植島啓司『きみと地球を幸せにする方法』で旅するように変幻自在な生き方。

本・読書

植島啓司『きみと地球を幸せにする方法』で、旅するように変幻自在な生き方。

きみと地球を幸せにする方法

2023年になっても先行き不安になる暗いニュースばかりが流れていますが、今回は、これからの時代の真の幸福な生き方の実現のために、植島啓司『きみと地球を幸せにする方法』(集英社)という一冊をご紹介したいと思います。

 

「これから一般的には常識と思われていない考え方が、今後の社会を生き抜くうえでもっとも必要とされるということを、さまざまな例を通して考えてみたいと思っています」

とはじめに書かれている、宗教人類学者の植島啓司氏による、『きみと地球を幸せにする方法』は、2015年に集英社から知のトレッキング叢書として出版された一冊ですが、贈与やシェア、ネオテニー(幼形成熟)、旅などについて書かれていることが、これからの社会や経済、幸福な生き方を考えるうえで、非常に面白く、興味深いです。

 

「ぼくは一年のうち二〇〇日は旅をして過ごしています。居所不明になるのが好きで、でも、ちょっとでもおもしろそうな集まりがあるとすぐにどこからか駆けつけてきます。」

という、植島啓司氏の本は、これまで『偶然のチカラ』(集英社新書)や『運は実力を越える』(角川新書)などを読んだことがありましたが、非日常と偶然に魂を賭ける植島啓司氏の考え方から学ぶことは多いですし、近頃は、氏の生き方そのものにも、私自身、どこか共感するようになってきました。

 

特に、この『きみと地球を幸せにする方法』においては、「第一章 贈与する人々」で、

「「もらう」側の僧たちはほとんど無表情で、「あげる」側の人々は感謝の気持ちでいっぱいになる」

といった、ラオスにおける托鉢(たくはつ)のような、「「もらうよりあげる」社会がいくらでもある」ことを知らされたことが印象的でした。

 

 托鉢を目に見えるもの(物資・食料)と目に見えないもの(心の安寧)の交換という応報システムとしてとらえることもできるが、それよりも「もらう」より「あげる」ことを第一義に考える社会があると考えたほうが、ぼくらには納得しやすい。というのも、仏教では、「自分がやった善行がそのまま自分に返ってくる」というような短絡した考え方をしないからである。むしろ、善行が災いとなって戻ってくることだってある。そんなことすべてを織り込み済みのまま、ぼくらの社会は動いてきたのである。

(「第一章 贈与する人々」 植島啓司『きみと地球を幸せにする方法』 p30~31)

 

植島啓司『きみと地球を幸せにする方法』

さらに、植島啓司氏は、本書『きみと地球を幸せにする方法』のなかで、

「これからは従来とは異なり、できるだけ何も持たず、分かち合い、自由に、みんなと友好的な関係を持つことが理想的な生き方となるのではないか」(p24)

としたうえで、以下を列挙しています。

 

「交換」に対しては「贈与」
「財産」に対しては「シェア」
「拒絶」に対しては「歓待」
「必然」に対しては「偶然」
「成熟」に対しては「未成熟」「幼形成熟」
「自己」に対しては「他者」
「攻撃」に対しては「親和」
「税金」に対しては「寄付」
「理性」に対しては「感情」
「憎悪」に対しては「祈り」

 

そして、「交換」「財産」「成熟」「憎悪」など、

「上の欄の言葉は現在のわれわれの社会を通底している考え方である。」

のに対し、「贈与」「シェア」「未成熟」「祈り」といった

「下の欄の言葉は、どちらかというと日本人にはなじみ深いものであって、われわれの社会を何百年、何千年にわたって支えてきた原理ともなっている。」

としていることは、これからの日本人の幸福を考えるうえで注目に値します。

 

