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今回は、30代・40代からの体の調子を整えるための3つの方法についてです。
30代や40代の方で、年齢を重ねるごとに、20代の時のようにはいかない、といったような様々な体の不調を感じることはないでしょうか?
この記事では、30代・40代からの体の不調を防ぐための3つの方法として、
- ミトコンドリアを元気にすること
- 体内の酵素を増やすこと
- 腸内フローラのバランスを整えること
を提案してみたいと思います。
では、なぜミトコンドリアと酵素と腸内フローラがからだの調子を整えるのでしょうか?
実はこれらミクロの世界の3つの存在は、代謝を良くしたり、心身のバランスを整えたりすることに関係しているのです。
細胞内のミトコンドリアに注目することが大切なわけ。
まず、ミトコンドリアについてですが、ミトコンドリアは私たちの細胞に200個から1000個程度存在していると言われています。人間の細胞の数を60兆個だとすると、私たちの体には1京以上の数のミトコンドリアが存在していることになります。
そのミトコンドリアは、太古の昔、真核生物にアルファ・プロテオ細菌がもぐりこむことによって誕生したといわれています。
そして、これまで生物には使われなかった酸素を利用することで、私たち多細胞生物はより多くのエネルギーを得られるようになったのです。
ここからが大事なのですが、実は私たちが多種多様な生命活動を行なえるようになったのは、そのミトコンドリアが酸素や水素などを利用することで、解糖系の何倍ものエネルギー(ATP)を生み出しているからなのです。
このことを考えると、生命の主役とは、実はミトコンドリアなのだと言えます。
また、医学博士の西原克成氏は『免疫力を高める生活 健康の鍵はミトコンドリアが握っている』のなかで、ミトコンドリアの働きが細胞の力を決定づけており、「その細胞の生命力こそが人の本来の免疫システムである」と述べています。
さらにミトコンドリアについて、
「一、ミトコンドリアは、各細胞のなかで半ば自立的に分裂・増殖を続けている。」
「二、食物として取り入れた糖や脂肪などの栄養素やミネラル・ビタミン・水素と、呼吸によって取り入れた酸素、それに酵素と補酵素が加わって、三〇〇種類ほどある全身の細胞がそれぞれに必要とするエネルギー物質のアデノシン三リン酸(ATP)をつくり出している。」
「三、ミトコンドリアは、新陳代謝の主役としては体温を一定に保ち、細胞のリモデリングを行い、細胞の同化・異化・運動の調節・老廃物の排出とともに老化を予防する働きを担っている。」
としています。
そのため、ミトコンドリアが機能不全に陥らないような生活習慣を送ることが、体の不調を防ぐために重要になってくると考えられるのです。
それに加えて、酵素はミトコンドリアが「ATP(アデノシン3リン酸)」と呼ばれるエネルギー通貨が生み出される過程で必要になります。また腸から送られた栄養素も、細胞内のミトコンドリアを「ATP」を生み出すことと関係しています。
ミトコンドリアを元気にするには?
そのミトコンドリアを元気にするには、太陽の光を適度に浴びることが大切です。
またミトコンドリアの増やし方として、日本医科大学教授の太田成男氏が『体が若くなる技術 ミトコンドリアを増やして健康になる』のなかで、
- マグロトレーニングをする
- 姿勢を保つ
- 寒さを感じる
- 空腹を感じる
といったことを挙げています。
ちなみに、ミトコンドリアの働きの障害となる要素としては、西原克成氏が、ビタミンやミネラルなどの栄養素の過不足、血液中に侵入したウイルスや細菌、人間にとって不適当な外部からの重力や気圧、温度、さらに、ストレスや過剰な紫外線、激しい運動などによって生じる活性酸素などを挙げています。
これらの要素によってミトコンドリアの働きに障害が起こると、スムーズに細胞の新陳代謝が行なわれなくなるのです。
また老化が早まったり、生活習慣病や自己免疫疾患、アレルギーといった病気の原因になったりすると西原克成氏は述べています。
特に活性酸素(フリーラジカルの一種)は、ミトコンドリアの機能低下の大きな原因になるので注意が必要です。
その活性酸素とは、ペアになっていない電子をもつ不安定な酸素のことで、体内に増えすぎると、全身の細胞の老化を促したり、遺伝子を傷つけたりするとされています。
すなわち、ミトコンドリアと健康の関係で言えば、過度のストレスや、運動のしすぎ、無理しすぎなどに気をつけることも大切なのです。
体内酵素を増やすことが体の不調を防ぐ。
酵素は人間の体内では、食べ物の消化や吸収、解毒、代謝など、あらゆる生命活動の媒介として働いています。
栄養素が材料であるとするならば、酵素はその栄養素を使って体の組織や器官を作りあげる大工さんの役割を果たしているのです。もし体内の酵素がきちんと働いていなければ、生命活動を維持したり、新陳代謝を活発にしたりすることは出来ません。
そのため、なるべく酵素を無駄遣いしない生活を送ることが免疫力を高める秘訣になってくるのですが、近年は食べ過ぎの傾向によって酵素を消化のために必要以上に浪費していると考えられます。
もし一度に大量の食物が胃の中に入ってくると、いくら酵素の力を以ってしても、全ての食べ物を消化することは出来ません。そして食べ物の「消化不良」によって免疫システムのかなめである腸の腸内環境をひどく悪化させ、免疫力を低下させてしまいます。
また、ファーストフードや加工食品にたくさん含まれている「砂糖」や「トランス脂肪酸」「食品添加物」なども、分解するのにたくさんの酵素が必要になります。
そのように酵素が消化のほうにばかり使われてしまうと、体内の酵素は「代謝」や「解毒」のほうにまで、なかなか回らなくなってしまいます。そのため、「代謝」や「解毒」の能力が妨げられ、細胞の新陳代謝が滞ってしまいます。そして、細胞の新陳代謝が鈍ることによって、生活習慣病をはじめとした病気にかかりやすくなってしまうのです。
体内酵素を増やすには?
