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今回は『毒だらけ 病気の9割はデトックスで防げる!』(内山葉子 著 評言社 2018年)をこれからの健康と毎日の食生活を考えるための一冊として取り上げたいと思います。
医学博士であり、葉子クリニック院長である内山葉子医師による『毒だらけ 病気の9割はデトックスで防げる!』は、原因不明の体調不良やアトピー、うつ、慢性炎症を改善したり、生活習慣病などを予防したりしたいと考えている方にとっては、一読に値すると思われます。
なぜなら、本書を読めば、有害物質についての知識を得たり、正しいデトックスの方法を知ったりすることができるからです。
近年は、加工食品の多くに何種類もの食品添加物が使われていますし、洗剤、スキンケア用品、消臭剤などにも、からだにとっては不自然な化学物質が経皮毒として、たくさん入りこんでいるという問題があります。
また、大気汚染や土壌汚染といった環境汚染の問題もあります。
要するに体のなかに様々な毒素や不要物が溜まってしまっており、その毒素をからだが排出しきれないことが、アトピー性皮膚炎や慢性炎症などの発症と関係しているように思われるのです。
そして、もし加工食品に含まれる食品添加物や日用品に使われている化学物質の多くに無自覚なままでいると、生活習慣病やアレルギー、肥満など、様々な病気や症状の引き金にもなると、私自身、考えているのですが、実際に『毒だらけ 病気の9割はデトックスで防げる!』を読むと、いかに自分の身の周りに無数の有害物質が潜んでいるのかということを思い知らされるのです。
有害物質が私たちの体に及ぼす影響ははかりしれません。ほとんどの病気は、これら有害物質が体に蓄積することによって起こります。細胞が本来の機能を失い、細胞同士の情報交換ができなくなったり、細胞内の老廃物を排泄できなくなったり、栄養を摂れなくなったために起こると考えていいのです。
(内山葉子『毒だらけ 病気の9割はデトックスで防げる!』p4)
さらに、食品添加物や農薬、有害金属などの人体への悪影響について書いているデトックス本は多いですが、この内山葉子医師による『毒だらけ 病気の9割はデトックスで防げる!』においては、
- 内分泌かく乱物質
- 有害なハロゲン(塩素、フッ素)
- 揮発性溶剤
- 電磁波(EMF)
- 遺伝子組み換え食品、グリフォセート
- 食品添加物(人工甘味料、化学調味料、着色料、発色剤、リン酸塩)
- トランス脂肪酸
- 有害金属
- カビ(マイコトキシン)
- 大気汚染・土壌汚染
- 住環境での有害物質
- ワクチン
- パーソナルケア製品
といったように、健康を損なう可能性がある有害物質が関係しているものを広範囲にわたってカバーしています。
しかも、これらの有害物質についての基本情報が網羅されており、別ページでまとめられているので、ある意味、有害物質についての事典としても重宝する一冊になっています。
有害物質による人体への影響とは?
それに加えて本書、「有害物質は、さまざまな方法で人の体へ悪影響を及ぼします」として、
- 酵素阻害物質
- 内分泌かく乱物質
- 腸内細菌へのダメージ
- ミトコンドリア機能障害
- 自己免疫の異常
といった、有害物質による人体への影響を挙げています。
すなわち、有害物質の害から自分の身体をどのように守っていくかについて考えることは、ミトコンドリアを元気にして代謝を良くしたり、腸内環境を整えたり、免疫力を高めたりすることにつながっていくのです。
まずは「解毒」から始めることの大切さ。
しかし、様々な有害物質に囲まれているからといって、本書『毒だらけ 病気の9割はデトックスで防げる!』では、やみくもな薬やサプリメントなどの摂取を勧めているわけではありません。
内山葉子医師は、本書において、「私たちの体は、排泄能力の低下が起こっていると、有害物質がとても入りやすい環境になっています。まずそこを修復することのほうが重要であり、体にもやさしいのです」としており、
- 「体に負担のかかる解毒はしない」
- 「安全に行う」
- 「あせらずゆっくり順番に行う」
ことが大切だとしながら、「解毒の基本4原則」として、
- 有害物質をできるだけ避ける
- 有害物質が入りにくい体にする
- 内臓から解毒しやすい体にする
- 1~3ができたうえで、いろいろなものを使って外からも解毒をやさしく手伝う
(内山葉子『毒だらけ 病気の9割はデトックスで防げる!』p70)
を挙げています。
病気の9割をデトックスで防ぐには?
