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普段、「運」というものを意識することはありますか?
今回は、『運力 あなたの人生はこれで決まる』(天外伺朗 著 祥伝社黄金文庫)という一冊を取り上げながら、「運」を引き寄せるとはどういうことかについて考えてみたいと思います。
「運」が良いとか悪いとか、誰もが時々口にしますが、天外伺朗氏の『運力 あなたの人生はこれで決まる』という一冊は、運の「良さ」「悪さ」に関しては、常にポジティブな状態でいれば、簡単に幸運が引き寄せられるほど、世界の仕組みは単純ではないことを教えてくれます。
まず、この天外伺朗氏の『運力 あなたの人生はこれで決まる』には、
- 運命は海の波にたとえられ、ピーク(頂上)とボトム(底)が交互に到来する様子を、幸運と不運になぞらえることができる。
- 波のピークの移動に相当するエネルギーの流れは「外的運命」と呼ばれ、「ラッキー」「アンラッキー」と思える出来事を支えている。
- 速度エネルギーに相当する目に見えない運命の流れは「内的運命」と呼ばれ、「ラッキー」「アンラッキー」と思える出来事の背後で、誰にも知られず着々と進行している。
といったことが書かれています。
運における「良い」「悪い」とは?
つまり「運命」には、「波のピークの移動に相当するエネルギーの流れ」である「外的運命」と、「速度エネルギーに相当する目に見えない運命の流れ」である「内的運命」があり、一般的に運に対して「良い」「悪い」とラベリングをし、一喜一憂するのは、「外的運命」と呼ばれるエネルギーの流れに対してなのです。
しかし、運命の流れには、「ラッキー」「アンラッキー」と思える出来事の背後で、誰にも知られず着々と進行している「内的運命」と呼ばれているものもある、と天外伺朗氏はいうのです。
そのため、運は、良い時は良いし、悪い時は悪いのであって、運命の流れと言うものは、「人間(じんかん)万事塞翁が馬」という中国の古い諺のように、好運と思えることが不運につながり、不運と思えることが好運につながるといったように、好運と不運を繰り返すのです。
そのとき、頭のなかでいろいろと考えた所で、海で泳いでいる際、大きな波の力に対して無力であるように、見えない運命の流れに対しては、私たちはいくらあがいても、どうすることも出来ないのです。
単なるプラス思考の落とし穴とは?
そして、「内的運命」という大きな運命の流れの存在を知らず、 もし運が悪いと感じている時に、闇雲にジタバタしたところで、事態を悪化させるだけなのです。
このことは幸運を引き寄せるための「プラス思考」にも関係してきます。
イヤな出来事が連続して起こった際、「ポジティブ思考をしなくちゃ!」と無理矢理思って、いろいろ策を講じてみても、なかなか運命が好転しない、という経験をしたことがある方は多いと思います。
例えば、常に明るくポジティブでいるほうが、ハッピーな出来事を引き寄せやすいと「引き寄せの法則」について書かれた本などでは、よく言われています。
しかし、天外伺朗氏は『運力 あなたの人生はこれで決まる』のなかで以下のように述べていることは注目に値します。
意識レベルでは「すべてをプラスにとらえなければいけない」と思って、プラスにプラスに考えをめぐらせるのですが、無意識レベルでは、すっかりマイナスの考えにとらわれており、なんの光明も見出せなくて、絶望していることが多いのです。
もちろん身体のレベルは、無意識のコントロール下にありますので、表面的にうまくいっているプラス思考とは裏腹に、身体には絶望の症状が出てきます。
この場合には、プラス思考の努力をすればするほど、意識レベルと無意識レベルのギャップは大きくなり、どんどん泥沼にはまっていきます。身体が、そのギャップに耐えられなくなると、うつ病になります。
(中略)
つまり、自分を取り巻く状況がとてもひどいなかで、本人は、懸命にプラス思考をしようとするのだけれども、ふと気がつくと、マイナスの考えに陥っている自分を発見する、ということです。これは、多くの読者が体験しておられると思います。
(天外伺朗『運力 あなたの人生はこれで決まる』 p26~27)
幸運を引き寄せる秘訣は、不運な現実を否定せずに受け容れることが大事。
では、不運の連続に直面し、マイナス思考に陥っている際は、どうすれば良いのでしょうか?
