「ひとり」を肯定的に捉えるための『孤独の価値』とは?

孤独論

「ひとり」を肯定的に捉えるための『孤独の価値』とは?

2022年春、新生活の始まりと共に、<孤独の価値>について考えてみませんか?

 

前回、『孤独になると結果が出せる』という本を取り上げながら、社会的孤立ではない、創造性に関わる「孤独」について述べましたが、今回は、「孤独」というものを肯定的に捉えるために、『孤独の価値』(森博嗣 著 幻冬舎新書)を取り上げてみたいと思います。

一言に「孤独」といっても、ときに社会問題とされる社会的「孤立」や、政治的判断によって分断を強いられ、つながりが失われることと、自分自身が孤独を主体的に選び取ることは、同じではないのだと考えられます。

 

一般的に「孤独」は、「寂しい」ことがつらい/悲しいと感じる理由から、ネガティブなイメージがつきまといますが、「孤独」は自分自身が主観的にどう捉えるかによって、意味や価値が変わってくるように思います。

たとえば、小説家で工学博士の森博嗣氏は『孤独の価値』(幻冬舎新書)のなかで、以下のように述べています。

 

寂しいという感情は、「失った」という無念さのことだ。また、その失ったものが、「親しさ」であれば、それがすなわち「孤独」になる。

失うことが寂しいのも、そのルーツは生存の危機だろう。しかし、もうそこまで遡って考える人は今はいない。ただ、自分のもの、自分の時間などが、失われたときの喪失感というのは、寂しさや悲しさの主原因となる。これは、取り返しが比較的簡単なものほどダメージが小さく、逆に、もう二度と取り返せないとわかっている場合ほど、精神的にも大きな衝撃となる。

(森博嗣『孤独の価値』 幻冬舎新書 26頁)

 

そして、「寂しいと感じること、孤独だと感じることを、あってはならない「悪い状況」だと判断してしまう」ものですが、

「孤独は嫌だ」と感情的(本能的)に全否定してしまうまえに、ちょっと考えてみる、という姿勢は大事だと思う。

と述べています。

 

仲間や友達の喪失というのは、結局は、自分を認めてくれる存在の喪失なのである。だから、仲間や友達がまだすぐ身近にいても(物理的に存在しても)、自分が認められていないことが判明したときに、それが失われる、ということになる。

(森博嗣『孤独の価値』 幻冬舎新書 38ー39頁)

 

そして、

「ここで大事なことは他者が自分を認めていない、という判断は、自分の主観によって行われるということだ。」

「自分が認められていない、という判断は、多分に主観であるから、自分で自分の寂しさ、孤独感を誘発することになる。」

「孤独とは、基本的に主観が作るものなのである」

と説明しています。

 

さらに、

孤独を受け入れるというのは、孤独の寂しさを避けることでもあるし、また、意識的に孤独な環境に親しむことでもある。孤独から遠ざかるのか、それとも孤独に近づくことなのか、わかりにくいかもしれない。まるで禅問答のように聞こえてしまう人もいるだろう。

としつつ、

それは、「孤独」という言葉を二通りの意味で使っているから生じる矛盾ともいえる本当に孤立してしまうような恐ろしい状態の孤独と、静かで落ち着いた雰囲気で創作にも適する孤独である。実は現実の状態としては、それほど大きくは違わない。大きく差が出るのは、主観的な認識の違いといえる。孤独の二面性をよく理解しておくことが大事である。

と述べています。

 

「創作、研究、無駄な行為」は「孤独を愛するための手法」

「創作、研究、無駄な行為」は「孤独を愛するための手法」

では、孤独に積極的な価値を見出すにはどうすれば良いのかと言えば、たとえば、寂しさが気にならなくなるくらい、(詩、絵画、音楽、小説、漫画などを)創作したり、自分の好きな研究に没頭したりすることが挙げられます。

 

このことに関して森博嗣氏は、

「創作、研究、無駄な行為、というものが、孤独を受け入れる、あるいは孤独を愛するための手法」

であるとし、

「無駄なものに価値を見出すことが、その本質であり、そこにこそ人間だけが到達できる精神がある」

としています。そして、

孤独が教えてくれるものとは、この価値なのだ。それは、まぎれもなく、貧しさとは正反対のものであり、豊かさの中でしか見つけられない。

と述べています。

 

しかし、だからといって他者とのつながりを自ら断っても良いというわけではなく、「良質な孤独」とは、社会生活を送るうえでつながりも大切にすることであり、このことは「社会との共生だといっても良い」のです。

 

 僕が、この本で書いた「孤独」というのは、社会を拒絶することではなく、また他者を無視することでもない。社会における最低限の関係は、そもそも拒絶できないものだ、という前提に立っている。だから、そういった社会への貢献、他者の尊重の上に、自分の思い描いた「自由」を築く必要がある。僕が書いてきた「良質な孤独」とは、社会との共生だといっても良い。

(森博嗣『孤独の価値』 幻冬舎新書 177頁)

 

 「孤独について考える」というだけでも、これは既に本能ではないし、人間以外の動物にできることではない。これを考えられるだけの思考力を持っていることに、人間の尊厳があると思う。だから、「孤独は嫌だ」と感情的(本能的)に全否定してしまうまえに、ちょっと考えてみる、という姿勢は大事だと思う。孤独を考えることは、人として生きていることの価値でもあり、これからも生きていくための意味でもある、と僕は思う。

(森博嗣『孤独の価値』 幻冬舎新書 32頁)

 

一般的ではないだろうけれど、たとえば、天体観測に一生を捧げる人生だってある。数学の問題を解くことが、なによりも大事だという人生だってある。仏像を彫るために、命を懸ける人生だってある。そこには、仲間とか家族とか、親しさとか愛とか絆は存在しない。ただ自分一人がいる。普通の人には、それは寂しい人生でありまちがいなく孤独に見えるだろう。しかし、本人にとっては全然そうではない。それが楽しいと感じ、いきいきとして笑顔で毎日を送っているのだ。

(森博嗣『孤独の価値』 幻冬舎新書 64頁)

 

もう一つ言えることは、そういう自由な人生を送っている人たちは、他者と競争をしないし、平和を望んでいるし、人に迷惑をかけないマナーも持っている。世界中の人がこんなふうになったら、戦争もなくなるし、争いもなくなるのではないか、と思える。どうして、彼らの生き方を否定することができるだろう。

(同上)

 

「ひとり」を肯定的に捉えるための『孤独の価値』とは?

今回は「孤独」というものを肯定的に捉えるために、『孤独の価値』(森博嗣 著 幻冬舎新書)を取り上げました。

本書は、ネガティブなイメージがつきまとう孤独について立ち止まって考え、孤独に積極的な意味や新たな価値を見出すために、大変おすすめの一冊です。

お忙しい中ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます😊

 

 

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