ところで、『毒だらけ 病気の9割はデトックスで防げる!』を読んでいると、安くて便利であるという理由から、つい手に取ってしまう、食品や日用品の多くには、様々な有害物質が潜んでいるということを思い知らされると同時に、身の回りは実は「毒だらけ」だと不安をおぼえ、疑心暗鬼になったり、深刻な気分になったりしてしまう読者の方も多くいらっしゃるかもしれません。
また、都会で生活している場合、ペットボトルに入れられた飲料ひとつをとっても、様々な有害物質にさらされていることが分かってくるため、「田舎で自給自足の生活でも送らない限り、有害物質から逃れることは不可能だ」と、デトックスをあきらめてしまうかもしれません。
しかし、私自身は、だからといってデトックスをあきらめてしまうのではなく、食品添加物や化学物質といった有害物質の除去や、体のデトックス(毒出し)に関しては、少しずつ、まずは全体の約3割を減らすことを目標に始めてみるのが良いと思っています。
原因不明の体調不調や慢性炎症を防ぐためには、デトックス生活への第一歩をまず踏み出してみることが大切なのです。
有害物質との向き合い方は、最初から100%を目指さないことが大切。
ですが、新しいことを「やる」か「やらない」かという選択を迫られた時、何事も、いきなり完ぺきに成し遂げようとすると、どこかで無理が生じるものです。
そのため、始める際に、最初から100%を目指すのではなく、まずは全体の30%程度の身の回りの有害物質を減らすための毒出し生活を意識し、そのことで、何か体の調子が良くなったな、と感じたら、そこから50%、70%と体内の有害物質を減らしていくようにすると良いと感じます。
このことに関しては、著者の内山葉子医師も、「あとがき」において、
こんなに有害物質にさらされているんだとげんなりされた方、もう今さらと思って諦めに近い思いになった方、大変だと不安や恐怖感をもたれた方もいるかもしれません。
そうです。今この社会で生きている限り、「毒」を完全に排除することは不可能です。
でも、みなさんを不安にさせるために、この本を書いたのではありません。
(内山葉子『毒だらけ 病気の9割はデトックスで防げる!』p245)
と述べています。また、インターネット上でデトックスに関する知識が簡単に手に入ることを懸念しつつ、
例えば、身の回りの「毒」を一つでもなくすことで、体の負担を減らすことができます。そして、私たちには「排泄する力」が備わっているのです。その力を最大限に活かしていく方法もあるのです。それを知ること、正しい知識を知ることこそが大切なのです。
正しい知識、対処法を知ることで、私たちの健康や健康不安はずいぶん変わります。また、正しい情報や知識を意識して生活するだけでも自然と入ってくる「毒」を減らすことができます。
(内山葉子『毒だらけ 病気の9割はデトックスで防げる!』p245~246)
と書かれている点は、非常に共感できるとともに、身の回りに潜む有害物質との向き合い方について考えさせられます。
身の回りの化学物質や食品に含まれる添加物、野菜や果物に使われている農薬などを、100%なくすというのは、不可能に近いと思います。
もちろん、100%を目指して努力されている方もいらっしゃると思いますが、私自身は、先程も述べたように、これから健康的な毎日を送っていくためには、いきなり100%を目指すのではなく、まずは30%程度、自分がやりたいと思う範囲内で有害物質を減らしていくのが良いと考えています。
なお、今回ご紹介した『毒だらけ 病気の9割はデトックスで防げる!』を書いた内山葉子医師には、ほかに『「おなかのカビ」が病気の原因だった』、『パンと牛乳は今すぐやめなさい! 』などの著作もあり、これらの書籍もこれからの健康を考えていくために注目です。