contents
本当の健康を取り戻したいならば、時々、スマホやパソコンから離れ、野山を駆け巡る習慣をもってみることが大切です。
そういうわけで今回は『GO WILD 野生の体を取り戻せ!』(ジョンJ.レイティ、リチャード・マニング 著 野中香方子 訳 NHK出版)という書籍を、これからの健康を考えるために取り上げてみたいと思います。
ジョンJ.レイティ、リチャード・マニング氏らによる『GO WILD 野生の体を取り戻せ!』は、都市生活と距離を置き、あえて野生の体を取り戻してみるためのヒントがたくさん散りばめられている一冊です。
なぜならこの『GO WILD 野生の体を取り戻せ! 科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス』には、「現代人を苦しめるもの」について書かれているからです。その現代人を苦しめる原因となっているものとは、「文明病」ともいうべき、文明社会に生きる現代人にとって当たり前になっているライフスタイルであるように思います。
そして、生命力を高めることで元気を取り戻したいと思ったり、これまでの自分よりも幸せになるために今の自分をアップデートしたいと感じたりするならば、食事、睡眠、運動など、日常生活の中で、毎日あたりまえのこととして何気なく行っていることの多くについて、改善の余地が無いか、意識的になってみることが必要であるように思います。
もちろん、食事、睡眠、運動などを見直すということの目的は、テクノロジーによるオートメーションに慣れ過ぎるのではなく、<生命>や<自然>に根差すことで、ヒトという生物がもつ本来の生命力をよみがえらせるということに他なりません。
食事、睡眠、運動などはどれも、一見バラバラのように見えますが、生命力という観点からすれば、実は全てつながっているのです。
本書『GO WILD』に出てくる話題
- 食事(低炭水化物食)
- 運動(トレイルラン、裸足ランニング)
- 十分な睡眠
- 瞑想(マインドフルネス)
- マイクロバイオーム(微生物)
- バイオフィリア(自然との関わり)
- 同族意識(トライブ)
- ストレス・トラウマの改善
何より理解いただきたいのは、食事、運動、睡眠、思考、そして生き方は、すべてつながっているということだ。これらすべてが健康と幸福に関わっている。当たり前のことのようで、この考え方は西洋の思想、科学、とりわけ現代医学に真っ向から対立するものだ。それら現代西洋の考えは、問題をいくつもの要素に分け、その中から機能不全になっているものを見つけ出し、それだけを直そうとする。機械ならそれでうまくいくだろう。だが、わたしたちは機械ではない。野生動物なのだ。ワイルドであろうとするなら、複雑さをそのまま受け入れるべきだ。
(ジョンJ.レイティ、リチャード・マニング『GO WILD 野生の体を取り戻せ!』 野中香方子 訳 p11)
野生の体を取り戻すには日頃の食事や運動を変化させる。
しかしいきなり都市生活から離れ、何か月も野山で暮らす、といったようなワイルドな生き方を始めることを、本書は推奨しているわけではなく、自分の生活を変化させるための「引き金」を見つければ良いのだと、著者が述べている点は注目に値します。
まずは自分の「引き金」を見つけよう。(中略)ある変化が引き金となって、ほかのことが次々に変化していく。引き金は、人生に大きな変化をもたらす最初の一歩なのだ。食べ物、マイクロバイオーム、運動、睡眠、マインドフルネス、家族や仲間、バイオフィリア――そのいずれもが引き金となり、相互に影響し合う。
(ジョンJ.レイティ、リチャード・マニング『GO WILD 野生の体を取り戻せ!』 野中香方子 訳 p280)
あなたの引き金が何なのか、筆者にはわからないが、自分の経験から、まずは食べ物か運動、もしくはその両方から始めることをお勧めする。本書では数多くのテーマについて語ってきたが、食べ物と栄養については最も研究が進み、理解も深まっている。食べ物と栄養は生きていく上で欠かせないが、現代のそれは、人間が種として形成された時代のものとは根本的に異なっている。したがって、この二つを正すことなく、いい方向へ向かうことはできない。
だがうれしいことに、その軌道修正はそれほど難しいことではない。
(同)
無理なく『GO WILD』で野生の体を取り戻すには?
先ほども書きましたが、長年の間、都市生活を続けていたにも関わらず、いきなり野生の体を取り戻そうとしたところで、なかなかうまくいきません。
また都会の生活にどっぷりと浸かっていた場合、本書を読んでも、ターザンや狩猟採集民のごとくワイルドに生きることを実践するのは無理だと感じるかもしれませんし、実践したところで、気づいたら元の都市生活に戻ってしまっているかもしれません。
しかし、本書『GO WILD 野生の体を取り戻せ!』のなかで、「その軌道修正はそれほど難しいことではない」と書かれているように、野生の体を取り戻すことは、決して机上の空論ではないように思います。
大切なのは、「まずは自分の「引き金」を見つけよう」と書かれている通り、試しに食事や運動、睡眠を見直したり、マインドフルネス瞑想やトレイルラン、森林浴などを日々の生活に導入したりすることで、毎日が以前よりも<気持ちよい>と感じることだと思われます。
そして、もしいつもより身体の調子が良くなったり、幸福な気持ちを感じられたりしたならば、自分で野生の体を取り戻すことを自分から続けたいと思うはずですなのです。
本書『GO WILD』を読むと、そのためのヒントがたくさん見つかります。
ちなみに、「マインドフルネス」に関しては、「狩猟採集民の心」や「研ぎ澄まされた意識」の話題に触れ、瞑想とは、「休息あるいは引きこもりの状態」というよりも、
「「今、ここ」に注意や意識を向けることであり、それはまさに野生の人々が自然環境で生き延びるために必要なこと」
だと本書のなかで述べられていることは注目すべき点であるように思います。
自然との関わり合いについての問題はほかにも見られる。衛生仮説を思い出していただきたい。現代人、とりわけ都会で暮らす人々に自己免疫疾患が急増しているのは、環境があまりにも清潔なため、免疫系が現実の敵を失い、力を持て余して暴れているからではないか、というのがそれだ。わたしたちはフル装備の微生物に囲まれ、それらと闘いながら進化してきた。そのため微生物がいない状況では、とくに体内の生態系(マイクロバイオーム)に問題が起きる。健康でいるには、体の内の生態系が外の生態系と結びついていなければならない。
(ジョンJ.レイティ、リチャード・マニング『GO WILD 野生の体を取り戻せ!』 野中香方子 訳 p202)
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます(^^♪