『ブッダの脳』は、最初に苦しみの矢を抜くために役立つ一冊。

ブッダ/仏教

『ブッダの脳』は、最初に苦しみの矢を抜くために役立つ一冊。

『ブッダの脳』は、最初に苦しみの矢を抜くために役立つ一冊。

『ブッダの脳』(草思社)は、お釈迦さまの教えと、心と脳の関係に興味・関心があるという方にオススメです。

今回は、『ブッダの脳』は、最初に苦しみの矢(心のストレス)を抜くために役立つ一冊であるということについてです。

 

仏教というとすぐに「宗教」を連想してしまうかもしれませんが、ブッダ(お釈迦さま)がおよそ2500年前に説いたのは、いまの苦しみから抜け出すための、合理的で実用的な方法であると私は考えます。

ブッダは、宇宙は有限か無限か、霊魂は不滅かそうではないのか、といった、確かめようのない難しい質問してきた弟子のマールンキヤに、毒矢が刺さったら、矢がどこから来たのか、誰が矢を放ったのか、とあれこれと考えるよりも先に、刺さった矢を抜くことが大切であると諭(さと)しています。

 

また、第一の矢は受けても、第二の矢は受けない(貪欲・怒り・妄想によって反応しない)というものもあります。

これらの「矢」の喩えは、特に現代の情報社会においては、広い意味での心の苦しみ(ドゥッカ)や脳が感じるストレスをやわらげるために非常に有効であるように思います。

 

春になっても出口が見えないコロナ禍において、そのようなことを考えているのですが、以前に買った『ブッダの脳 心と脳を変え人生を変える実践的瞑想の科学』(リック・ハンソン リチャード・メンディウス 著 菅靖彦 訳 草思社)を読み返していたら、パート1 は、「苦しみの原因」、さらに「第2章 苦しみの進化」「第3章 最初の矢と二番目の矢」となっていました。

 

 人生には素晴らしいことがたくさんあるが、困難なこともある。周囲の人々の顔をよく見てもらいたい。多分、かなりの緊張、落胆、不安が見て取れるだろう。あなただって、自分自身のいら立ちや悲しみを知っているはずだ。生きることにともなう痛みは、ちょっとした寂しさや落胆から、中程度のストレス、心の傷、怒り、強烈なトラウマや苦悩にいたるまで、多岐にわたっている。それらをひっくるめて、わたしたちは「苦しみ」と呼んでいる。

(『ブッダの脳 心と脳を変え人生を変える実践的瞑想の科学』 リック・ハンソン リチャード・メンディウス 著 菅靖彦 訳 草思社 単行本 38頁)

 

不安、いらだち、不満といった感覚のように、苦しみの多くはさほど強烈ではないが、慢性的なものである。そうしたものを感じないで、代わりにもっと満足感や愛や心の平安を感じたいと思うのは自然な気持ちだろう。

(同)

 

 どんな問題でも、解決するにはその原因を理解する必要がある。すべての偉大な医師、心理学者、霊的指導者が卓越した診断医だったのはそのためだ。たとえば、ブッダは「四諦」の中で、苦しみを認めてその原因(渇望=何かを必要とせずにはいられない感覚)を診断し、それを癒す方法を特定した上で(渇望からの自由)、処方箋(八正道)を下した。

(38‐39頁)

 

『ブッダの脳』の目次

『ブッダの脳 心と脳を変え人生を変える実践的瞑想の科学』(リック・ハンソン リチャード・メンディウス 著 菅靖彦 訳 草思社)の目次は、以下のとおりです。

 

イントロダクション
第1章  自ら変わる脳

パート1  苦しみの原因
第2章  苦しみの進化
第3章  最初の矢と二番目の矢

パート2  幸福
第4章  良いものを取り入れる
第5章  火を鎮める
第6章  しっかりした意図をもつ
第7章  平常心

パート3  愛
第8章  愛と憎しみの狼
第9章  思いやりと自己主張
第10章  限りない優しさ

パート4  知恵
第11章  マインドフルの基盤
第12章  至福の集中
第13章  自己を解き放つ

付録  健全な脳を育てる栄養神経化学

 