このことに関して天外伺朗氏は、
「もし、マイナス思考にとらわれている自分を発見したら、無理矢理にプラス思考をしようとはしないで、マイナス思考をしている自分を、そっくりそのまま認め、受容してあげることがおすすめです」
と述べています。
実際、不運の連続でつらい状況に陥った時、その現実から目を背けて無理矢理プラス思考をしようとするよりも、マイナス思考に陥っている自分を受けて入れてあげた方が、心がラクになります。
そして、不運な状況であっても、いずれ好運が訪れることをあらかじめ熟知していることでうまく困難をやり過ごすことが出来れば、その後に、曇り空がいつか必ず晴れるように、事態は好転していきます。
このことが、運命の流れを味方につけて幸運を引き寄せる秘訣のことなのですが、ここまでのポイントを以下にまとめておきます。
- 運命の流れには分かりやすいものと、見えないものの2種類がある。
- 大きな波としての運命の流れは、好運と不運が、かわるがわる順番にやって来る。
- どん底にいる時は、むりにプラス思考するよりも、マイナス思考をしている自分を受け入れてあげたほうが、やがて好運が訪れやすい。
運力の強さ・弱さとは?
ちなみに天外伺朗氏は、『運力 あなたの人生はこれで決まる』のなかで、運の「良さ」「悪さ」だけではなく、「運力」の「強さ」「弱さ」についても言及しています。
この運力の強さ・弱さとは、運命の流れの波が「ピーク」ではなく「ボトム」の状態にある時、すなわち不運に直面している際、どのような態度をとればよいのか、ということと関わってきます。
不運に直面している時、不運を直視できず、不運を否定して避けようとしたり、運力の強い人をまねて、無理矢理プラス思考をしようとしたりする人は、結果的に事態はますます悪化する場合が多いといいます。
これは「不運を不運にしてしまう」場合であり、運力が弱い状態だと天外伺朗氏はしています。
しかし、「ジタバタしている自分を受容し、意識してジタバタ」したり、「運力がまだ弱いことを自覚して、運力の強い人のまねをしない」のであれば、それは不運に直面していることであり、「運力の強化につながる」といいます。
不運に直面した際の、運力が強い人のやり過ごし方とは?
では、運力が強い人は、運命の流れが「ボトム」にある時、どのような行動を取るのでしょうか?
実は「運力が十分に強い人」に共通しているのは、「ボトムでジタバタしない」ということなのだそうです。そして、そのボトムの過ごし方には二通りがあると天外伺朗氏は言います。
- 「「塞翁が馬」的人生」・・・「不運を淡々とやり過ごす。社会的につながらないが、平穏無事な人生となる。」
- 「屈辱バネ」型人生 ・・・「ボトムで必死に努力をして、次に到来するピークを高くする。社会的な成功を達成する。」
一つ目の「「塞翁が馬」的人生」とは、世の流れとは、好運と不運をかわるがわる順番にやって来るものなので、直面する出来事のひとつひとつにいちいち一喜一憂しないで、どちらが訪れても淡々としている生き方のことです。
二つ目の「屈辱バネ」型人生は、人生がどん底の状態にあると思えても、次にやって来るピークを高くするために、めげることなく必死に努力する生き方のことです。
これは次に必ず波のピークがやって来ることを知っている肝の据わった人が、より波のピークを大きくするためにひたすら努力することであるため、こちらは「塞翁が馬」的人生に比べて、社会的な成功を達しやすいと言います。
なおこの生き方は、運力が弱い人が不運に直面した際、ただ慌てて闇雲にジタバタするのと同じではなく、運力が弱い状態のままなのに運力が強いと勘違いして運力が強い人のまねをすると、結果的にロクなことにならないので注意が必要です。
つまり、メンタルが弱いのに強い人のマネをしても、すぐに結果は変わらないということです。
不運をやり過ごすためには、まず運力を鍛えることが大切。
