なぜ「ストレス」が免疫力低下の要因になるのか?

免疫力

なぜ「ストレス」が免疫力低下の要因になるのか?【免疫力を高める習慣】

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なぜ「ストレス」が免疫力低下の要因になるのか?

もし病気を遠ざけ、健康を維持したいのならば、毎日の生活の中で、無理をしすぎていないか、限界を超えていないか、ストレスが多すぎないか、エネルギーを消耗しすぎていないか、という視点を持つことが大切になってきます。

 

そして、この記事で特にお伝えしたいことは、長引くストレスが免疫力を低下させる要因になるということなのですが、より具体的に言うならば、「闘争か逃走か」というストレス反応が続くことによって、危機に対処しようとする生体がエネルギー不足に陥り、その分、免疫機能がうまく働かなくなっているということなのです。

そのため、免疫力をアップさせるためには、健康食品やサプリメントを摂るのではなく、生活の中の余計なストレスを減らし、免疫力の低下を防ぐことのほうが大切になってくるのです。

 

 

では、そもそも「ストレス」とは一体何なのでしょうか?

普段から私たちが何気なく口にする「ストレス」という言葉には、外側からかけられた圧力によって、ひずみやゆがみが与えられるという工学的な意味があるとされていますが、それだけではなく、「苦痛」や「苦悩」を意味する中世の言葉「ディストレス」を短くしたものであるとも言われています。

つまり、仕事のミスを上司に叱られて気持ちが「へこんだ」とも言うように、「ストレス」という言葉には、物理的な意味合いと精神的な意味合いが含まれているのです。

そして生体がストレスを感じると、自律神経系からノルアドレナリンやアセチルコリンといった神経伝達物質が放出されたり、副腎皮質や副腎髄質からアドレナリンやコルチゾールが分泌されたりして、ストレスに対処しようとします。

このことは「闘争か逃走か」という、ストレスに対する生体の適応現象です(ストレス反応)。

 

そして「視床下部―下垂体―副腎」の反応によってコルチゾールが分泌されるストレスシステムは「HPA系」と呼ばれています。

ちなみにこの「HPA系」について精神科医のアンデシュ・ハンセン氏は、

「HPA系というのはたった1つの器官でできているのではなく、身体と脳にある3つの部分が互いにコミュニケーションを取っているシステム」

であると述べています(1)。

『ストレス脳』 アンデシュ・ハンセン 著 久山葉子 訳 新潮新書

 

 

危険や脅威、困難な状況に遭遇するたびに、ストレスホルモンである「コルチゾール」が副腎から分泌されますが、このコルチゾールには、筋肉中のタンパク質をアミノ酸に分解し肝臓でブドウ糖に合成したり、脳以外の場所でもエネルギー不足にならないように脂肪を分解してエネルギー供給を促したりする働きがあります。

また、このコルチゾールには、免疫機能を活発にしたり抑制したりする働きもあるとされています(2)。

たとえばコルチゾールが多すぎると、免疫機能が抑えられて風邪を引きやすくなることが考えられますし、反対にコルチゾールが少なすぎると、免疫反応が活発になることでアレルギーや湿疹、自己免疫疾患などの症状が生じる可能性が出てきます。

そのため免疫系の調整役でもある「コルチゾール」自体は悪者ではなく、問題となるのは、長期的なストレスによってコルチゾールの放出が過剰になるなど、バランスが崩れてしまうことなのです。

 

長期的なストレスはコルチゾールの影響によって免疫機能を低下させてしまうのですが、一方、一時的なストレスであれば、免疫力は高まるとされています。

このことに関して、たとえばアメリカの神経内分泌学者であるブルース・マキューアン氏は、『ストレスに負けない脳』のなかで、免疫系は、強烈なストレスに対しては白血球を戦場に送り戦いに備えるなど、「私たちがストレスに対処するうえで重要な役割を果たしている」と述べています。

しかしストレスが長引くと、今度は感染症にかかりやすくなるため、

「ストレスホルモンは正常なレベルだと免疫能を高めるが、ストレス反応がくり返し活性化されすぎたり長期に及ぶと免疫能はうまく機能しなくなる」

と説明しています(3)。

『ストレスに負けない脳』

『ストレスに負けない脳』

 

またマキューアン氏は『ストレスに負けない脳』のなかで、(体温など)「生体が安定した内部環境を一定に維持する働き」である「ホメオスタシス」ではなく、「アロスタシス」という言葉で、「ストレス反応」を読み解いています。

「闘争か逃走か」という「ストレス反応のおかげで私たちは緊急事態に対応し、状況の変化に対処することができる」のですが、困難な状況に直面した際、私たちは「アロスタシス」という仕組みによって、エネルギーが提供されることで、生体が安定した状態を保てているというのです。

 

このことについてマキューアン氏は、

アロスタシスの本来の目的は、変化に直面したときに、生体が安定状態を維持できるように、困難な状況(それは命を脅かすようなものとは限らない)に対処するエネルギーを提供することなのである。

とし、

たとえば朝起きるという単純な行為について考えてみよう。起きるのが一日の最初の大きな試練と感じている人もいるが、早起きの人にとっても、寝ている状態から起きようとすると、体に負担がかかる。このような負担に対応するため、アロスタシスの働きがある。朝には他の時間より高いレベルのストレスホルモンが分泌されるのである。

といった例を挙げています。

「アロスタシス」とは、変化に直面したり、困難な状況に陥ったりした際に、「体がいちばん必要とするところにできるだけ多くのエネルギーを送る」

 

つまり、「アロスタシス」とは、変化に直面したり、困難な状況に陥ったりした際に、「体がいちばん必要とするところにできるだけ多くのエネルギーを送る」ということなのです(4)。

