自分を否定してしまうネガティブ思考はどこからやって来るのか?【なぜセルフ・コンパッションが重要なのか】

セルフ・コンパッション

自分を否定してしまうネガティブ思考はどこからやって来るのか?【なぜセルフ・コンパッションが重要なのか】

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普段から自分自身を否定してしまう。そういう時は、自分を思いやる「セルフ・コンパッション」を実践してみませんか?

普段から自分自身を否定してしまう。そういう時は、自分を思いやる「セルフ・コンパッション」を実践してみませんか?

かつて私自身、仕事であれプライベートであれ、何か失敗をやらかしてしまった際、ひとりでいる時に、

  • 自己批判

  • 自己否定

  • 自己嫌悪

の気持ちや罪悪感、劣等感に苛まれてしまうことが多かったのです。

自分自身を思いやる「セルフ・コンパッション」や仏教の「慈悲の瞑想」の考え方に出会うまでは、自分を否定したり責めたりしてしまうネガティブ思考をいつまでもグルグルと反すうしてしまい、結果的に「うつな気分」に陥ってしまっていたのです。

 

しかしセルフ・コンパッションや仏教の慈悲の瞑想の考え方を学ぶようになってからは、自分を否定する気持ちは減り、代わりに「自己肯定感」(ありのままの自分自身を無条件に受け容れる)や「自己効力感」(困難な事態に直面しても自分の力を信じられる)が湧いてくるようにもなってきました。

そして、ここ数年の間は、そもそもどうして自分に優しく出来ないのか、その理由についても考え続けてきたのです。

 

なぜ仕事でミスをしたり、日常生活の中で失敗をやらかしたりしてしまったりした時に、自分を責めたりダメ出ししたりすることを優先させ、「自分を思いやること」を選択することが出来ないのでしょうか?

このことに関して参考になるのは、セルフ・コンパッション研究の第一人者であり、テキサス大学オースティン校の人間発達学の准教授であるクリスティン・ネフ博士の『セルフ・コンパッション』という一冊です。

 

クリスティン・ネフ博士は『セルフ・コンパッション』のなかで、

「自分を批判する思考の大半は、内なる対話、すなわち、今体験していることに関して絶え間なく続くコメントと批判の形を取っている」

と述べています。

 

 自分を批判する思考の大半は、内なる対話、すなわち、今体験していることに関して絶え間なく続くコメントと批判の形を取っている。内なる対話が残酷な内容な冷淡な内容になっても、社会的に批判されることはないため、私たちはしばしば、自分に対して恐ろしく残忍な物言いをする。「あんたって、ほんとにデブね。ああ、むかつく!」「あんなことを言うなんて、底抜けのばかだ」、「おまえなんか、どうしようもない負け犬だ。誰にも必要とされなくて、当然だ」といった具合である。

(クリスティン・ネフ『セルフ・コンパッション [新訳版] 』 浅田仁子 訳 25頁)

そして、自分を批判してしまう思考は、家庭環境や親の養育、教師の教育の仕方などが関係しているというのです。

 

クリスティン・ネフ『セルフ・コンパッション [新訳版] 』

 人は親からの批判を心の奥深くに内在化させる。つまり、頭の中で自分をけなしつづけるコメントは、しばしば親の意見を反映したものであり、ときにはそれが世代を越えて伝えられ、再生されることもある。(同 27頁)

 批判的な親に育てられると、幼い頃から、自分はダメすぎて欠点だらけだから、ありのままの自分を受け入れてもらう権利はないと思い込む。(同)

 自己批判の原因に関する研究の大半は親に焦点を絞っているが、実は、親ならずとも、子どもの人生におけるいかなる重要人物――祖父母、きょうだい、教師、コーチ――が批判を繰り返しても、子どもはその後の人生で内なる悪魔を体験することになる。(同)

 

分かりやすく言えば、幼少期に厳しい親にしつけられたり、教師に叱られたりするなど、常に「ダメ出し」されながら育てられ、ほめられたり思いやりを向けられたりした経験が乏しいと、自分自身を何にも出来ない(もしくはうまくやれない)「役立たずで駄目な」人間だと思い込んでしまう可能性が生じてくるのです。

 

また「自己批判的な人は、家族にも支えてもらえない環境で育っていることが多く、他者を信頼しない傾向」があり、このことに加えて、「自分が自らを裁くのと同じ厳しさで、相手も自分を裁いているだろうと考え」るといいます。

そして、「自己批判的な人は、人間関係における親密さや支え合いを必死に求めながら、それをしばしば台無しにする」ことを指摘しています(1)。

 

またクリスティン・ネフ博士は、このような自己批判は、「大きな社会集団の中で確実に受け入れてもらうための一種の安全行動」であり、「服従行動の役割」も果たしているといいます。

さらに、「自衛的な姿勢は、拒絶されたくない、見捨てられたくないという、ごく自然な欲求から出たものであり、最も基本的な生存本能」であることも指摘しています。

 

そして、成長して何でも一人で出来るようになるまでは、頼らざるを得ない養育者の存在が大きいとしています。(2)

たとえば幼い頃、誤ってお椀の味噌汁をテーブルにこぼしてしまったり、食器を床に落として割ってしまったりした時、「大丈夫だった?」の優しい言葉が一つもなく、「何をやってるの!! 本当に馬鹿な子ね!!」と激しい剣幕で叱ってくるような親に育てられたのであれば、大人になってからも、頭の中のおしゃべりにおいて、𠮟りつけるように自分自身を批判してしまっていることは十分考えられます。

(もちろん、自分を否定してしまうのは何もかも親や教師のせいだと短絡的なことを言いたいわけではありませんし、この記事の内容も、私自身の経験によるところが大きいということを理解していただければと思います。)

 

 

注釈

1 『セルフ・コンパッション [新訳版] 』 クリスティン・ネフ 著 浅田仁子 訳 金剛出版

 自己批判的な人は、家族にも支えてもらえない環境で育っていることが多く、他者を信頼しない傾向があり、自分で大切にしている人もいつかは自分を傷つけようとするだろうと思っている。そのせいで、常に恐れを抱いている状態になり、それが対人関係の問題を引き起こす。たとえば、きわめて自己批判的な人は恋愛関係で不満をもちがちであることが、研究で明らかにされている。自分が自らを裁くのと同じ厳しさで、相手も自分を裁いているだろうと考えるからである。まったくニュートラルな発言まで、自分をけなすものだと誤解するため、過敏に反応して不要な対立を招く。つまり、自己批判的な人は、人間関係における親密さや支え合いを必死に求めながら、それをしばしば台無しにするのである。(31頁)

2 前掲書

 当然ながら、生存にとって最も重要な社会的集団は肉親などの養育者である。子どもは親に頼り、食べ物や慰め、思いやり、庇護を手に入れている。また、本能的に親を信頼し、親は物事の意味を解釈してくれる存在であり、未経験の恐ろしい難題との取り組みを手助けしてくれたり、危険な目に遭わないように自分を守ってくれたりする存在だと信じている。子どもがこの世界でなんとかやっていくには、親に頼らざるをえない。けれども、悲しいことに、多くの親は慰めと支えを与えるどころか、絶えず批判することによって子どもをコントロールしようとする。あなたがたの多くは、このようにして成長してきている。(26頁)

 

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。

 

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