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以前の記事でご紹介した「リフレーミング」と、最近よく耳にするようになった「マインドセット」は、ビジネスやメンタルヘルスなどに役立つ、どちらも思考や行動を変える強力な心理的ツールです。
しかし、「リフレーミング」(Reframing)と「マインドセット」(Mindset)は似ているようで、そのアプローチや目的は異なります。
本記事では、この2つの違いと使い分け方を詳しく解説したいと思います。
1. リフレーミングとは何か

リフレーミング(Reframing)は、ある出来事や状況に対する見方の枠組みを変えることで、意味づけや感情の受け止め方を変える心理的技法です。
もともとはNLP(神経言語プログラミング)や認知行動療法などでよく使われる概念で、状況そのものを変えずに、認知の「フレーム」を変更します。
例えば、上司に厳しく注意された場面を「嫌われている証拠」ではなく「自分を成長させようとしてくれている証拠」と捉え直すのがリフレーミングです。
ポイントは、「事実」はそのままにして「解釈」を変えること。これにより、ストレスや不安を減らし、より建設的な行動を促せます。
リフレーミングの例
1. 仕事での失敗
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事実:大事なプレゼンで言葉につまってしまった。
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ネガティブな捉え方:「自分はプレゼンが下手で、みんなに悪い印象を与えた」
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リフレーミング:「緊張してもなんとか最後までやり切れた。次は練習量を増やせばもっと成長できる」
2. 渋滞に巻き込まれる
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事実:帰宅途中に道路が混んでいて30分遅れそう。
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ネガティブな捉え方:「時間を無駄にした」
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リフレーミング:「普段忙しくて聴けないポッドキャストをゆっくり楽しめる時間になった」
3. 友人に約束をドタキャンされる
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事実:楽しみにしていた食事がキャンセルになった。
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ネガティブな捉え方:「せっかく予定を空けたのにがっかり」
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リフレーミング:「今日は自分のために時間が使える。読みかけの本や映画を観よう」
2. マインドセットとは何か?

マインドセット(Mindset)は、物事を判断・行動する際の基本的な信念や価値観のセットを指します。
キャロル・S・ドゥエックの研究で有名な「固定型マインドセット」と「成長型マインドセット」が代表例です。
マインドセットは、一時的な視点変更ではなく、長期的な思考パターンや行動傾向を形作ります。
例えば、「能力は努力で伸ばせる」と信じている人は、失敗しても挑戦を続けますが、「能力は生まれつき決まっている」と信じる人は、失敗を避ける行動をとりがちです。つまりマインドセットは、日常の意思決定や挑戦への姿勢そのものに影響するのです。
マインドセットの例
1. 成長マインドセット(Growth Mindset)
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考え方:「能力やスキルは努力と学びによって伸ばせる」
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行動への影響:失敗を避けるのではなく、挑戦から学ぼうとする。
2. 豊かさマインドセット(Abundance Mindset)
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考え方:「世の中の資源やチャンスは十分にあり、他人の成功は自分の損失ではない」
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行動への影響:人を応援しやすくなり、協力や共有を前向きに行える。
3. 長期志向マインドセット(Long-term Orientation Mindset)
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考え方:「短期的な成果より、長期的な成長や信頼の積み重ねを優先する」
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行動への影響:目先の利益よりも習慣づくりや人間関係の構築を重視する。
3. リフレーミングとマインドセットの本質的な違い

リフレーミングは瞬間的・局所的な視点の変更で、特定の出来事や思考を別の角度から見るテクニックです。
一方、マインドセットは長期的・全体的な価値観や思考パターンで、人生全般の行動や反応に影響します。
例えるなら、リフレーミングは「その場のカメラアングルを変えること」、マインドセットは「使っているカメラのレンズ自体を変えること」に近いです。
両者は補完関係にあり、マインドセットを変えるためにリフレーミングを繰り返し活用することも可能です。
4. それぞれのメリットとデメリット
- リフレーミングのメリット:即効性があり、感情の整理やストレス軽減に役立つ。
- リフレーミングのデメリット:一時的効果にとどまり、根本的な価値観が変わらなければ元に戻る可能性がある。
- マインドセットのメリット:行動や人生の方向性を長期的に変えられる。
- マインドセットのデメリット:変えるには時間と経験が必要で、すぐには結果が出にくい。
5. 効果的な使い分け方
日常のストレス対策やネガティブ思考の修正にはリフレーミングが有効です。
一方で、人生の長期的な成長や挑戦の姿勢を変えたい場合は、マインドセットの見直しが不可欠です。
例えば、「プレゼンに失敗した」という出来事を、「経験値が増えた」とリフレーミングしつつ、「挑戦は自分を成長させる」という成長型マインドセットを持ち続ければ、短期的な心の安定と長期的な成長の両方を得られます。
1. 挑戦への不安を乗り越える場合
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マインドセット:「失敗は成長のためのステップ」という成長マインドセットを持つ
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リフレーミング:プレゼン前に「緊張=自分の脳と体が集中モードに入っているサイン」と捉え直す
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効果:長期的に挑戦を恐れなくなり、その場の不安も軽減できる
2. 人間関係のストレスに対応する場合
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マインドセット:「他人の行動は自分の価値を決めない」という自己肯定マインドセット
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リフレーミング:批判されたとき「この人は自分の価値観や視点を共有しているだけ」と捉える
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効果:自己価値が揺らぎにくくなり、その場の怒りや悲しみを和らげられる
3. 予期せぬトラブルへの適応
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マインドセット:「変化はチャンスを含んでいる」という柔軟性マインドセット
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リフレーミング:計画が崩れたとき「新しい発見や経験の機会」と捉え直す
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効果:変化に対して前向きになり、焦りやストレスを減らせる
要点まとめ
リフレーミングは「今この瞬間の見方」を変えるためのツール、マインドセットは「人生全体の見方」を形作る土台です。両者を組み合わせれば、瞬発力と持続力のあるポジティブな思考習慣を育むことができます。
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リフレーミング=特定の出来事の「見方」を変える即効テクニック。
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マインドセット=人生全般の「考え方の土台」を作る長期的信念。
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両方を組み合わせると、短期の気持ち切替と長期の成長が両立できる。
♢リフレーミングとマインドセットの比較表
| 項目 | リフレーミング | マインドセット |
|---|---|---|
| 定義 | 出来事や事実に対する「意味づけ・視点」を瞬間的に切り替える技法 | 物事に対する長期的・基盤的な信念や考え方 |
| 時間軸 | 短期的(その場の状況や感情に対応) | 長期的(人生全般の行動や判断に影響) |
| 目的 | ネガティブ感情の緩和、柔軟な対応 | 行動の方向性や価値観の土台を形成 |
| 例① | 「プレゼンで失敗→次の成長材料だと捉える」 | 「能力は努力で伸びる」という成長マインドセット |
| 例② | 「渋滞→音声学習の時間にする」 | 「世の中にチャンスは豊富」という豊かさマインドセット |
| 例③ | 「約束がキャンセル→自分時間を楽しむ」 | 「短期利益より長期的な信頼を優先する」長期志向マインドセット |
| 持続性 | 一時的(状況が変わればまた別の視点が必要) | 継続的(習慣や判断基準として根付く) |
| 効果範囲 | その場の感情や認知の変化 | 人生全般の選択や行動パターンに影響 |
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。




























