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今回はストレスが腸内環境を悪化させる原因になるということについてです。
私たちの腸内には100種類・100兆個以上もの腸内細菌が存在しており、その群生の様子はお花畑になぞらえて「腸内フローラ」と呼ばれています。
その腸内細菌の集まりである腸内フローラや腸内環境は、免疫系に深く関わるなどしているため、普段から腸内細菌のバランスを整えるよう腸内環境を改善していくことは、日頃の健康維持と長寿の実現のためには欠かせません。
しかし、腸内フローラや腸内環境を悪化させてしまう要因があり、それらには、
などが挙げられるのですが、今回はそのうちの「ストレス」について述べていきたいと思います。
ストレスによって交感神経ばかりが優位になると便秘気味になるリスクが高まる。
人間関係による心理的ストレスや、働き過ぎ、頑張り過ぎなどによる過度のストレスは腸内細菌のバランスを崩し、腸内環境を悪化させてしまう原因になります。
その理由は、腸は「腸神経叢」と「自律神経(交感神経・副交感神経)」という腸自体に存在する二つの神経によってコントロールされていますが、過度のストレスは自律神経の交感神経を優位にしてしまうという問題が生じるからです。
一般的に活動を行っている時は交感神経が優位になるとされていますが、腸に関しては車のアクセルの働きをするのは副交感神経であり、交感神経は腸の運動のブレーキ役を果たしているのです。
つまり、過度のストレスによって交感神経ばかりが優位になると、腸のぜん動運動が鈍り、便秘気味になるなど、腸内環境が悪化するリスクが高まってしまうのです。
また、ストレスを受けると、腸が「カテコラミン」という神経伝達物質を放出し、大腸菌がその刺激を受けて、腸の一部で病原性を高めながら増殖するといわれています。
適度にリラックスする習慣が腸内環境を健康に保つ
たとえば、緊張したりプレッシャーを感じたりすると、人によっては急におなかが痛くなるのはそのことと関係しているように思えますし、さらに、腸内細菌のバランスが悪玉菌優位になってしまうと、便秘だけではなく、下痢、うつ、アトピー、過敏性腸症候群いった症状にもつながっていってしまう可能性も高くなります。
そのほか、過度の心理的・精神的ストレスは「腸もれ」とも呼ばれる「リーキーガット症候群」の原因にもなるとされています。
そのため、良好な腸内環境を保つためには、必要以上のストレスを避け、呼吸を深めたり、気持ちのよい有酸素運動をゆるやかに続けたりするなど、適度にリラックスする習慣を持つことが大切です。
それに加えて、腸内フローラのバランスが良好であると、ストレスへの耐性も強くなるとされていますので食物繊維や乳酸菌、オリゴ糖などを中心にして、日頃から食事によって腸内環境を改善していくことは、ストレス対策になると考えられます。
このことに関して、医学博士の藤田紘一郎氏が、『人の命は腸が9割』のなかで、「ストレスへの耐性を自ら高めることが、病気を防ぐ最大の方法」であるとし、「ストレスから心身を守るには、善玉菌が優勢で、多種多様な菌が共存する腸内環境を保つ工夫をすることです。それが心身のストレスへの耐性を自ら高める最大の方法です」と述べている点は非常に興味深い点です。
なお、私なりの腸内環境・腸内フローラの改善方法についてはこちらの記事をご参照ください。