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今回は﨑谷博征氏の『「プーファ」フリーであなたはよみがえる! 生命場を歪ませるアルデヒド』を、これからの健康を考えたり、自分のなかの健康常識を疑ったりするためのオススメ本として紹介していきたいと思います。
前回の記事では原始人食を推奨するパレオドクターである﨑谷博征氏の『「原始人食」が病気を治す ヒトの遺伝子に適合した物だけ食べよう』を取り上げましたが、今回ご紹介する『「プーファ」フリーであなたはよみがえる! 生命場を歪ませるアルデヒド』(鉱脈社)もこれまでの健康常識を覆す一冊です。
本書『「プーファ」フリーであなたはよみがえる!』のなかで、著書の﨑谷博征氏は、「老化・ガン・自己免疫疾患・アルツハイマー病などの神経性変性疾患などの慢性病の原因」として、「アルデヒド」に注目しています。
そして、この「アルデヒド」を発生する根源として「プーファ」(多価不飽和脂肪酸)を挙げているのです。
約一万年前までは狩猟採集形態でした。私たちの祖先が食べたものは主に陸上の哺乳類や果実です。陸上の動物の脂肪成分は飽和脂肪酸が主体です(四パーセント程度はプーファ〈PUFA:多価不飽和脂肪酸〉が含まれていますが)。果実にも穀類・豆類のようなプーファ(PUFA)はそんなにたくさん含まれていません。
したがって、狩猟採集時代にはプーファ(PUFA)はごく微量でした。
しかし、約一万年前に農耕革命(そしてそれに続く牧畜革命)が起こることで穀物・豆類の摂取が開始されます。これらの栽培作物には「プーファ」(PUFA)が豊富に含まれています。
つまり、脂質という側面でこの人類の農耕・牧畜革命をとらえると、飽和脂肪酸から「プーファ」(多価不飽和脂肪酸:PUFA)主体にスイッチしたことになります。
(﨑谷博征『「プーファ」フリーであなたはよみがえる! 生命場を歪ませるアルデヒド』p19)
そしてこの「プーファ」(多価不飽和脂肪酸:PUFA)こそは、後述するように室温でも容易に酸化されて猛毒の「アルデヒド」を大量に発生させる根源なのです。
「プーファ」(PUFA)が酸化して形成されたアルデヒド類を「過酸化脂質」ともよびます。
(﨑谷博征『「プーファ」フリーであなたはよみがえる! 生命場を歪ませるアルデヒド』p23)
「プーファ」(多価不飽和脂肪酸)とは、植物油の多くに含まれている「オメガ6」や、亜麻仁油、魚油などに豊富に含まれている「オメガ3」(DHA・EPAなど)といった脂肪酸のことです。また植物油だけではなく、穀物や豆類にも「プーファ」は含まれているといいます。
さらに、大量の植物油が使われている揚げ物や炒め物、植物油脂が含まれている加工食品などにも注意が必要になってきます。
そしてこの「プーファ」(多価不飽和脂肪酸)は、バターやココナッツオイルなどに多く含まれる飽和脂肪酸と比べて、非常に酸化しやすいという性質をもつのですが、「過酸化脂質」である「アルデヒド」を大量に発生させることで、人体に有害な影響を与えてしまうというのです。
アルデヒドの問題点とは?
