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当ブログでは主に、ハチミツの栄養効果とミトコンドリアのエネルギーで真の健康を実現する方法について書いていますが、今回は西原克成氏の『免疫力を高める生活 健康の鍵はミトコンドリアが握っている』(サンマーク出版)をご紹介したいと思います。
医学博士であり、西原研究所所長である西原克成氏の『免疫力を高める生活 健康の鍵はミトコンドリアが握っている』は、私自身に強い影響を与えた本ですが、この一冊を読むと、一般的にいう「免疫力」や「生命力」には、細胞内のミトコンドリアの存在が大きく関わっていることが分かってきます。
率直にいえば、ミトコンドリアの機能が低下することで、免疫力が低下し、その結果、様々な病気が引き起こされるようになるということです。
その「ミトコンドリア」とは体の細胞のなかで呼吸している小さな器官のことです。人間の細胞はおよそ60兆個だと言われますが、「ミトコンドリアは、酸素呼吸をする生物には必要不可欠なもので、ほとんどの細胞のなかに含まれていて、生体の活動に必要なエネルギーを作り出しています」。
西原克成氏によれば、
「このミトコンドリアが産出しているATPという化学物質のもつエネルギーが、熱や電流に変換されて体温を維持したり、筋肉の収縮、神経活動、物質の合成や分解などに使われたりしている」
と言うのです。
つまり、「細胞のなかの発電機のようなもの」であり、「ヒトの体の細胞は、ミトコンドリアによって行われる新陳代謝により新たにつくり換えられ、生命を維持しているわけ」なのであり、このミトコンドリアの働きこそが、細胞のもつ生命力のことでもあるため、いつまでも健康でいるためには、いつもミトコンドリアが元気でなくてはならないのです。
ミトコンドリアの働きを阻害する要因とは?
しかし、人間には「構造的な欠陥」があるために、ミトコンドリアの働きを阻害する要因が生まれてしまったそうなのです。
その「構造的な欠陥」とは、
- 「しゃべることによって口で呼吸するようになってしまったこと」
- 「直立二足歩行によって重力の負荷が過大にかかってしまっていること」
だとしています。
まずひとつめの口呼吸についてですが、鼻呼吸であれば肺に入り込む空気が適度に加湿加温されるうえ、有害物質なども鼻腔の細かい線毛によって取り除かれるのですが、口呼吸を行うと様々な弊害が生じるようになると言います。
このことについて西原氏は以下のように述べています。
本来は呼吸器でない口で空気を吸うと、冷えて乾燥した空気が、いきなりのどの扁桃組織の温度を下げます。すると、のどに巣食う酸素を好む好気性菌が、扁桃のM細胞というところから白血球に取り込まれて体じゅうにばらまかれ、さまざまな器官や組織の細胞を汚染して細胞内感染症を発症します。その結果、感染した細胞内のミトコンドリアが働かなくなって生命力の低下を招くのです。こうして起きるのが免疫病です。
(西原克成『免疫力を高める生活』p29)
口呼吸だけではなく腸を冷やしてしまうことにも要注意。
また、口呼吸だけではなく、冷たいものを食べたり飲んだりすることで、腸を冷やしても、似たような状態に陥ると言います。
口呼吸と腸を冷やすことで何が起こるかというと、のどや胃腸の温度が体温の三十七度Cより一度下がると、冷血動物と同じように自動的にバイエル板のM細胞(腸管にある粘膜の扁桃隆起)から、のどや腸内ではほとんど無害の常在性の細菌が大量に白血球内に吸収されて血中をめぐるように体のしくみができているのです。
体温が下がると、白血球は細菌を分解・消化する能力を失ってしまうため、白血球が運び屋となって体じゅうの細胞に細菌がばらまかれて、知らないうちに体のあちこちの器官の細胞内に感染症が起こって健康が損なわれてしまうのです」
(西原克成『免疫力を高める生活』p33)
次に、ふたつ目の人間の直立歩行についてですが、これは血液細胞の新陳代謝である造血を骨髄で行わなければならなくなったことが関係してきます。
西原氏は「古くなった血球が脾臓と肝臓でどんどん消化される一方、それを補うのが骨髄での造血の役目」であり、「造血は免疫力のかなめ」なのだとしています。
さらに、「骨はただ柱のような構造体として体重を支えているのではなく、血中の栄養と酸素を消費し、骨のなかのリン酸を消費し、エネルギーを使って筋肉で重力作用(引力)にさからって、造血をしながら全身を支えている」とも言います。
しかし四足歩行ではなく二足歩行の人間は、ほとんどの行動を直立した状態で行っているため、四足歩行の動物より多くのエネルギーを必要としており、その分、ポンプとしての心臓に負担がかかっているのだそうです。
つまり、立っている間は血圧を維持することと体重を支えることに、大量のエネルギーが筋肉で消費されてしまうことで、骨髄で造血する余裕が無くなってしまうということなのです。
そして新陳代謝はあわただしく動いている時は普段よりもゆっくりと行われるため、代謝がうまくいかないことを指す免疫病にかかるリスクが高まってしまうとしています。
免疫力を高めるための生活とは?
そのため、骨髄で造血が行なわれるためには、適度な「骨休め」が必要だと西原氏は述べています。
この「骨休め」とはただ休んだり息抜きをしたりすることではなく、きちんと横になり、身体を伸ばして十分な睡眠をとることを意味します。睡眠不足だったり徹夜が続いたりすると、骨髄での造血があまり行われないため、新陳代謝が進まずに免疫力の低下を招いてしまうのです。
本書『免疫力を高める生活』を読んで分かったことは、免疫力はミトコンドリアによる細胞の新陳代謝に深く関わっている、ということです。
そして、その新陳代謝の妨げになることとして挙げられるのは、口呼吸と腸を冷やすこと、骨休めをしないことです。
したがって、免疫力の低下を防ぐためには、鼻呼吸を徹底して行う、冷たいものを避けて腸を温めるようにする、きちんと骨休めが出来るようなきちんとした睡眠を取る、といったことが重要になってくるのです。
免疫力を高めるための生活習慣
「1、鼻で呼吸する。(睡眠中も)」
「2、両顎でよく噛む。(白米のごはんで三十回以上)」
「3、上向きで寝る。(骨休めする)」
「4、冷たいものを飲み過ぎない、食べ過ぎない。」
「5、軽い運動とリラックスとストレッチを心がける。」
「6、太陽の光を浴びる。」
「7、「心と体に優しいエネルギー」を取り入れる。」
なお、『免疫力を高める生活』に書かれている免疫力を高めるための生活習慣の詳しい内容については、「西原克成『免疫力を高める生活 健康の鍵はミトコンドリアが握っている』を読む2」の記事をご参照ください。
「免疫力を高める生活」とは、ミトコンドリアを活性化してあなたの体を元気にするばかりでなく、心と精神まで元気にして、あらゆる病気からあなたを守る生き方にほかなりません。
(西原克成『免疫力を高める生活』p147)