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今回は『医学常識はウソだらけ 分子生物学が明かす「生命の法則」』(三石巌 著 祥伝社黄金文庫)を、これからの健康を考えるために、ご紹介したいと思います。
分子生物学者であり、晩年には分子生物学に基づいた「分子栄養学」を創設した三石巌氏による『医学常識はウソだらけ 分子生物学が明かす「生命の法則」』(祥伝社黄金文庫)は、巷に拡がる健康常識を一刀両断する痛快な一冊です。
分子生物学をきちんと学んでいないことによる「「医学常識」は「科学の非常識」」とし、一般的に「体に悪い」と思い込まされているもの、例えば、食塩や砂糖、コレステロール、動物性脂肪などが、体に悪いというのは、実はウソであるということを明らかにしています。
(特に印象的だったのは、私は吸いませんがタバコに関してで、タバコを吸うことによって発生する活性酸素よりも、無理にタバコを止めることによる強いストレスのほうが体に悪いと述べている点は、近年の禁煙を強制するような風潮において、本当の意味での健康とは何か、ということを考えさせられます)。
その一方で、有機野菜や無農薬野菜、玄米食、アルカリイオン水など、体に良いとされているものに関しても、何らかの疑問を呈していますので、特定の健康法を信じて実践している方にとっては、本書『医学常識はウソだらけ』は、どこか賛同しかねる部分があるかもしれません。
かくいう私自身も、分子生物学の知識はヒトの健康を考えるうえで最低限必要だと思いますが、かといって、三石巌氏が本書のなかで述べていることが全て100%正しいとは思いません。
しかし、この『医学常識はウソだらけ』のなかで強調されている、
- メガビタミン主義
- 良質タンパク質の摂取
- 活性酸素対策
の重要性については、非常に説得力があり、傾聴に値すると思われます。
メガビタミン主義とは?
特に「メガビタミン主義」に関して、三石氏は、ビタミンは不足するよりは、たくさん摂っておいた方が良いと述べ、また、必要量に関してはかなりの個人差があるとしています。
たとえばビタミンの必要量にも、かなり個体差がある。AやEなどの脂溶性ビタミンで一〇対一、CやB₁などの水溶性ビタミンでは一〇〇対一もの開きがある。最も多く必要な人は、最も少なくて済む人の一〇〇倍のビタミンCを摂取しなければならないのである。しかも、一〇〇対一という水溶性ビタミンの個体差は、体に何のトラブルも抱えていない健康な人々のあいだで生じるものである。一〇〇倍の水溶性ビタミンが必要だからといって、その人が何か病気にかかっているわけではない。病人や体の不調を感じている人の場合、さらに何倍、何十倍ものビタミンCやB₁が必要になることもある。
(三石巌『医学常識はウソだらけ』p207)
さらに、ビタミンやミネラルはタンパク質を作る能力と関係していることから、
「体内ではDNAの指令にしたがってフィードバックが行なわれている。大量のビタミンを摂るメガビタミン主義によって、すべてのタンパク質がうまく作られるようになるということは、このフィードバックが順調に行われるということだ。」
と述べている点からは、鶏卵などから摂取した良質なタンパク質を活かすためには、いかに多くのビタミン(特にビタミンC)が必要か、ということが理解出来てくるのです。