したがって、普段から酵素を消耗しないよう、普段から少食を心がける必要があります。また、酵素が多く含まれた食材を積極的に摂って体内の酵素を増やすことが大切です。
しかし酵素は熱に弱い性質があり、50℃を超えると効果が失われてしまうと言われているため、加熱食や加工食品にはほとんど含まれてはいません。そのため、加熱食や加工食品を中心にした食生活を送ってしまうと、酵素が補充されず、どうしても酵素が不足しがちになってしまうのです。
酵素は主に生の野菜や果物、発酵食などに豊富に含まれています。そのほか、近年は生きた酵素を補充するための酵素サプリメントが多く販売されるようになってきています。
その食品に含まれている食物酵素は、体内で代謝のために使われることはありませんが、消化酵素として、日頃の食べ物の消化を助けてくれます。そして、外から消化酵素が補充されることによって、体内の酵素に余裕が出来、その分、体内の酵素は代謝にも使われやすくなるのです。
また酵素にはドロドロになった血液をサラサラにする働きがあるとされているため、体内の酵素を増やして血液をキレイにすることは、血液の免疫細胞が働きやすくなること、すなわち免疫力の向上にもつながります。
腸内フローラが心と体のバランスを整える。
最後に、「腸内フローラ」についてですが、 ヒトの腸内にはおよそ1000種類、600~1000兆個もの腸内細菌が生息していることが分かってきており、その腸内細菌はの群生の様子はお花畑になぞらえて「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼ばれています。
近年、この腸内フローラの「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」のバランスが、生活習慣病の予防をはじめとして、過敏性腸症候群・潰瘍性大腸炎の症状緩和、アレルギーの予防など、わたしたちの健康維持に大きく関わっているとして、メディアなどで非常に注目されるようになりました。
また「脳腸相関」「腸脳相関」という言葉が示すように、腸と脳は密接に関係しています。
もし腸内環境が悪ければ、不安に駆られるなど、気持ちの面でも安定しませんし、脳がストレスを感じれば、腸内環境も悪化してしまいます。
つまり、メンタル面を良い方向へと導くためには、腸内環境を良くしていくことが必要なのです。
さらに近年は、腸内環境を良くすることは、うつや認知症、自閉症などの症状の緩和にも関わってくるとして、腸内フローラを改善することに期待が持たれています。
ところで、免疫細胞のおよそ3分の2が消化管である腸に集中しているため、腸は「腸管免疫」と呼ばれています。
それに加え、食べ物の栄養は腸から血液を通して全身の細胞に送られるため、腸は樹木に例えるならば根っ子であり、土壌そのものなのです。
したがって、もし腸内環境が悪ければ、せっかく食べ物を摂っても、栄養素が十分に吸収されなくなります。
また、腸内フローラを構成している腸内細菌の集まりには免疫系と対話して、免疫機能を改善する働きもあります。
このような理由から、腸内細菌のバランスを整えて腸内フローラを改善していくことは、心と体のバランスを整えることに直結するのです。
腸内フローラのバランスを整えるには?
一般的に腸内フローラ改善に役立つのが、「プロバイオティクス」や「プレバイオティクス」と呼ばれる食品だとされています。
「プロバイオティクス」とは、生きた乳酸菌など、からだにとって良い働きをする有用菌が含まれた食品のことです。ヒト特有の善玉菌であるビフィズス菌や乳酸桿菌は、生きたまま腸に届くと、酢酸や乳酸を分泌して腸内環境を正常な酸性に保ってくれます。
また胃酸によって死菌になった乳酸菌(乳酸桿菌・ビフィズス菌など)は、腸内細菌のエサになって、善玉菌を増やすと言われています。
プロバイオティクスを効果的に摂るには、発酵食品や品質の良い乳酸菌サプリメントなどが有効です。
もう一方の「プレバイオティクス」とは、食物繊維やオリゴ糖といった、腸内細菌のエサになる難消化性の糖質が含まれた食品のことです。こちらの「プレバイオティクス」は、腸内細菌のうちの善玉菌を増やして腸内細菌のバランスを整えるのに役立ちます。
このプレバイオティクスの代表的な食材としては、野菜や果物、海藻などがあります。
これら、プロバイオティクスやプレバイオティクスをうまく利用することは、腸内フローラのバランスを整えるのに有効です。しかし、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」で、腸内環境を変えるためにやみくもに善玉菌を増やそうとすると、腸内フローラのバランスは逆に悪化する可能性があります。
そのため、腸内細菌のバランスを整えるためには、まずは毎日の食事に発酵食品や食物繊維を適度に取り入れるなど、地道に続ける習慣が大切になってきます。
以上ここまで、30代・40代からの体の調子を整える3つの方法について述べてみました。
30代・40代からの体の不調に悩まれている方は、もしよろしければ、ミトコンドリア・酵素・腸内フローラを意識し、バランスが整った生活習慣を送ってみてはいかがでしょうか?