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今回は乳酸菌とビフィズス菌の違いについてです。
腸内細菌の集まりである腸内フローラを健康に保ったり、腸内環境を改善したりするためには、善玉菌の代表とされる乳酸菌とビフィズス菌の摂取が大切だとされていますが、そもそもこの二つは何が違うのでしょうか?
ビフィズス菌は乳酸菌の一種だとする専門家もいますが、厳密には乳酸菌とビフィズス菌は違います。
まず「乳酸菌」についてですが、乳酸菌とは、腸内で善玉菌として働く乳酸桿菌などの総称のことで、乳酸を生み出して腸を酸性に保つ働きがあります。
その乳酸菌について、理化学研究所の辨野義己氏は以下のように説明しています。
乳酸菌とは、主にブドウ糖から乳酸を作り出す細菌の総称です。酸素があっても生育できる通性嫌気性です。
乳酸菌にはラクトバチルス、ラクトコッカス、エンテロコッカスなどさまざまな属の菌がいて、26属400種類以上が発見されています。
糖から作り出された乳酸は酸性で、乳酸発酵した食べ物は酸っぱい味がします。
ヨーグルトは牛乳を乳酸菌の力で発酵させたものです。ほかにも野菜で漬物、魚でなれずしなど、乳酸菌は食品の発酵によく活躍しています。いずれも酸が作られるための腐敗菌が抑えられるので長持ちします。
(辨野義己『腸を整えれば病気にならない』 p33)
乳酸菌の性質とは?
ちなみに乳酸菌は胃酸に負けることなく生きたまま腸に届くと、3~7日は乳酸を腸内で生み出して酸性の保つとされています。
やがて食事から摂った乳酸菌は体外に排出されてしまいますが、そうなってしまう理由は、幼少期を過ぎてしまうと、腸内フローラの構成はほぼ決まってしまっているからです。そのため、体外からの乳酸菌を腸内フローラに新たに定着させることは難しいのです。
ちなみに生きた乳酸菌が含まれたヨーグルトや漬け物などの発酵食品やサプリメントは、「プロバイオティクス」と呼ばれており、健康にとって良い働きをする有用菌を腸内に定着させるのは難しいとしても、腸内環境を良好に保ったり、腸内細菌の集まりである腸内フローラを改善したりするために役立てられています。
また胃酸によって死菌になってしまった場合でも、善玉菌のエサになるため、厳密な「プロバイオティクス」の定義から外れるかもしれませんが、腸内環境を整えるのに効果を発揮してくれるといいます。
さらに、乳酸菌には「動物性乳酸菌」と「植物性乳酸菌」がありますが、漬物などに含まれる「植物性乳酸菌」のほうが、胃酸に負けず生きたまま腸に届きやすいとされています。
ビフィズス菌とは?
一方、ヒト特有の善玉菌であるビフィズス菌には乳酸菌よりも酢酸を多く作りだすという性質があります。
そしてこの酢酸を多く作り出すという性質が、悪玉菌の増殖を防ぎ、ヒトの腸内環境を正常な酸性に保つのに貢献しているとされています。
このビフィズス菌に関して、先程の辨野義己氏は以下のように述べています。
ビフィズス菌は、ビフィドバクテリウム属の細菌の総称で、酸素があると生育できない偏性嫌気性菌です。ビフィズス菌もブドウ糖から乳酸を作り出しますが、2対3くらいの割合で、乳酸よりも酢酸を多く作ります。酢酸は料理などに使うお酢の主成分で、やはり酸っぱい味がします。
ビフィズス菌は、人や動物、昆虫の腸管から40種類が発見されていますが、そのうちビフィダム菌、ロングム菌、ブレーベ菌、アドレセンティス菌など6種類が人間の腸内に存在していて、人の腸に最も多くすむ善玉菌です。
(辨野義己『腸を整えれば病気にならない』 p34)
このビフィズス菌の数は加齢によって減少すると言われていますが、難消化性のオリゴ糖(もしくはビフィズス因子)などで増やすことが可能だとされているため、普段から使っている砂糖の代わりにオリゴ糖を利用してみることは、ビフィズス菌を増やして腸内細菌のバランスを整えるのに有効かもしれません。
また、大腸におけるビフィズス菌と乳酸菌の割合は、99.9%がビフィズス菌で、0.1%が乳酸菌であるとされていますので、腸内フローラを健康的に保つためには、ビフィズス菌の存在が鍵を握っていると言えそうです。
以上ここまで、乳酸菌とビフィズス菌の違いについて述べてみました。