べましたが、日常生活の中でポジティブではなくネガティブな思考や感情に支配されることが多ければ多いほど、ストレスの長期化によってストレスホルモンのバランスが崩れ、免疫力が低下してしまいます。
では反対に、一日のうちでポジティブな気分になることが多ければ、その分、免疫力がアップしたり、病気にかかりにくくなったりするのでしょうか?
このことについては、答えはイエスだと言えそうです。
たとえば、政治哲学や公共哲学が専門の小林正弥氏は『ポジティブ心理学』のなかで、マーティン・セリグマン博士のポジティブ心理学の研究を取り上げて以下のように述べています。
「楽観性」は心血管疾患の罹患率や死亡率の低さと強い関係があるし、明るい気分は風邪やインフルエンザの感染症にかかりにくいことと強く関係している。つまり、心のあり方は身体的な健康に深く関わっており、総じてポジティブ(プラス)な心理状態にある人は健康なのだ。この研究成果が持つ意味は大きい。ポジティブ心理学の重要な成果として、楽観的である「心」の状態が「健康」という客観的事実を呼び寄せる可能性が高いことが明らかになったからだ。
小林正弥『ポジティブ心理学 科学的メンタル・ウェルネス入門』 25‐26頁
またポジティブな心の状態を研究している心理学者で、マーティン・セリグマン博士の弟子でもあるバーバラ・フレドリクソン博士は、『ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則』のなかで、
「ポジティビティが健康を改善するというのは、客観的な数字にもはっきり現れています」
と述べ、
- ストレスホルモンの減少
- 免疫機能の向上
- 炎症反応の軽減
- 苦痛の軽減
などを挙げています(1)。

バーバラ・フレドリクソン『ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則』
さらにドイツのロバート・ハシンガー医師は、『「病気」と「健康」の法則』のなかで、「感情がポジティブになると呼吸が変わって体内の酸素が増え、毒素が減少」するとうえ、脳の働きも良くなるため、「ポジティブな感情をもつことは、呼吸量を増やすためにも、生活の質を上げるためにも、非常に効果的」であると述べています(2)。
そのため、日々の生活において物事をネガティブに捉えてしまうことが多いという場合は、あえてポジティブであることを意識することが、免疫力のアップのためにより重要になってくるように私自身は思うのです。
ポジティブ感情とポジティブシンキングは違う。
しかしここでいう「ポジティブであることを意識する」とは、一般的な楽観思考、「ポジティブシンキング」のことではありません。
このことに関して、バーバラ・フレドリクソン博士は『ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則』の中で、「ポジティビティ」(自己肯定的な心の状態)というものについて、
「ポジティビティは、「笑顔で耐えよう」とか、「心配するのはやめよう。いつも機嫌よくしていよう」などというモットーのようなものではありません」
とし、
「ポジティビティは人間心理のもっとずっと深いところを流れるもので、感謝、愛情、楽しみ、喜び、希望、感動など、幅広い肯定的な感情を含んでいます」
と説明しています。
ここで重要なのは、ポジティブであることには、「感謝、愛情、楽しみ、喜び、希望、感動」といった幅広い感情が含まれているということです。
またロバート・ハシンガー医師も「ポジティブな感情とメンタルによるポジティブシンキングは違う」と述べています。
その理由は「感情の動きには体全体が関与」しますが、「メンタルの動きには肉体がまったく参加しないから」であるといいます。
そして「メンタルというのは、肉体から独立して、脳のなかだけで完結できる機能」であるため、「ただポジティブシンキングをするだけでは、肉体にいい影響を及ぼすことはできない」としています。
免疫力アップのためにはポジティブな「感情」が重要。
すなわち免疫力アップのためには、どんな状況でもただ前向きに考えるようにするのではない、ポジティブな「感情」が重要になってくるということなのです。
具体的には、「心地がいい」「うれしい」「楽しい」「ありがたい」「喜ばしい」「ワクワクする」など、自然に湧き出てくる暖かい気持ちが、頭ではなく自分自身のからだで実感できることです。
このことが、健康維持や免疫力アップのためにとても大切なのです。
注釈
1 『ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則』 バーバラ・フレドリクソン 著 高橋由紀子 訳 日本実業出版社
ポジティビティが健康を改善するというのは、客観的な数字にもはっきり現れています。ポジティビティ比が高くなると、ストレス関連のホルモンが減ります。また成長ホルモン、オキシトシン(神経伝達物質)のレベルが上がります。ポジティビティはまた、ドーパミン(神経伝達物質)やオピオイド(脳内麻薬物質)をより多く放出させ、免疫機能を高めます。また炎症反応を軽減します。
ポジティビティによって、体内の生化学のバランスがすっかり変わります。血圧が下がったり、苦痛が軽減されたり、風邪を引きにくくなったり、よく眠れるようになったりするのも当然のことなのです。
「さまざまな病気にかかる確率が低下する」ことも証明されています。高血圧、糖尿病、心臓発作も起こりにくくなります。寿命が長くなる傾向も確認されています。(145頁)
2 『「病気」と「健康」の法則』 ロバート・ハシンガー 著 サンマーク出版
感情がポジティブになると呼吸が変わって体内の酸素が増え、毒素が減少してきます。神経細胞同士の接続もうまくいくようになるので、脳の働きもよくなり、感情をコントロールしている部位も生理的に安定してくるでしょう。その結果、毎日を楽しく暮らせるようになって生活の質が上がります。ポジティブな感情をもつことは、呼吸量を増やすためにも、生活の質を上げるためにも、非常に効果的なのです。(146‐147頁)
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます(^^♪
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