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「毎日頑張ったおかげで立ち上げた事業の年収が2000万円を超えて成功できた私って、スゴイ!」
偉大な業績など、何かを成し遂げたとき、そう思うことがあるかもしれません。
仕事で結果を出した。
難しい資格の試験に合格した。
長年の夢をついに実現した。
以前の自分にはできなかったことが、できるようになった。
そんなとき、「よく頑張ったね。私ってスゴイ!」と、自分を認めることはとても大切です。
ところが、ここで少し不思議なことが起こります。その「スゴイ私」を、よく観察してみる。
すると、その「私」の中には、実は「私ではないもの」がたくさん含まれているのです。
「あれ?」
では、「私ってスゴイ」の「私」とは、一体誰なのでしょうか?
そして、なぜ成功者ほど「私は運が良かった」「成功できたのはみなさまのおかげです」と言うのでしょうか?
「私」は、本当に私だけでつくったものなのか?
たとえば、あなたが何か大きな仕事を成し遂げたとします。
「自分が努力したから成功した」
これはもちろん事実でしょう。努力したのは、あなたです。
眠い日にも徹夜して勉強した。
失敗しても諦めなかった。
出来るようになるまで繰り返し何度も練習した。
自分自身を信じて行動し続けた。
だから、「自分はよく頑張った」と言っていい。むしろ、言ったほうがいい。
しかし、ここから少しだけ視点を広げてみます。
その「努力できる自分」は、どこから生まれたのでしょう?
- あなたに何かを教えてくれた人はいませんでしたか?
- 励ましてくれた人はいませんでしたか?
- 失敗したときに支えてくれた人はいませんでしたか?
- あなたが学んだ知識や技術は、誰かが残してくれたものではありませんでしたか?
- 仕事をするための社会やインフラは?
- 食事をつくってくれた人は?
- あなたが今日使っている言葉そのものは?
- そして、そもそも生命を維持するための空気や水や食べ物は?
こうして見ていくと、「私が頑張った」という出来事の背後には、無数の「私以外」が存在しています。
つまり、「私の成功」という一見個人的な出来事も、実際には巨大な関係性のネットワークの中で生まれているのです。
「私」は一人では完成しない
ここに、非常に重要な問いがあります。
「もし、他者との関係を全部取り除いたら、私は何者なのだろう?」
名前もない。言葉もない。知識もない。文化もない。誰かから学んだ経験もない。
社会もない。自然もない。食べ物もない。水も空気もない。
そんな状態で、「私」という存在だけを取り出すことができるでしょうか?
おそらく不可能です。
なぜなら私たちは、最初から関係性の中に存在しているからです。
親との関係。家族との関係。友人との関係。
社会との関係。自然との関係。過去との関係。未来との関係。
そして、自分自身との関係。
「私」は、こうした無数の関係性が交差する場所に現れている。
だから、「私」という存在は、孤立した点ではなく、関係性の結節点なのです。

「私ってスゴイ!」の中に「みなさま」がいる
ここで、最初の言葉に戻ってみましょう。
「私ってスゴイ!」
この言葉を否定する必要はありませんし、自己評価を上げるためにも重要です。
むしろ、「私ってスゴイ!」と思えることは、とても健全な自己肯定です。
「私って駄目なやつだ」と自己否定感に苛まれるよりも、「私ってスゴい」と思えるほうがメンタルを良好に保つうえでは良いのです。
問題は、「私」をどこまで広く捉えるかです。
狭い「私」なら、
「全部、自分一人の力でやった!」
となります。
しかし、関係性としての「私」を見つめると、
「私は本当によく頑張った。
そして、ここまで来られたのは、たくさんの人や環境や出来事に支えてもらったからだ。」
となる。
そして、そこから自然に、
「みなさまのおかげです」
という言葉が出てきます。
これは謙遜ではありません。自己否定でもありません。「自分なんて大したことない」という意味でもありません。
むしろ反対です。
「私」という存在の大きさを、本当に理解した結果として出てくる言葉なのです。
「みなさまのおかげ」は、自己否定ではない
ここは、とても大切なポイントです。
「みなさまのおかげです」と言うと、「自分の努力を否定しているのでは?」と思うかたもいるかもしれません。
しかし、そうではありません。たとえば、一本の木を想像してください。その木は、「私は自分の力でここまで大きくなった!」と言うでしょうか?
もちろん、木自身の生命活動はあります。根を伸ばし、枝を伸ばし、葉を広げる。
しかし、土がなければどうでしょう。水がなければ?太陽がなければ?空気がなければ?
微生物や他の生命との関係がなければ木は存在できません(インタービーイング)。
だから、
「私が成長した」ことと、「多くのものに支えられている」ことは、矛盾しないのです。
むしろ同時に成立します。
人間も同じです。
「自分が頑張った」と「みなさまのおかげ」は、二者択一ではありません。
両方とも真実なのです。

