執拗な除菌や殺菌は、果たして腸活や腸の健康維持のために必要なのでしょうか?
今回は『すべての不調をなくしたければ除菌はやめなさい』(ジョシュ・アックス 著 藤田紘一郎 監訳 文響社)という一冊を、これからの腸の健康のためにご紹介していきたいと思います。
ここ数年の間、腸内細菌の集まりである「腸内フローラ」と健康の関係について注目が集まるようになりましたが、アメリカの自然療法医師、臨床栄養士であるジョシュ・アックス氏の『すべての不調をなくしたければ除菌はやめなさい』(藤田紘一郎 監訳 文響社)は、腸内環境を整えるための集大成的な一冊だといえます。
このように述べる理由は、本書では食事を中心に、「イート・ダート・プログラム」「腸のタイプに合わせた処方せん」といった腸内環境を改善し、健康な腸を手に入れるための具体的な方法が、詳述されているからです。
現代社会においては、アレルギーや自己免疫疾患、炎症性腸疾患、肥満、大腸がん、うつ、アルツハイマー、自閉症などの病気・症状が問題視されており、それらの病気・症状と腸との関係が注目されています。
特に日本では「腸もれ」とも呼ばれる「リーキーガット症候群」が本書の冒頭で問題視されており、その「リーキーガット症候群」が改善されれば、
・活力が高まる
・消化機能の回復。
・輝くような健康的な肌。
・鼻詰まりの解消やアレルギー症状の抑制。
・関節の痛みの解消。
・明瞭な思考や集中力。
・自分の体や自身に対する自信が出てくる。
・代謝の増加(および体重減少)。
・ホルモンバランスの安定。
・感情の起伏の減少。
(ジョシュ・アックス『すべての不調をなくしたければ除菌はやめなさい』 藤田紘一郎 監訳 p17)
といった変化に自分自身で気づけると著者のジョシュ・アックス氏は述べています。
「Eat Dirt」(土を食べる)とは?
ちなみに原題は『Eat Dirt』となっており、具体的に腸とからだの健康のために「土壌菌(SBO)または土由来の有機物を取り入れる」ことが推奨されている点は、非常に興味深い点です。
しかし「Eat Dirt」とは、本当に土を食べなさいということなのではなく、最低三日に一回は土に触れるような、自然に根差した経験そのものを増やすことを指すのだと個人的に思います。
このことは分かりやすく言えば、「汚れる」ことを極端に恐れ、清潔すぎる文明社会や人工的な環境のなかで暮らすのではなく、リスクを恐れず、森林浴などの実践によって、あえて自然に親しみ土に直接塗れるような生活習慣を選択するということです。
清潔すぎるということが問題の一部としてあるのであれば、その解決方法は対極にあるに違いないと私は確信した。つまり、汚くなるということだ。天然の免疫システムとして機能する、すでに私たちが失ってしまった細菌、ウイルスその他の微生物を棲まわせていた汚い土へのたまの接触を意識して繰り返す。私たちの環境にある抗菌製品による攻撃によって失われた体内の有効なバクテリアを強化し、栄養補給する。そして私たちの免疫システムを教育し直す。そうすれば、過剰に反応することなく自分自身を守ることが再びできるようになるはずだ。
あちこちにある少しの汚れなど恐れてはいけない。その代わり、より意識的に自然のリズムに身を任せ、日々私たちの周りにある癒しのパワーを利用しよう。
(ジョシュ・アックス『すべての不調をなくしたければ除菌はやめなさい』 藤田紘一郎 監訳 p10)
もちろん、アメリカ人の腸内環境や生活環境と、日本人の腸内環境や生活環境は違いますので、本書に書かれている内容を全て鵜呑みにする必要はないと思いますが、通読してみれば、健康的な身体と腸への変革を進めていくのには、非常に役立つことが分かると思います。
また、腸内フローラを改善するための食事に関しては、誰にとっても良い働きする食べ物を指定するのは難しいかもしれませんが、発酵食品や骨スープ、ヒマラヤの「シラジッド」などの摂取を勧める食事に関しての本書のアドバイスは、そのほとんどが参考にできる内容です。
ただし、腸の健康のためには、加工食品に依存することを止め、有機栽培の農作物をはじめとした質の高い食材を摂取することが要求されているので、そのあたりは、実際に実践するにはハードルが高いと感じられるかもしれません。
本書は腸内環境を根本的に変えていきたいという方にオススメ。
以上ここまで『すべての不調をなくしたければ除菌はやめなさい』(ジョシュ・アックス 著 藤田紘一郎 監訳 文響社)という一冊を、これからの健康のためにご紹介してきました。
腸内環境を根本的に変えていきたいという方は、とりあえずこの本を読んでおけば、健康というものに対して「100パーセントの正しさ」を要求することは難しいとしても、腸の健康実現のための方向性としてはほぼ間違いはないと思われます。
さらに、『腸内細菌が家出する日』など、本書の監訳をしている藤田紘一郎氏の著作や、デイヴィッド・パールマター氏の『「腸の力」であなたは変わる』などに好感がもてるという方は、本書は非常に興味深く読める一冊だと思いますので、一読をオススメします。
なお、本書で提示されている「イート・ダート・プログラム」についてはこちらの記事をご参照ください。
「治癒は可能だ。必要なのは、体にダメージを及ぼす極めて危険な習慣をいくつか変えるという強い意志を呼び起こすこと。特に、清潔であろうとする私たちの妄信的習慣を変えることなのだ。」
(ジョシュ・アックス『すべての不調をなくしたければ除菌はやめなさい』 藤田紘一郎 監訳 p34)
ここまで読んでくださり、ありがとうございます(^^♪
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