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毎日の生活のなかの「どういうわけか運が悪い」「ツイてない……」を変える生き方、始めてみませんか?
今回は、運が悪い時は、無理にプラス思考やポジティブ思考をしないほうがよいということについてです。
パソコンの調子が悪い、家族や職場の上司の機嫌が悪い、応援しているスポーツチームが負ける、直前で赤信号になる、イヤホンのイヤーピースを片方なくす……など、嫌な出来事ばかりが連続して起こると、どうしても「今日は何だか運が悪い」「ツイてない」と思ってしまいます。
これは私自身の経験ですが、そんなネガティブな気分になった時、ただ闇雲に「運が良い」や「これからきっといいことが起こる」と「プラス思考」や「ポジティブ思考」をしたとしても、実際に運がいいことが起こるとは限らず、まるで呪いをかけられたみたいになかなか不運な状況から抜け出すことは出来ません💦。
「引き寄せの法則」について書かれた本などには、常に明るくポジティブでいるほうが、ハッピーな出来事を引き寄せやすいと述べられていることが多いですし、以前の記事では、「運が良い人」の特徴は、自分のことを運が良いと思っているとお伝えしました。
しかし、「運が悪い」とマイナス思考・ネガティブ思考をしている時に、プラス思考やポジティブ思考によってすぐに自分自身を「運が良い」状態に変えるのは簡単ではないのです。
このことはたとえば、イライラしたり怒っていたりする時に、「感謝」の気持ちを持つのが難しいのと同じです。
つまり、気分が落ち込んでいるネガティブな状態の時に、自分の意志でポジティブになろうとしても、なかなかうまくいかないのです。
このことに関して、以前ご紹介いたしました『運力 あなたの人生はこれで決まる』のなかで著者の天外伺朗氏が、
「運力とは、災難や逆境に直面し、そのなかに意味を見出す力。言い換えると、不運のなかから好運をつかみ取る力」
「プラス思考というのは、意識レベルにおける、本人の意思の問題なのに対して、運力というのは、無意識に定着した底力のこと」
であるとし、以下のように述べていることは注目に値します。
意識レベルでは「すべてをプラスにとらえなければいけない」と思って、プラスにプラスに考えをめぐらせるのですが、無意識レベルでは、すっかりマイナスの考えにとらわれており、なんの光明も見出せなくて、絶望していることが多いのです。
もちろん身体のレベルは、無意識のコントロール下にありますので、表面的にうまくいっているプラス思考とは裏腹に、身体には絶望の症状が出てきます。この場合には、プラス思考の努力をすればするほど、意識レベルと無意識レベルのギャップは大きくなり、どんどん泥沼にはまっていきます。身体が、そのギャップに耐えられなくなると、うつ病になります。(中略)
つまり、自分を取り巻く状況がとてもひどいなかで、本人は、懸命にプラス思考をしようとするのだけれども、ふと気がつくと、マイナスの考えに陥っている自分を発見する、ということです。
(天外伺朗『運力 あなたの人生はこれで決まる』 祥伝社黄金文庫 26-27頁)
不運な現実を否定せずに受け容れることが大事。
では、不運の連続に直面し、マイナス思考に陥っている際は、どうすれば良いのでしょうか?
このことに関して天外伺朗氏は、
「もし、マイナス思考にとらわれている自分を発見したら、無理矢理にプラス思考をしようとはしないで、マイナス思考をしている自分を、そっくりそのまま認め、受容してあげることがおすすめです」
と述べています。
もし、マイナス思考にとらわれている自分を発見したら、無理矢理にプラス思考をしようとはしないで、マイナス思考をしている自分を、そっくりそのまま認め、受容してあげることがおすすめです。
そのとき、できれば自分自身を客観的に観察し、「あ、いま君は、マイナス思考をしているんだね。それでいいんだよ。しばらくマイナス思考をしていようね」と言ってあげるとよいでしょう。
(天外伺朗『運力 あなたの人生はこれで決まる』 祥伝社黄金文庫 28頁)
実際、不運の連続でつらい状況に陥った時、その現実から目を背けて無理矢理プラス思考をしようとするよりも、マイナス思考に陥っている自分をまずは受けて入れてあげた方が、心がラクになりますし、時間の経過と共に運も好転していきます。
そして、その不運な状況を「受け容れる」ために大切なのは、やはりマインドフルネス瞑想を日々実践していくことだと言えます。
例えばこのことについて、『実践 幸福学』という本のなかで著者の友原章典氏は、
「無理をせずに、ネガティブな感情とうまく付き合う」
「ポジティブな感情を思い求めずに、ネガティブな感情をありのまま受け入れて行こうとするアプローチ」
として、「マインドフルネス」を挙げています。
マインドフルネスとは、価値判断することなく、現在のこの瞬間に意識を向けることです。無理にポジティブに考える努力をすることではありません。過去でも未来でもなく、現在に注意を向け、今起こっている事実を客観的に観察するように努めます。すると、ネガティブな思考や感情に陥りにくくなります。
(友原章典『実践 幸福学』 NHK出版新書 130-131頁)
「運が悪い」を変えるために、認知行動療法の一つ「ACT」に注目。
また友原氏は同書のなかで「マインドフルネスに、人生の価値観の確立とその遂行(行動)の重要性を付け加えた」、「ACT」(アクセプタンス&コミットメント・セラピー Acceptance and Commitment Therapy)についても触れています。
この「ACT」は、一般的には、自分の感情や思考を変えようとせずにそのまま受け入れて、自分の価値観に基づいて行動することを目指す療法のことをいいますが、ACTは、ネガティブな感情を無くそうとしたり、それから目を背けたりする「コントロール戦略に否定的」であるとしています。
ネガティブな感情をなくそうとしたり、それから目を背けたりすることは、「コントロール戦略」と呼ばれます。感情をコントロールしようとするからです。たとえば、悪いことを考えないようにすることは、そうした戦略の一つで、「思考抑制」と呼ばれます。
ACTは、コントロール戦略に否定的です。短期的には有効でも、長期的には反動が起こるからです。ネガティブな感情が消えるのは一時的で、すぐにまた、自分は弱くダメな人間だ、と否定的に考えたりします。
友原章典『実践 幸福学』 NHK出版新書 163頁
さらに友原氏は、無理にコントロール戦略を続けると、アルコール依存症や過食、うつなどの問題を引き起こしたり、重度なストレスにはあまり効かなかったりすることから、
「ACTでは、無理にネガティブな思考から逃避したり、なくそうとしたりしないほうがよい」
と考え、「むしろ、それらを受け入れて、とらわれないようにする」としています。
時々やってくる不運な状況に遭遇した際、自然と湧いてくるネガティブな思考や感情を受け容れることが出来れば、たとえ気持ちは曇り空やどしゃ降りでも、その後に、いつか必ず青空が広がるように、事態は好転していきます。
大切なのは、曇りや雨の天気を無理やり晴れにせず、曇りなら曇り、雨なら雨と、自分に降りかかっている今の(不運な)状況をまず受け容れることなのです。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます(^^♪