<報酬>が「習慣化」の鍵を握っている。

生活習慣

<報酬>が「習慣化」の鍵を握っているワケとは?

2024年の新生活、新しく始めたことを良い習慣として習慣化してみませんか?

今回は<報酬>が「習慣化」の鍵を握っているということについてです。

 

先日の記事で、ついやってしまう「習慣化」の鍵を握るのは「状況」と「きっかけ」であるということについて述べましたが、もし何か新しく始めたことを毎日の習慣にしたいならば、「報酬」についても考えなければなりません。

私たちが仕事であれ買い物であれ、エクササイズであれ、何らかの行動を毎日続けられるのは、そのことでご褒美(快感)が与えられるからなのです。

もしこれから健康のために運動や瞑想を始めようとしても、そのことが「苦痛」で仕方なく、「快」よりも「不快」のほうが勝るとしたら、自分のために毎日続けていこうとは思えないものです。

 

そして一度始めると簡単にはやめられない習慣には(オンラインゲームやギャンブル、飲酒や喫煙などは特に)、脳内の「報酬系」と呼ばれるシステムや、化学物質である「ドーパミン」が関与しています。

 

前述の『ぼくたちは習慣で、できている。』のなかで、佐々木典士氏は、

おいしかったレストランにはまた行くし、まずければ行かなくなる。ぼくたちは、行動の結果得られた楽しさや、嬉しさといった感情を、何度でも味わおうとする。ドーパミンを媒介にして作動するこの「報酬系」と呼ばれるシステムは、古い回路でラットも人間も変わらない。そして食事、セックス、仲間との交流など生存に役立つ行動をすると快感を感じることができる。

そしてこの行動と快感の結びつきは、行えば行うほど強化されていく。神経細胞のつなぎ目であるシナプスで、信号を受け取る「スパイン」という出っ張りは、何度も信号を受けると、実際に大きく成長する。

と述べています。

分かりやすく言えば、報酬や快が与えられれば、神経細胞のつながりが強化され、「もっと、もっと」と行動を繰り返すことで習慣が形成されやすくなるのです。

 

このことに関して、マサチューセッツ大学医学部准教授のジャドソン・ブルワー氏は『あなたの脳は変えられる』(岩坂彰 訳)のなかで、

単純に言えば、私たち生物は、望ましい結果につながる行動を学び、悪い結果につながる行動は避ける。行動と報酬のつながりがはっきりしていればいるほど、強化は強まっていく。

と述べています。

 

「ドーパミン」の性質とは?

オンラインショッピングであれ、SNSのチェックであれ、飲酒や喫煙であれ、いつものやめられない習慣に深く関わるのは化学物質の「ドーパミン」であるということはよく耳にすると思います。

しかしこの「ドーパミン」で重要なのは、決められた報酬が与えられた後よりも、目新しいものを発見した時や予想外の報酬が得られた時に活性化されやすいという点です。

たとえば新商品のスイーツにかぶりつく瞬間や、お店やインターネットの通販で何か魅力的な商品を見つけた時などです。私なんかは、書店で好きな作家や思想家の新刊が出ていることに気づくと、予想外の発見によってドーパミンが分泌されたのを感じます。

 

ところが、欲しい商品を購入したり注文したりする時はワクワクしますが、買った後は、買う前よりも高揚感がだいぶ薄れてしまいます。

仕事のお給料に関しても、給与明細に表示されている金額が予想よりも上回っていれば嬉しくなります(反対に、思ったよりも給料が少なければがっかりしてしまい、そのことが脳にとってのストレスになります)。

つまり「ドーパミン」のことを知るうえで重要なのは、報酬が与えられたということよりも「予測していなかった」「予想外である」という点なのです。

 

ちなみに、『もっと! 愛と創造、支配と進歩をもたらすドーパミンの最新脳科学』(梅田智世 訳)の中で、ジョージワシントン大学教授のダニエル・リーバーマン氏らは、ドーパミンが何よりも好きなのは、予測よりも良いものを見つけた時に生じる「報酬予測誤差」であると述べています。

そして、

「報酬予測誤差が快感を生むのは、自分の人生をより良くしてくれる予想外の新しいものが存在するという事実にドーパミン回路が興奮するからだ」

と述べています。

すなわち、予想外の発見と驚きによってドーパミンは活性化するのです。

 

すぐに報酬が与えられると習慣になりやすい。

そして、「予想外の発見と驚きによってドーパミンは活性化する」と述べましたが、「ドーパミン」と「習慣化」との関係については、すぐに報酬が与えられると習慣になりやすいということが挙げられます。

このことは日々の生活のなかで多くの方が実感されているかもしれませんが、このことに関して、『やり抜く自分に変わる 超習慣力』のなかでウェンディ・ウッド氏は、

 

「ドーパミンは、習慣の学習にかかる時間を決定づける役割を果たす」

「ドーパミンはサリエンスの処理を進めながら報酬を伝達するので、習慣が構築され、プラスの結果をもたらす行動や目標を満たす行動を継続しようという意欲や元気がもたらされる」

「習慣との関連づけ(状況‐反応)を記憶に植えつけるには、何かを行った直後に報酬を体験する必要がある」

と述べています。

 

(ちなみに「サリエンス」とは、「顕著性」「目立ちやすさ」のことを意味し、SNSの通知アイコンなど、思わず注意が向くような「注意を誘引するもの」のことをいいます。)

 

つまり、ゲームであれギャンブルであれスポーツであれ、何かを行ったことで「楽しさ」や「気持ちよさ」が実感できれば、またやりたいと意欲が湧き、繰り返すことで毎日の習慣になりやすいのです。

反対に何かを頑張って続けてみても思った通りの結果が得られない、もしくは得られる報酬がしばらく後であると、「行動を起こして期待していた報酬が得られないと、ドーパミンの活動が減少し、今後その行動を避けるようにという信号を出す」とも述べられているように、なかなか習慣として定着しにくいのです。

たとえば少しでも収入を増やすために、副業としてユーチューブを始めたとしても、労力に見合った報酬が頑張った結果として短い期間に与えられなければ、お金を得ることを目的にしている限りなかなか長くは続けられず、途中であきらめてしまうのです。

 

またダイエットのためにジムに通って激しい運動をしたとしても、体重がそれほど落ちず、体型が以前と変わらないままであれば、長続きはしないのです。

しかし自分が制作した動画の閲覧数が少ないと悩んでいたところ、見たユーザーから励まされたと感謝のコメントをもらったり、体重は落ちなくても、ジムでインストラクターが組んだプログラムが楽しかったりすると、そのことが意外な報酬となり、「もうちょっと続けてみようかな」という気にもなれます。

 

すなわち「習慣化」の鍵を握っているのは、「お金」など外在的なものに限定されず、内在的な喜びや楽しさ、気持ちよさ、充実感なども含めた、広い意味での「報酬」なのだと言えるのです。

 

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます(^^♪

 

 

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当ブログ「ハチミツとミトコンドリア」ではハチミツの栄養効果とミトコンドリアのエネルギーで、令和の時代の真の健康と幸福の実現、現代病の問題の多くを解決する方法について考えています。ここまで記事を読んでくださり、ありがとうございます。


(なお、健康についてはそれぞれ個人差があり、誰にとっても100%正しい情報というのは考えにくいため、当ブログの記事内容については参考程度に止めておいていただければ幸いです)。

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