しかし「免疫力の低下」という観点から問題になるのは、マキューアン氏が「アロスタティック負荷」と呼んでいる、「ストレスでボロボロになった状態」です。

 

注釈

1 『ストレス脳』 アンデシュ・ハンセン 著 久山葉子 訳 新潮新書

私たちの身体の中で最も中心的なストレスシステムはHPA系と呼ばれ、その存在は生物の歴史を何千万年も遡ることができる。HPA系を備えているという点では、人間も背骨をもつあらゆる動物――サル、イヌ、ネコ、ネズミ、トカゲ、そしてなんと魚まで――と同じなのだ。

HPA系というのはたった1つの器官でできているのではなく、身体と脳にある3つの部分が互いにコミュニケーションを取っているシステムだ。まず視床下部(H=hypothalamus)が脳の下部にある分泌器、下垂体(P=pituitary gland)へとシグナルを送り、さらに下垂体から副腎(A=adrenal glands)にシグナルが送られる。すると副腎がコルチゾールというホルモンを放出する。コルチゾールの役割はエネルギーを動員することだ。例えば朝はコルチゾールのレベルが上がるのだが、それはベッドから起き上がるためにエネルギーが必要だからだ。しかしコルチゾールはストレスを感じている時にもレベルが上がる。ストレスを受けるとHからPそしてAへシグナルが送られ、コルチゾールのレベルが上がるのだ。と言うと単純に聴こえるかもしれないが、実際のHPA系は非常に複雑だ。フィードバックのループがいくつもあり、自分で自分にブレーキをかけることもできる。というのも、コルチゾールのレベルが上がると視床下部と下垂体の活動が抑えられる。コルチゾールはつまり自分自身にブレーキをかけ、ストレスホルモンとしても抗ストレスホルモンとしても機能する。これが車であれば、同じペダルがアクセルとブレーキ両方の役割を果たすようなものだ。アクセルを踏みすぎると今度はブレーキがかかるというわけだ。(167‐168頁)

 

2 『ストレスに負けない脳 心と体を癒すしくみを探る』 ブルース・マキューアン、エリザベス・ノートン・レスリー 著 桜内篤子 訳 早川書房

 コルチゾールは免疫系にとっても諸刃の剣となりうる。多すぎると免疫機能を抑えるため、感染症にかかりやすくなる。しかし短期的には、コルチゾールは感染や怪我に対処するのを助ける。つまり怪我や感染から体を守る白血球を、侵略を受けた場所に送り込むのである。このときコルチゾールは白血球が血管壁や傷口、感染箇所など、防衛しなければならない部分の細胞にくっつきやすいよう、その表面を変える働きをする。

免疫活動がもう十分だと知らせるのもコルチゾールの働きだ。このメッセージはまず脳に送られ、視床下部、下垂体を経由し、ストレス反応を調整する。コルチゾールのチェック・アンド・バランス(抑制と均衡)の機能が、免疫反応が活発になりすぎることによっておこる湿疹やアレルギー、免疫が体の健康な細胞を攻撃する自己免疫疾患を防ぐのである。(44頁)

 

3 『ストレスに負けない脳 心と体を癒すしくみを探る』 ブルース・マキューアン、エリザベス・ノートン・レスリー 著 桜内篤子 訳 早川書房

免疫系は私たちがストレスに対処するうえで重要な役割を果たす。自然界において闘争か逃走かを迫られた状況では怪我を負う危険が大いになる。ところが、怪我をする可能性はまずないようなストレスに対しても、私たちの体は、敵をやっつけるか、手に負えなければ逃げる準備をしてしまう。したがって免疫系は攻撃にさらされた部分に免疫細胞を大量に送りこむ準備をし、皮膚、筋肉、組織への損傷や感染に備える。

(中略)

強烈なストレスは免疫反応を強め、その結果白血球が戦場に送られ戦いに備える。しかしストレスが持続すると、逆に免疫力を抑える傾向があり、かえって感染症を招きやすい。(131頁)

4 前掲書

 アロスタシスは迅速で複雑な伝達システムによって生みだされる。アロスタシスは新たな状況や脅威を感知する脳と、体のほかの部分を総動員する内分泌系(おもに副腎)と、体内の防御システムである免疫系に繋がっている。アロスタシスは、極端な状況では闘うか逃げる準備をするため、「闘争か逃走か」反応と同じ意味で使われることもある。要は体がいちばん必要とするところにできるだけ多くのエネルギーを送るのである。
闘争するにしても逃走するにしても、動物はいつもより多くの酸素を筋肉、とくに足の主要な筋肉に送りこまなければならない。そこで酸素を体内に入れるために呼吸が激しくなり、酸素を血液を通して筋肉に送るために心拍数が高まる。また、傷を負っても出血をなるべく少なくするために、皮膚の血管が収斂する。毛が立つような感覚はこの収斂から来る。そして激しい運動に必要な燃料を供給するため、体は蓄積していた炭水化物を液化して血液に流す。急なストレスがかかると免疫系も関わってくる。免疫反応が強化されるのだ。感染と闘う白血球が血管の壁に付着し、いつでも負傷した部分に馳せ参じる用意をする。しかし、ストレスが長期化すると、もっともエネルギーが求められる主要なシステム(心臓と肺)に重点が置かれるため、免疫反応が後回しにされる。だからストレス反応が〝オン〟の状態が続けば、問題が起こるというわけだ。(20頁)

 

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます(^^♪

 

 

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(なお、健康についてはそれぞれ個人差があり、誰にとっても100%正しい情報というのは考えにくいため、当ブログの記事内容については参考程度に止めておいていただければ幸いです)。

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