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今回は『音楽と洗脳 美しき和音の正体』(苫米地英人 著)を、音と脳の関係について考えるための一冊としてご紹介したいと思います。
「音」の存在は、私たちの心や脳の領域に深く影響を与えているように思いますが、認知科学者であり、コーチングの分野でも有名な苫米地英人氏による『音楽と洗脳 美しき和音の正体』(徳間書店)は、音楽の脳への影響や、音・周波数がもつ可能性について考えさせられるたいへん刺激的な一冊です。
本書『音楽と洗脳』では、まず、教会音楽としての西洋の音楽の歴史が分かりやすく、かつ詳細に語られていますが、本書に書かれていることの重要なポイントは、音律の主役の座が、
ピタゴラス音階⇒純正律⇒平均律
へと変化してしまった過程にあるように思われます。
「ローマ教会の権威がヨーロッパ全域に広がった時に登場した」平均律は、現在、日本でも取り入れられているといいますが、この平均律とは、「神の御業の美しさを称える音階ではなく、神の完全無比さを称えるために作られたもの」であり、「そこにあるのは音楽へのこだわりではなく、数比へのこだわり」だったといいます。
そのため、「平均律は音楽家たちにはとても評判が悪いものであり、音楽的にも誉められる代物ではなかった」のだといいます。
しかし平均律は、「神の完璧性、全能性を音であらわすことが目的」であった教会によって、「音楽性ではなく、教義的な理由で選択」されたのだ苫米地英人氏は述べています。
また苫米地氏は、この「平均律のすべてが悪いわけではありません」としながらも、「平均律は転調がしやすいという以外のメリットはほとんどありません。音は狂っており、和音も濁っています」としています。
さらに「日本では平均律で調律したピアノで音楽教育を指導した結果、ハーモニーに対して鈍感になっている人が量産されて」しまったといいます。
その理由は明治以来、日本の音楽教育は、「平均律&ピアノ至上主義」であるアメリカ式が主流だからだそうです。
このように、日本において誤った音楽教育が行なわれていることは、非常に残念なことだと思われます。
音楽の素晴らしいところは、強烈なイメージを情報空間に作り上げることができる点です。それは同時に情動を動かすのですが、ただの感情の喚起だけでなく、脳内ホルモンの分泌を促し、さらに記憶を動かし、身体も動かします。
映像のない点も素晴らしいところです。情報空間の中で自由にイメージを広げることが可能になります。
そんな音楽が持つ可能性はまだまだ広げることができるはずです。
ところが、残念ながら、現在の音楽環境は、それほどいいとは言えません。
特に日本の場合は、ピアノの和音が狂ってることを放ったらかしにしています。これでまともな音楽教育ができるはずがありません。
(苫米地英人『音楽と洗脳 美しき和音の正体』 p86)
付録の特殊機能音源の超高周波の効果がスゴイ。
ところで私自身、音楽、倍音声明、言霊など、音のちからが、脳や心にどのような作用をもたらすのか、ということにこれまで関心がありました。
また、「超高周波」の脳への影響について書かれている大橋力氏の『音の文明』などにも大変触発された憶えがありますが、この「超高周波」の可能性についても、第4章「超高周波と脳」のなかで、CDの問題点などを踏まえながら言及されています。
そのため、このたび苫米地英人氏によって、このような画期的な本が書かれたということは、非常に喜ばしいことだと個人的に感じました。
さらに、今回、本書『音楽と洗脳』の付録のDVDには、CD品質の特殊音源に加え、「超高周波の再生を可能にした特別バージョン」のものが付いています。
私自身、『苫米地式 聴くだけで脳からストレスが消えるCDブック』など、苫米地英人氏による機能音源を人生に活用してきた一人ですが、この付録の特殊機能音源は、平均律を使用していないことに加え、グレゴリオ聖歌や、琴、ガムラン、サントゥール、ギター、パンフルートといった楽器が採り入れられており、非常に高品質なものとなっています。
したがって、パソコンやCDプレーヤーといった一般的な再生環境でCD品質の音源を聴くのはもちろんのこと、もしハイレゾ音源をきちんと再生できるこだわりのオーディオ環境があるのであれば、さらに、苫米地がいう、
- 集中力アップ
- 創造性アップ
- IQアップ
- リラックス
といった効果が見込めると思います。
ちなみに、苫米地英人氏の特殊機能音源について詳しく知りたい方は、本書『音楽と洗脳』のなかで詳しく説明されていますので、実際に『音楽と洗脳』を読んでみてください。
収録曲
- 01 Chant in World
- 02 Magic Forest
- 03 Picture Music
- 04 Overtune Forever
『音楽と洗脳』は音と脳の関係に踏み込んだ画期的な一冊。
以上、今回は『音楽と洗脳 美しき和音の正体』(苫米地英人 著)を、音と脳の関係について考えるための一冊としてご紹介してきました。
本書は音や音楽のちからに関心がある方に非常にオススメの一冊ですし、付録の特殊音源も品質が高いため、パソコンの作業や読書の最中に聴き流すのにイチオシです。
それに加えて、付録の機能音源は、イライラやストレスの対策といった、心を落ち着かせるためのメンタルヘルスのためにもお勧めです。
しかも本書『音楽と洗脳 美しき和音の正体』は、高品質な機能音源が付録として付いているにも関わらず、2千円代で買えるのですから、同じ徳間書店から出ている『超悟り入門』と同様、かなりお買い得だと言えます。
人間は音楽を聴くだけでなく、演奏もしますから、位置情報や運動野との連動はとても重要になります。また、言語野には発声との関わりもありますから声を出す、歌を歌うという動作とつながってきますし、言語が持つイメージとも関連しながら、前頭前野、前頭極へ情報を送り出します。
最終的にはこれらを前頭前野で統合的に処理したのち、音楽情報は大脳辺縁系に行って情動を揺り動かすのです。
そして、ここで最も覚えておいてほしいのは、音の情報が、末梢神経から脳幹、大脳皮質、大脳辺縁系へと、脳の隅々を巡って、活性化させていることです。
(苫米地英人『音楽と洗脳 美しき和音の正体』 p77)
音楽は複雑な音情報です。周波数の変化、音圧の変化、周波数の連携や重なりがコンマ単位で起きています。
これを正確に聴き取り、統合し、意味を自分で付け加えて、情動を揺さぶり、足を踏み鳴らす、リズムを取る、涙を流すなど運動まで起こしています。
もしも、楽器の演奏ができる人ならば、さらに効果は倍増です。
(苫米地英人『音楽と洗脳 美しき和音の正体』 p77~78)
いずれにせよ、私たちの脳は、このぐらい選択的に音情報を判断しています。
美しい音楽、好みの音楽が流れてくれば、積極的に耳をそばだてて聴いて時に涙を流したり、足を踏み鳴らして興奮することもできる一方で、自分の声だから聞かないという判断を無意識でやっています。
こういった能力をほんの少し意識的に使うだけで、私たちの能力、認知力は相当上がることは間違いないのです。
これが聴覚の実力であり、可能性なのです。
(苫米地英人『音楽と洗脳 美しき和音の正体』 p80)