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コロナ禍で日々の生きづらさは増すばかりという時こそ、ブッダの智恵で気持ちを楽にする生き方、始めてみませんか? 今回の記事では、心の苦しみや生きづらさを少しでも減らしていくためにブッダの教え「苦」について述べていきたいと思います。
前回の記事では、ブッダの重要な教え「無常・苦・無我」のうち、「無我」を取り上げました。今回は「苦」についてです。
「無常・苦・無我」(三相、三法印)のうちの「苦」とは、四聖諦についての記事で先述いたしました、「苦諦」の「苦」(ドゥッカ)であり、つらいことや不満足だけではなく、快楽なども含まれる、広い意味での「苦しみ」のことです。
「苦諦」とは、生きることは苦しみである、ということでしたが、「三相」の「苦」も、「一切皆苦」というように、一切は皆苦しみであるということを示しています。
ちなみに「楽あれば苦あり、苦あれば楽あり」と言いますが、このように言う時は、「楽しい」ということに対して、「苦しい」ということがあります。
たとえば、したくない仕事を頑張って終えた後は、娯楽映画を鑑賞したり、テレビゲームを楽しんだりするという場合は、苦に対しての楽です。
一方、大自然の中でキャンプをして気分が爽快になったとしても、いつもの生活に戻った途端、周りの騒音や空気の汚れが気になり、都会での生活に対して以前よりもストレスを感じるようになったという場合は、楽に対して苦が生じています。
しかし「一切皆苦」という時の「苦」は、一般的にいう「楽しい」も含まれている、生きること自体が苦であるということなのです。
自分自身も、愛する人も、可愛がっているペットも、「生・老・病・死」は避けられず、移ろいゆくこと、すなわちほかの記事でご説明いたしました「無常」が「苦しみ」なのです。
ちなみに、このような仏教的な「苦」を、科学ジャーナリストのロバート・ライト氏は、『なぜ今、仏教なのか』(熊谷淳子 訳)のなかで、
私たちは自然選択によってつくられ、自然選択の仕事は遺伝子の繁栄を最大限に高めることにつきる。自然選択は、真実それ自体に頓着しないばかりか、私たちの長期的な幸せにも頓着しない。
人間をはじめ生物は、自然選択によって、ものごとが(自然選択の観点から)「よりよく」なるような方法で環境に反応するように設計されている。つまり、生物はほとんどいつも、楽しくないこと、快適でないこと、満足できないことを探して地平を見わたしているようなものだ。
と、「自然選択」の見地から捉えていることは重要です。
つまり、「自然選択は、真実それ自体に頓着しないばかりか、私たちの長期的な幸せにも頓着しない」とありますが、私たちヒトは幸福な生き方が出来るように最初から設計されてはいないのです。
「無常」「苦」「無我」はお釈迦様が発見された真理。
では人生は苦しみの連続であり、どうすることも出来ないのかといえば、そうではありません。
以前の記事でご説明いたしました、ブッダの基本的な教えである「四聖諦」を思い出していただきたいのですが、「苦」を滅するための手段があるのです(四聖諦の「滅諦」「道諦」)。
そしてその「苦」が生じる最も根本的な原因は何かといえば、「無明」です。
なぜこの「苦」が三相のうちに含まれるのか疑問に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、「無常」「無我」、「苦」はお釈迦さまが発見された「真理」なのです。
このことに関して仏教学者のリチャード・ゴンブリッチ氏は、『ブッダが考えたこと プロセスとしての自己と世界』(浅野孝雄 訳)のなかで、
「ブッダは、我々が通常知り・経験する世界はつねに変化してやまないこと、ゆえに至福ではなく、その反対物の苦であることを認めた」
としていますが、インドではアートマンやブラフマンといった常住不変の存在が「至福」と結びついていたことに対して、ブッダ(お釈迦さま)は「無常」「無我」、「苦」といった反対の見方を示し、私たちが経験している世界をそのように捉えたと考えれば少しは分かりやすいかもしれません。
「世のもろもろのことはすべて、無常である」と
叡智によって理解したならば
苦しみはなくなる。
これが清浄に至る道である。「世のもろもろのことはすべて、苦しみである」と
叡智によって理解したならば
苦しみはなくなる。
これが清浄に至る道である。「世のもろもろのことはすべて、我ならざるものである」
と
叡智によって理解したならば
苦しみはなくなる。
これが清浄に至る道である。(二七七・二七八・二七九)(『日常語訳ダンマパダ ブッダの〈真理の言葉〉』 今枝由郎 訳 127‐128頁)
今回の記事では、ブッダの重要な教え「無常・苦・無我」のうち、「苦」を取り上げました。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます(^^♪
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