本当の自己肯定とは、「自分だけ」を大きくすることではない
ここで、自己肯定についても考え直すことができます。
「私はスゴイ!」という自己肯定を、「私は他人より優れている」という比較にしてしまうと、どうしても苦しくなります。
その理由は上には上がいるからです。競争で誰かに勝っても、また次の競争が始まります。SNSを見れば、自分よりもっと成功している人がいる。もっと稼いでいる人がいる。自分よりもっと美しいと思う人がいる。もっと才能のある人がいる。
つまりいくら比較してもキリがないのです。
すると、「私は本当にスゴイのだろうか?」と、自己評価が揺れ始めます。
しかし、「私=関係性の中で生まれている存在」と捉えると、自己肯定の意味が変わります。
私は、誰かと比較して価値があるのではない。
私は、私を取り巻く無数の関係性の中で、かけがえのない存在として生きている。
だから、「私ってスゴイ」とは、「私一人がスゴイ」という意味ではありません。
むしろ、
「こんなにも多くのものとの関係性の中で、私はここまで生きてきた。これはスゴイことだ」
という意味になるのです。
「ありがとう」は、関係性に気づくための言葉
だからこそ、「ありがとう」という言葉も深い意味を持っています。
ありがとう。もともと「あることが難しい」という意味だとされるこの言葉は、「私は一人で生きているわけではない」と気づいたときに生まれます。
誰かに支えてもらった。誰かから学んだ。
誰かに愛された。誰かと出会った。
誰かとの関係によって、自分が変わった。
そうした事実に気づいたとき、
「ありがとう」
という言葉が自然に出てきます。
つまり、感謝とは単なる礼儀ではありません。自分を「関係性」として認識する行為でもあるのです。

「私ってスゴイ」と「みなさまのおかげです」は、実は同じ方向を向いている
最初は正反対に見える二つの言葉。
「私ってスゴイ!」
「みなさまのおかげです。」
しかし、実はこの二つは対立しません。むしろ、深く考えるほど一つにつながっていきます。
私は頑張った。だから、私を認めていい。
私は成長した。だから、自分を褒めていい。
私はここまで来た。だから、「私ってスゴイ」と言っていい。
そして同時に、
私は一人ではここまで来られなかった。
たくさんの人に支えられた。
社会や自然にも支えられている。
だから、「みなさまのおかげです」と言える。
これは自己肯定と感謝が融合した状態です。
「私」を大きくすると、「世界」が入ってくる
もしかすると、私たちが「自分を大切にする」というとき、
「自分の世界を小さくする」必要はないのかもしれません。
むしろ逆です。
「私」という言葉の意味を、もっと広くする。
私の身体。私の家族。私の友人。
私の仕事。私の社会。私の自然。
私が出会ってきた人々。私が受け取ってきた知識。私がこれから関わっていく未来。
そうした関係性まで含めて、「私」と考えてみる。
すると、
自分を大切にすることと、他者を大切にすることの境界が、少しずつ柔らかくなっていきます。
そして、他の記事でお伝えしたように、「愛」とは、こうした関係性を調和へ導く方向性として捉えることもできます。
自分だけが得をするのではなく、自分も、相手も、そして関係そのものも、より良い状態へ向かっていく。それが、関係性としてのセルフケアです。

「私ってスゴイ」の、本当の意味
だから、もし何かを成し遂げたときには、遠慮せずにこう言ってみてください。
「私って、スゴイ!」
そして、その次にこう続けてみる。
「……そして、ここまで来られたのは、みなさまのおかげです。」
この二つを一緒に言えること。
それが、もしかすると成熟した自己肯定なのかもしれません。
自分の努力を認める。同時に、他者から受け取ったものにも気づく。自分を大切にする。
同時に、自分を支えている関係性も大切にする。
「私」を肯定する。
同時に、「私ではないもの」の存在にも感謝する。
そうすると、「私ってスゴイ!」という言葉は、自己中心的な言葉ではなくなります。
その「私」の中に、家族がいる。
友人がいる。師がいる。仲間がいる。社会がある。自然がある。
そして、これまで出会ってきた無数の人々がいる。
だから、本当の意味で「私」を肯定することは、
「私以外の存在」を否定することではない。
むしろ、
「私という存在を成り立たせてくれている、すべての関係性に気づくこと」
なのです。
そして最後に残る言葉は、おそらくシンプルです。
「私って、スゴイ。」そして、「みなさま、本当にありがとうございます。」
この二つの言葉が同時に言えるとき、
「自己肯定」と「感謝」は、ひとつの輪になっていきます。
それは、自分だけが幸福になるためのセルフケアから、
自分と他者との関係そのものを、より健やかで調和したものにしていくセルフケアへ。
その小さな転換なのかもしれません。
まとめ
自分の成果を褒める「私ってスゴイ!」と、周囲に感謝する「みなさまのおかげです」は決して相反するものではありません。「私」という存在が無数の関係性でできていると気づくことで、自己肯定と感謝はひとつに融合します。
1. 自分を認める「私ってスゴイ!」の大切さ 努力や成果を自画自賛することは、健全なメンタルを保つために大切です。まずは自分の頑張りをしっかり褒めることが出発点になります。
2. 「私」という存在の正体 努力できた背後には、教えや支え、社会インフラ、言葉、自然環境など、無数の「私以外」が存在します。人は独立した点ではなく、無数のつながりが交差する「関係性の結節点」です。
3. 「感謝」は自己否定ではない 「みなさまのおかげ」と言うのは、努力の否定ではありません。植物が太陽や土なしに育たないのと同様に、「自分の頑張り」と「周囲の支え」は同時に成立する事実です。
4. 比較を超えた本当の自己肯定 他人との比較で勝つ優越感は脆く、キリがありません。「これほど多くの関係性に支えられて生きていること自体がすごい」と捉えることで、揺るぎない自己肯定感が生まれます。
「私ってスゴイ!」で自分の努力を心から認め、「みなさまのおかげです」で支えてくれた世界に感謝する。この2つの言葉を同時に言える状態こそが、自分も他者も大切にしながら共に調和していく「成熟した自己肯定」の姿です。

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます(^^♪

