では、具体的に過酸化脂質である「アルデヒド」のどのような点が問題なのでしょうか? 﨑谷氏はアルデヒドは「エネルギー代謝をストップさせる」としています。
私たちの体内で作り出すものは、原発や石油からできるような環境に負荷のかかるエネルギーではありません。
それは「糖」を資源としたクリーンなエネルギーです。(例外は安静時の筋肉は脂肪酸、分裂が盛んな細胞は糖、脂肪酸、アミノ酸を燃料とします)。
そのエネルギー貯蔵体のことをATP(エーティーピー:アデノシン三リン酸)といいます。このエネルギー(ATP)があって機能―構造が安定します。
(﨑谷博征『「プーファ」フリーであなたはよみがえる! 生命場を歪ませるアルデヒド』p45)
実は、アルデヒド(過酸化脂質)は、この体内のエネルギー産生をダイレクトにブロックしてしまいます。
具体的には私たちの体内のエネルギー産生所であるミトコンドリアの機能(電子の受け渡し、サイトクロムCオキシデースという酵素)にダイレクトにダメージを与えます。
エネルギー産生がやられると、すべての機能そしてその相互関係にある構造までが崩れてきます。これが、アルデヒドが発ガン作用をもつ所以です。
(﨑谷博征『「プーファ」フリーであなたはよみがえる! 生命場を歪ませるアルデヒド』p46)
「アルデヒド」がミトコンドリアによるエネルギー産生に悪影響を与えてしまうという﨑谷氏の指摘は、ミトコンドリアによって真の健康を実現するという視点においては、非常に重要になってくると、私自身、感じています。
まずは試しに「プーファ」を出来る範囲で減らしてみるという視点をもつことが重要。
本書の著者でもある﨑谷博征氏は、医学の常識や思い込みに囚われず、臨床経験と様々な論文を精査したうえで、毎日の食事において「プーファ」の摂取を出来る限り減らすことを提唱しているように感じます。
また、健康のために良いと宣伝されている「DHA」や「糖質制限食」、「ケトン食」、「断食(ファスティング)」などを、「プーファ」と「アルデヒド」の視点から問題視している点は、自分にとっての健康についての常識を揺さぶられ、真の健康とは何かを考えさせられるきっかけにもなるように思います。
もちろん、本書の内容に納得できるかどうかは、読者自身の知性に委ねられていると思いますので、﨑谷博征氏による『「プーファ」フリーであなたはよみがえる!』のなかで書かれていることを「100パーセント正しい」こととして、この記事を読んでくださっている方に押しつけるつもりはありません。
しかし、最後に、
私は、知らない、いや知ろうとさせしないという怠慢がどれほどの惨事を招いているのかをプーファを通して改めて自覚しました。
一度プーファが脳(身体全体)に蓄積すると直観や知能そのものが低下するため、さらに「知ろうとさせしない」に拍車がかかります。こうなると「感じる、考える、そして行動する」という人間誰しもが持っている最大の能力が失われます。この状態はまさに多国籍企業の思う壺です。
(﨑谷博征『「プーファ」フリーであなたはよみがえる! 生命場を歪ませるアルデヒド』p156)
と崎谷医師が書き記している点は、非常に印象に残ると同時に、その言葉が大変深く私の胸に突き刺さりました。
毎日の食生活においてプーファを減らすには?
この『「プーファ」フリーであなたはよみがえる! 生命場を歪ませるアルデヒド』に書かれていることをすぐに受け入れたり、健康のために実践したりすることは、最初のうちはかなり難しいかもしれません。
しかしオメガ6やオメガ3などの多価不飽和脂肪酸(PUFA)を全く摂らないようにするのは出来なくても、実際に本書を読んだうえで「プーファ」のことを理解し、もし摂り過ぎであった場合、なるべく減らすように心がけてみたり、普段使いのサラダ油・植物油を、飽和脂肪酸が主成分のバターやココナッツオイル、ギーなどに替えてみることは、真の健康の実現のためにプラスに働くのではないかと、私自身は感じています。
そのため、「プーファ」や油の摂り方に興味がある方は、ぜひ実際に手に取ってご自身で熟読してみてください。
また、同じ「健康常識パラダイムシフトシリーズ」である『病は「リポリシス」から 生体内核爆発リポリシス』(風詠社)と併読すると、より「プーファ」の弊害について理解が深まるように思います。
なお、﨑谷博征医師の他の著作である『糖尿病は〝砂糖〟で治す! 甘いものに目がないのは正しかった』のなかでは、「プーファ(PUFA:多価不飽和脂肪酸、オメガ3&6)」の
- 「糖の細胞内での代謝をブロックする」
- 「インシュリン抵抗性を高める(インシュリンのアンテナの感受性を低下)」
- 「インシュリンを産生する膵臓のベータ細胞を破壊する」
といった性質が挙げられています。