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毎日何となくイライラしたりモヤモヤしたりする。そんな時は、自分自身の心と身体の健康のために、「毎日ヨガ」を始めてみませんか?
今回は、初心者でも実践できるヨガの呼吸法についてです。
私自身、心身の健康のために<呼吸>を長年探究してきましたが、初心者が実践しやすいヨガの呼吸法においては、まず、以下の3つが大切になってくると考えられます。
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口ではなく、鼻で呼吸する。
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吸うよりも吐くが大切。
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「吸う」と「吐く」の合間に息を止める。
1、口ではなく、鼻で呼吸する。
ヨガの呼吸で大切なのは、吐く時も吸う時も口ではなく、基本的に鼻で呼吸することです。
鼻呼吸は口呼吸に比べて呼吸が自然と深くなり、換気効率が安定しやすいため、細胞に十分な酸素が供給されるといいます。
また、鼻呼吸は横隔膜をしっかり使うため、副交感神経を優位にしやすいとも言われています。
さらに、鼻には加湿や加温に加え、汚れた空気に蔓延するホコリや細菌の侵入を防ぐフィルター機能が備わっています。
まずは常に鼻で呼吸することを意識すること、このことが呼吸を整えるために大切になってきます。
ちなみに、鼻を通る空気の温度変化に意識を向けることで、前述した「内受容感覚(自分の内側の感覚を察知する能力)」も磨かれます。
2、吸うよりも吐くが大切。
鼻呼吸を意識することの次に大切なのは、息をゆっくりと長く吐くことです。
まず、普段から息をゆっくりと長く吐くようにすると、自律神経のバランスが整いやすくなります。
自律神経は、交感神経と副交感神経に分けられ、脳や脊髄から出て、血管・内臓・腺・心臓・消化管などに枝を伸ばしています。
多くの方がご存知かもしれませんが、興奮したり緊張したりすると交感神経が優位になり、一方、休息したり、リラックスしたりすると、副交感神経が優位になると言われています。
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交感神経(戦うか逃げるか)
脊髄の中部から出て、心拍数を上げ、血管を収縮させ、消化活動を抑制します。 -
副交感神経(休息と消化)
脳幹(迷走神経など)や脊髄の下部から出て、心拍を落ち着かせ、内臓の働きを活性化させます。
自動車に例えるならば、交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキの役目を担っています。しかし、ストレスが多い現代人は、自律神経のうち、交感神経の方が優位になりがちであるとされています。
前述しましたが、日常生活のなかで何かと「ストレス」を感じることが多いという場合は、「闘争か逃走か」というストレス反応によって緊張状態が続いてしまいます。
そうすると、一日のうちで副交感神経が優位になるリラックスタイムをなかなか自分で作れず(アクセルを踏みっぱなしでブレーキが利きづらい)、そこから慢性疲労や自律神経失調症、不眠症、心疾患などを招いてしまう可能性も生じてきます。
しかし息をゆっくり長く吐くと、副交感神経が優位になり、「休息と回復」のモードに入ることで、心拍数や血圧が下がり、消化や修復、細胞の代謝が効率的に行われる状態になります。
呼吸は唯一の「切り替えスイッチ」
特に現代社会においては、デジタルデバイスによる過剰な視覚情報やストレスによって、自律神経のバランスが「交感神経優位」に偏りがちです。
通常、心臓の鼓動や消化液の分泌を自分の意思で止めることはできません。しかし、自律神経が支配する機能の中で唯一、「呼吸」だけは意識的にコントロールが可能です。
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吸う息・・・交感神経を適度に刺激し、活力を生む。
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吐く息・・・迷走神経を通じて副交感神経を刺激し、リラックスを促す。
【腹式呼吸の基本】まずは1:2のリズムから。

【腹式呼吸の基本】まずは1:2のリズムから。
最初に息を吐き出した後、4秒で吸い、8秒かけて吐くといった、「吐く息を長くする」プロセスが、副交感神経を優位にし、身体の緊張を解いていきます。
腹式呼吸の基本は、まず鼻から少量の息をゆっくりと長く吐いていき、お腹をへこませていきます。そして息を吐ききって少しでも苦しくなったら、お腹の力を抜きます。すると「スッと」息が入ってきます。
また、「吸う」と「吐く」の割合を、最初は「1:2」にしてみるのがオススメです。
つまり、8秒吐いたら4秒吸う、10秒吐いたら5秒吸う、といった感じです。
息を止める時間をはさむ。
さらに、「1:1:2」「1:2:2」などを目安に、吸う息と吐く息の間に、息を止める時間を数秒はさむと、より呼吸を深めるのに効果的です。
例 5秒吸う ⇒ 5秒止める ⇒ 10秒吐く
5秒吸う ⇒ 10秒止める ⇒ 10秒吐く
なお、ヨガの息を止める技法「クンバカ」は、生命エネルギー(プラーナ)を体内に留め、集中力を高めたり、動じない心を育てたりするために行われるとされています。しかし、初心者が無理に行うと血圧の急上昇や酸欠状態を招く恐れがあります。
そのため、安全に行うためのポイントは以下の通りです。
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「静止」を楽しむ:
息を止めるのは、力んで肺にフタをすることではありません。振り子が頂点で一瞬止まるような、自然な「静けさ」を感じる時間を1〜2秒作ることから始めましょう。 -
喉をリラックスさせる
喉の奥(声門)をギュッと締めず、喉を広げたまま呼吸の流れだけを止めるイメージを持ちます。 -
苦しさは「やりすぎ」のサイン
息を止めた後に、次に吸う息が「ハァハァ」と乱れるようであれば、それは止めすぎです。次の呼吸が穏やかに再開できる範囲に留めてください。