まずは刺さった矢を抜くということに関して印象的だった言葉。

まずは刺さった矢を抜くということに関して印象的だった言葉。

まずは刺さった矢を抜くことが大事、もしくは、第一の矢を受けても第二の矢は受けないということに関して、本書のなかの以下のような言葉が、印象的でした。

 

 二〇〇〇年以上も前、シッダルタという一人の若者ーーまだ悟っていなかったし、ブッダとも呼ばれていなかったーーが何年も費やして自分の心、すなわち脳を鍛錬した。覚醒した晩、彼は自分の心(根底にある脳の活動を反映する)を深く覗き込み、そこに、苦しみの原因と、苦しみから自由になる道を見出した。それから四〇年間、北インドを放浪して歩き、耳を貸してくれる人たちに次のような方法を説いて回った。

●誠実に生きるために、貪欲や憎しみの火を冷ます方法
●混乱の最中、物事をありのままに見るために、心を安定させ、集中させる方法
●自分を解放する洞察を培う方法

つまり、彼は徳やマインドフルネス(集中とも呼ばれる)や知恵を教えたのだ。これらは仏教の実践の三本柱であるだけではなく、日々の健康、心理的な成長、スピリチュアルな覚醒の源でもある。

(『ブッダの脳』 27頁)

 

一部の身体的、精神的苦痛は避けられない。それらは人生の「第一の矢」である。

貪欲、憎悪、妄想という三つの毒ーーそれぞれが中心に渇望をもっているーーのうちの一つか二つをもって第一の矢に反応すると、わたしたちは自分自身や他人に第二の矢を投げはじめる。事実、わたしたちはしばしば第一の矢が見出されない場合でも第二の矢を投げる。最悪なのは、賛辞を受けるといった実際には良い状況に反応して、第二の矢を投げるときがあることだ。

大抵の人は慢性的に第二の矢を放たずにはいられない。それがかれらの心身の健康に無数の否定的な結果をもたらす。

(『ブッダの脳』 86-87頁)

 

気づきや慈悲、縁起など、紀元前にお釈迦さまが説かれた教え・智慧の内容は、最先端の脳科学や神経科学、心理学にも通じているように思われます。

本書『ブッダの脳』は、お釈迦さまの教え自体についてはそれほど詳しく言及されていませんが、お釈迦さまの教えだけではなく、脳科学や神経科学、現代心理学などにも関心がある方は、『ブッダの脳』を一読してみてはいかがでしょうか?

 

わたしたちが目指したのは、満足感や親切心、心の平安などを生み出す神経回路をいかにすれば活性化できるかを、最新の脳科学の知見に基づいて明らかにし、実際の手法と一緒に提示することだった。それらの手法には誘導瞑想が含まれているが、誘導の指示は故意に漠然としたものにし、詩的で感情に訴える言葉を用いている。

(『ブッダの脳 心と脳を変え人生を変える実践的瞑想の科学』 リック・ハンソン リチャード・メンディウス 著 菅靖彦 訳 草思社 単行本 16頁)

 

ちなみに、草思社から出ている『ブッダの脳 心と脳を変え人生を変える実践的瞑想の科学』は、2019年に文庫化しているため、書店で手に取りやすい一冊となっています。

 

なお、お釈迦さまの基本的な教えについて知りたい・学びたい、という方は、ほかの記事でご紹介いたしました『ブッダが説いたこと』(岩波文庫)がオススメです。

 

ここまで読んでくださり、ありがとうございます(^^♪

 

 

当ブログ管理人が書いたブッダの智恵で、脳ストレスを減らす生き方 最初に苦しみの矢を抜くための仏教入門

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(なお、健康についてはそれぞれ個人差があり、誰にとっても100%正しい情報というのは考えにくいため、当ブログの記事内容については参考程度に止めておいていただければ幸いです)。

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