そして「運力を鍛えて不運をやり過ごす方法」とは、不運に直面した際、無理にプラス思考をしたり、いきなり「屈辱バネ」型人生を真似したりすることではありません。
そうではなく、まずは「ジタバタしている自分を受容し、意識してジタバタ」したり、「運力がまだ弱いことを自覚して、運力の強い人のまねをしない」ようにすることが大切なのです。
この「意識してジタバタ」するとはどういうことかといえば、不運な出来事に遭遇したり、「アンラッキー」なことが続いたりしている際、自暴自棄にならないよう、あえて深呼吸やマインドフルネス瞑想、ヨガやスロージョギングといった運動などを行い、リラックスすることを心がけることです。
そのような姿勢によって、次の波(運命の流れ)の「ピーク」がいずれやって来るのを待つのです。
つまり、「運力を鍛えていく」とは、不運に直面しているという現実を直視し、否定せずに受け入れられるようになっていくことなのです。
運力を強化していくためには「冷静」「客観的」「中立的」な視点をもつことが必要。
普段、私たちは日常生活において、意識的にしろ、無意識的にしろ、「良い/悪い」や「好き/嫌い」といった判断をしてしまいますが、運力を強化していくためには物事を判断する際、「冷静」「客観的」「中立的」な視点をもつことが必要になってくるのです。
人間という生きものは、なかなか自分の視点から離れられるものではありません。いくら意識レベルで客観的になろうとしても、結局は、自分に都合がよい視点に固執してしまうのです。
本当の意味での、第三者の視点でものごとが見られるようになったら、もう運力はかなりついてきているでしょう。
(中略)
私たちは、幼少のころから、ものごとや行動に関して瞬時に「いい/悪い」の判断をするようしつけられてきました。また、そうしないと、日常生活はうまくいきません。
(中略)
つまり、「いい/悪い」の判断を脱却するということは、いま自分と思っている主体から自由に離れられることを意味しており、意識レベルでそう思ったからといって、できることではありません。
たとえば「中立的でなければいけない」と思うと、それを「いい」とし、そうではないことを「悪い」とする「いい/悪い」の呪縛にはまっており、結局、中立的ではなくなってしまうのです。
古い脳のもうひとりの自分は、ちょっとやそっとでは育ちません。運力の強化というのは、時間もかかり、一筋縄ではいかないのはそのためです。
(天外伺朗『運力 あなたの人生はこれで決まる』p124~126)
運力を強化するための方法とは、冷静・客観的・中立的なもうひとりの自分を育てること。
また天外伺朗氏は「運力の法則」として、「古い脳の無意識レベルに、冷静で、客観的で、中立的なもうひとりの自分が存在するようになると、運力は確実に強化される」と述べています。
このように、運力を強化するための方法とは、冷静・客観的・中立的なもうひとりの自分を育てることなのです。
そして、冷静・客観的・中立的なもうひとりの自分を育て上げるには、一歩一歩進んでいく地道な努力が必要になるのです。
以上今回は、『運力 あなたの人生はこれで決まる』(天外伺朗 著 祥伝社黄金文庫)という一冊を取り上げながら、「運」を引き寄せるとはどういうことかについて述べてみました。
落ち込んでいる時ほど、何か出来事に遭遇した時に「運が悪い」と決めつけてしまいますが、「好運」を引き寄せるために運力を強くするには、物事を判断する際、すぐに(運が)「良い」「悪い」と判断しないような、「冷静」「客観的」「中立的」な視点をもつことが重要になってくるのです。
すなわち「運を良くする」秘訣とは、ゆっくりとした呼吸やマインドフルネス瞑想など、自分の心身の状態が整うことを行って、ひとつの出来事・物事に対して、偏った見方で囚われないようにすることだといえるのです。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。