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当ブログでは人生100年時代の真のヘルスケアについて述べていますが、今回は、慢性炎症は生活習慣病の原因になるということについてです。
病気をせずにいつまでも健康に暮らしたい、ということは誰もが望むのかもしれませんが、がんやアトピー、認知症だけではなく、肥満や糖尿病、動脈硬化などの心血管病など、「生活習慣病」と呼ばれるものの多くは、文字通り、私たちのライフスタイルの変化と、深く関わっています。
では、そのような生活習慣病の原因は何かといえば、食生活の変化やストレス、運動不足、食品添加物や有害な化学物質の蔓延などが挙げられます。
そのため、生活習慣病を予防したり改善したりするためには、食生活を見直したり、適度な運動を行ったりすることが大切だと言われています。
しかし「生活習慣病」には実は「慢性炎症」が関わっていると、金子義保氏は『炎症は万病の元』のなかで述べています。
最近の医学は、環境中の「免疫かく乱物質」が私たちの体内に軽い「慢性炎症」を引き起こし、生活習慣病を作り出している、ということを明らかにしています。この慢性炎症は、くすぶり型の軽い炎症で、動脈硬化、肥満、糖尿病などの原因となる「代謝炎症」あるいは「自然炎症」、がんやうつ病を引き起こす炎症、老化に伴って進行する「加齢炎症」などを包括する新しい概念です。この慢性炎症と、気管支炎、胃腸炎などの、普通に見られる急性炎症を合わせた広い意味での「炎症」は、生体が内外の危険因子を排除するための基本的な防御機構の発現であり、遺伝性疾患を除くほとんどの病と関連しています。
(金子義保『炎症は万病の元 生活習慣病の真実、医療の現実』p2)
「炎症」とは、皮膚が赤くなるなど、生体が傷害を受けた際に起こる反応のことで、簡単に言えば、体内で起きる火事のようなものです。そしてこの炎症には「急性炎症」と「慢性炎症」があります。
炎症には急性炎症と慢性炎症とがあります。急性炎症は、病原物質を排除して組織を元の状態に回復させる復旧型防御システムです。慢性炎症は組織の改変に伴うもので、適応型防御システムと考えられています。うまく適応できなければ組織や臓器の機能が失われ、生物固体はこの世から退場させられることになります。
(金子義保『炎症は万病の元 生活習慣病の真実、医療の現実』p62)
「慢性炎症」の問題点とは?
また、医学博士であり前北里大学の教授でもある熊沢義雄氏の『ガン、動脈硬化、糖尿病、老化の根本原因 「慢性炎症」を抑えなさい』では、「慢性炎症」が続くことの問題点が幅広く指摘されています。
急性炎症と慢性炎症には、医学上、はっきりとした線引きはないのですが、おおよそ、1週間ほどで治まる一時的な炎症は、急性炎症と考えておいてください。たとえば、ハチに刺されてその部分が腫れ、数日で治まる炎症など、一過性の刺激によって起きる炎症は、これにあたります。胃炎や腸炎でも、たまたま悪いものを食べて一時的にお腹を壊した場合などは、急性炎症といえます。
(熊沢義雄『「慢性炎症」を抑えなさい』p22)
これに対して、同じ場所で何度も繰り返される刺激によって長い間起き続けている炎症は、慢性炎症といえます。たとえば、アレルギーで常に鼻の調子が悪く、粘膜が腫れている場合や、歯周病などでずっと歯茎が腫れている場合などは、慢性炎症といえます。
繰り返しますが、慢性炎症とは、同じ部分がずっと炎症を起こしている状態です。長くなったり悪くなったりを繰り返していることもあれば、だいたいいつも悪い状態のままというケースもあります。
(熊沢義雄『「慢性炎症」を抑えなさい』p22~23)
いずれにせよ、慢性炎症を起こしている部分は、どうしてもその組織が少しずつ傷んでいく運命にあります。体内の組織が傷んだということは、その部分が老化した、あるいは病気に近づいたということです。ですから、若さと健康を保つためには、慢性炎症をできるだけ少なくするにこしたことはないわけです。
中でも問題なのは、「炎症を起こしている」という自覚症状が比較的少ないにもかかわらず、長年にわたって体内で起き続けているタイプの慢性炎症です。
(熊沢義雄『「慢性炎症」を抑えなさい』p23)
ストレスが慢性炎症を引き起こす。
特にストレスによって活性酸素が増えすぎてしまうことは(酸化ストレス)、ミトコンドリアの機能低下をもたらすだけではなく、この慢性炎症とも深い関係があるようなのです。
加齢やストレス、紫外線、そのほか、喫煙や化学物質などさまざまな影響によって抗酸化力が落ちてくると、体内で起きる酸化と抗酸化のバランスが崩れ、酸化はどんどん進んでしまいます。
こうなると、体内で増え過ぎた活性酸素によって正常な細胞がダメージを受けることになり、からだのあちこちで小さな炎症が次々と起きてしまうのです。
実際、活性酸素が増えることで慢性炎症が引き起こされ、それが結果的にガンやアルツハイマー病など、さまざまな病気につながっていることが、近年の研究で明らかになってきています。
(熊沢義雄『「慢性炎症」を抑えなさい』p26~27)
慢性炎症を防ぐための生活習慣とは?
そのため、
などによって、余計なストレスを減らすような対策や、食生活の改善、運動不足の解消などを、慢性炎症を防ぐという目的で行っていくことは、これからますます増えていくであろう「生活習慣病」の予防対策として、重要になってくるように思います。
そして、慢性炎症を防ぎ、「生活習慣病」の予防するための生活習慣とはやはり、ミトコンドリアを元気にするための生活習慣でもあるのです。