なぜ「止める」が大切なのか?
ヨガの哲学では、呼吸と心は密接につながっていると考えられています。
「息(プラーナ:生命エネルギー)」を止めることで、揺れ動く心を静止させるのが本来の目的であるとも言われていますが、生物学的な視点で見ても、短時間の息止めは以下のような変化をもたらします。
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二酸化炭素耐性の向上:
血液中の二酸化炭素濃度がわずかに上がることで、逆に細胞への酸素供給がスムーズになる(ボーア効果)と言われています。 -
自律神経の調整
意図的に呼吸をコントロールすることで、神経系を鎮め、内側からエネルギーが満ちていく感覚が得られます。
またクンバカには大きく分けて2つのタイミングがあります。
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吸った後に止める(アンタラ・クンバカ)
エネルギーを体内に満たし、活力を蓄えるイメージ。 -
吐いた後に止める(バーヒヤ・クンバカ)
静寂や空虚を感じ、リラックスを深めるイメージ。
初心者が実践する時の注意点
ヨガについて書かれた本などでは「1(吸う):4(止める):2(吐く)」をはじめとして、呼吸の様々なやり方が紹介されていますが、呼吸法を実践する際は、無理することなく、吐く息を長くすることを基本に、自分が気持ちよく呼吸できる間隔を試してみると良いと思います。
また、呼吸法を実践する際は、呼吸に「良い」も「悪い」もないため、無理に完ぺきな呼吸を目指そうとせず、自分自身の自然な呼吸をただ見守るというマインドフルネスの観点を持つことも大切です。

ヨガ初心者向けの呼吸ガイダンス
それではこれから、ヨガの初心者でも出来る呼吸法を、ゆっくりと、無理のないペースで進めていきましょう。
まずは静かな場所で、安楽座になって座ります。
両脚は楽に組み、坐骨で大地を感じるように安定させます。背筋はやさしく伸ばし、肩の力を抜いて、手のひらは膝の上にそっと置きましょう。目は軽く閉じても、薄く開けたままでも構いません。
では、呼吸に意識を向けていきます。
最初に大切なのは、「鼻で呼吸すること」です。
口は閉じて、鼻から静かに息を吸い、鼻から吐いていきます。
空気が鼻の中を通るときの、わずかな温度の違いに気づけるでしょうか?
その繊細な感覚を、ただ観察するようにしてみてください。
次に、「吐く息」を少しずつ長くしていきます。
まずは一度、今ある息をゆっくりと吐き出します。
お腹がやさしく内側に戻っていくのを感じながら、無理のない範囲で、細く長く吐いていきましょう。
吐ききったら、頑張って吸おうとせず、
お腹の力をふっと緩めてみてください。
すると自然に、息が静かに入ってきます。
ここから、シンプルなリズムを試してみましょう。
4秒で吸って、8秒で吐く。
吸う:1、2、3、4
吐く:1、2、3、4、5、6、7、8
吐く息のほうが長く、穏やかに続いていく感覚を大切にします。
慣れてきたら、呼吸と呼吸のあいだに、ほんの少し「間」をつくります。
吸ったあと、1〜4秒だけ静かに止まる。
吐いたあとにも、1〜4秒、自然な静けさを感じる。
ここで大切なのは、「止めよう」と力むことではありません。
振り子が頂点でふっと止まるような、自然な静止です。
呼吸の流れはこうなります。
吸う → やさしく止まる → 吐く → やさしく止まる
もし途中で少しでも苦しさを感じたり、呼吸が乱れたりしたら、
すぐに元の自然な呼吸に戻ってください。
心地よさが、何よりの目安です。
続けていくうちに、吐くたびに身体の緊張がほどけ、
吸うたびに静かなエネルギーが満ちていくのを感じるかもしれません。
最後は、呼吸をコントロールしようとせず、
ただ自然に行われている呼吸をやさしく見守ってみましょう。
完璧な呼吸法を目指して「うまくやる」必要はありません。
呼吸に良いも悪いもなく、今この瞬間の呼吸に気づいていること、それ自体が十分なマインドフルネスの実践です。
さあ、静かな余韻を感じながら、今度はゆっくりと目を開けていきましょう。

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます(^^♪


























