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毎日の食生活のなかで、糖質をからだに必要な分だけしっかり摂っていますか?
今回は、これからの糖質制限は炭水化物を減らすではなく選ぶが大切である、ということについて述べていきたいと思います。
これまで、糖質制限について何度か記事を書いてきましたが、当ブログでは、糖質制限はゆるやかに行うことをオススメしています(ロカボ)。
そして、糖質制限をゆるやかに行うことのコツは、以下の通りです。
- 体にとって必要な糖質はしっかりと摂る(はちみつや黒砂糖、フルーツなどから)。
- ご飯やパン、麺類ばかりの炭水化物に偏った食事は控える。
- 人工甘味料、異性化糖、ブドウ糖果糖液糖などの摂取はなるべく避ける。
糖質制限を適度に行うことは、糖尿病はもちろんのこと、がんやアルツハイマー型認知症、肥満症など、生活習慣病の多くを予防したり、アンチエイジングの実現や、中性脂肪を減らしてダイエットを成功させたりするのに効果的だとされています。
現代社会においては、炭水化物を摂り過ぎてしまう傾向があるため、気づかないうちに炭水化物を摂り過ぎてしまっている場合は、炭水化物の摂取は減らしたほうが良いと、私自身も感じています。
糖類(ブドウ糖と果糖)はエネルギー代謝のために必要不可欠。
しかし極端に糖質をゼロにする食生活をずっと続けていくことについては、一度立ち止まり、慎重になったほうが良いとも思います。
なんといっても、糖類のうちのブドウ糖はエネルギー代謝のために必要不可欠ですので、炭水化物を減らすことでブドウ糖まで摂らなくってしまえば、ミトコンドリアによってATPというエネルギー通貨が大量に作られなくなってしまいます。
つまり、ミトコンドリアによるエネルギー代謝という観点からすれば、ブドウ糖や果糖といった糖類は、からだのために一番最初に必要になる栄養素なのです(もちろん、そこからさらに、代謝のためのビタミン、ミネラル、さらに体を作るためのタンパク質や脂質などの栄養素も必要になってきます)。
そういうわけで、これまでは糖質ゼロを目指す糖質制限が宣伝されたこともありましたが、糖質制限を行う際に、これから大切になってくるのは、糖質をやみくもに減らすことではなく、どのような糖質を選択するか、だと思われるのです。
ハチミツ・フルーツ・黒砂糖はオススメ。
そこで、まず、積極的に摂っていきたい糖質は、何といっても、単糖類であるブドウ糖と果糖です。先程も述べたように、ブドウ糖と果糖は、エネルギー代謝の基本の栄養素です。そして、このブドウ糖と果糖が両方含まれている食品・食材としては、ハチミツや果物、砂糖(白砂糖よりミネラルも含まれている黒砂糖の方がオススメ)などが挙げられます。
また、最初から麹の酵素の働きによって、ご飯の炭水化物がブドウ糖に分解されているという点では、甘酒もオススメです。
しかし、1日に摂るべき糖質を全部、ハチミツやフルーツ、黒砂糖、甘酒などから摂取するのは、多くの方にとって、実践が難しくあまり現実的ではありません。そこで、これら以外の炭水化物の摂取源としては、ごはんや蕎麦(そば)などが挙げられます。
日本人のからだに慣れ親しんだ「ご飯」は無難な選択。
厳格な糖質制限を支持する人は、穀物から炭水化物を摂取することは、血糖値を上げて体に悪いと言うかもしれませんが、1日3食のうち、1~2食、日本人の身体に慣れ親しんだご飯や蕎麦などを適度に食べる分には、それほど問題は無いように思います。
また、ごはん(白米)やおソバなどと同じ主食としては、パンやパスタなどもありますが、パンやパスタの原料になる小麦には、アレルギーのリスクがあるグルテンが含まれているという問題があります。
さらに、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどで販売されている惣菜パンや菓子パンには、植物油脂やトランス脂肪酸、食品添加物なども含まれています。
そのため、パンやパスタよりは、ごはんやお蕎麦のほうが無難でオススメですが、しかし、だからといって、パンやパスタを食べてはいけない、というわけではありません。
時々、美味しいパンやパスタを食事のなかで楽しむことは必要なことだと個人的に思いますし、もし健康志向が強いのであれば、パンやパスタを選ぶ際、グルテンフリーのものを選択すると良いと思います。
そのほか、白米のご飯やパンなどを食べる際は、先にサラダなどを食べることで、血糖値の急上昇を抑えるという工夫も効果的な糖質制限のためには大切になってきます。
加工食品は糖質制限のためには控えめに。
一方、なるべく控えた方が良いのは、カップ麺や、ポテトチップスなどのお菓子類、清涼飲料水といった加工食品から糖質(デンプン質)を摂ることです。
しかも、加工食品の多くには、血糖値を急上昇させる異性化糖(ブドウ糖化糖液糖)や、消化に悪い植物油、食品添加物なども多く含まれているという問題があります。
ですが、現代社会における都市生活において、手軽で便利な加工食品を全く食べないようにするというのも、やはり難しいと思われますので、加工食品に関しては、最初からゼロを目指すのではなく、加工食品を食べる機会が多いという方は、まずは全体の3~5割を減らしてみることを目標にしてみると良いかもしれません。
以上ここまで、これからの糖質制限は炭水化物を減らすではなく「選ぶ」が大切であるということについて述べてきましたが、糖質制限とはいっても、ご自身の健康のためにどのような食事を選択するかは、それぞれの自由でもありますので、この記事の内容は特定の食事法を読者の方に強制するものでは全くなく、ここまで読んでいただいた方は、ひとつの参考程度に止めておいていただければ幸いです。
参考記事
でんぷんと糖質制限の問題を『糖尿病は〝砂糖〟で治す!』から考える。
主な参考文献
夏井睦『炭水化物が人類を滅ぼす』 光文社
山田悟『糖質制限の真実』 幻冬舎
江部康二『人類最強の「糖質制限」論』 SBクリエイティブ
大柳珠美『「糖質制限」その食べ方ではヤセません』 青春出版社
﨑谷博征『糖尿病は〝砂糖〟で治す! 甘いものに目がないのは正しかった』 鉱脈社