旅をしている時のように臨機応変、変幻自在で柔軟な生き方が毎日を幸せに生きるコツ。

旅をしている時のように臨機応変、変幻自在で柔軟な生き方が毎日を幸せに生きるコツ。

もちろん、高度経済成長期の以前(昭和から平成)だったら、この本で述べられていることは、多くの日本人にとっては、絵に描いた餅であり、机上の空論だったかもしれません。

しかし、コロナ禍や地震や津波、台風など、多くの自然災害に見舞われることで、日々の生活の根底(地盤や土台)、「当たり前だったこと」が簡単にゆらぐ昨今においては、贈与やシェアなど、この『きみと地球を幸せにする方法』に書かれていることが当たり前でスタンダードになっていくことこそ、幸福度が低いとされているこれからの日本社会が「出口なし」の状況にならないようにするための、解決の糸口であるように感じられます。

 

 なにも首尾一貫していることだけが賞賛されることではない。あらゆる場所や境遇においてそれなりの生き方ができるということのほうがすばらしい。あるときには厳密な仕事ぶりを示し、あるときには酔っぱらって浮かれ、あるときにはその姿が見えないほど節制してつつましく暮らし、あるときには女に溺れて快楽に身を焦がす。そんな生き方ができる人間こそあらゆる排他性や自己中心主義をまぬがれるのではなかろうか。いくら矛盾があったとしても、そんなことはどうにでもなることだ。どんな状況下でも自分に固執するというのはおそらく間違っていると思う。

(植島啓司『きみと地球を幸せにする方法』 p166)

 

そして、植島啓司氏が書いているように、一貫した自己や合理性にこだわらず、その場その場でスタイルを変える、旅をしている時のように臨機応変、変幻自在で柔軟な生き方が、価値観が目まぐるしく変化する時代において、毎日を幸せに生きるコツなのだとも思うのです。

 

 そもそも旅をするということは、自分自身、日常から離れて「弱者」になるということを意味している。そこではつねに「あれをしてもいいのか、これをしてはいけないのか」と考えざるを得ない状況だ。相手に「身を委ねるか」または「支配するか」、降りかかる困難と「戦うか」または「逃げるか」。そこでは、自分の国や社会にいれば何も考えずにすむ厄介ごとが次々と降りかかってくる。いつも相異なる二つの基準のなかで生きること、折り合いをつけること、それはわれわれの精神にとってもっとも本質的な働きと結びついているのかもしれない。生きることは決まったレールの上を進むことではない。しかも、あれかこれかではない。あれもこれもだ。多様性の受容。

(「第四章 歓待する人々」 植島啓司『きみと地球を幸せにする方法』 p159)

 

理想の地球像は、人工集約的な都市と野生のジャングルとの対比から生まれることになる。国家の壁はいつの間にか消滅していって、無数の共同体が結び合って社会を運営していく。それが可能になれば、人間中心主義の呪縛は解かれ、地球は再生し、いっぱいの緑に包まれた美しい地球が息を吹き返すことになるだろう。そんな未来をぼくは夢見ている。

(「第四章 歓待する人々」植島啓司『きみと地球を幸せにする方法』 p183)

 

 

 

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます(^^♪

 

当ブログ「ハチミツとミトコンドリア」ではハチミツの栄養効果とミトコンドリアのエネルギーで、令和の時代の真の健康と幸福の実現、現代病の問題の多くを解決する方法について考えています。ここまで記事を読んでくださり、ありがとうございます。


(なお、健康についてはそれぞれ個人差があり、誰にとっても100%正しい情報というのは考えにくいため、当ブログの記事内容については参考程度に止めておいていただければ幸いです)。

関連記事

  1. 今やりたいことに集中することが幸せを感じるコツ。

    生活習慣

    今やりたいことに集中することが幸せを感じるコツ。

    仕事であれ日常の雑事であれ、「しなければならない」と思った時、…

  2. 手のゆくえー『サピエンス異変 新たな時代「人新世」の衝撃』

    進化

    手のゆくえー『サピエンス異変 新たな時代「人新世」の衝撃』3

    いつもせわしなく動き続けている手は、これからどこへ行くのでしょ…

  3. 毒だらけ 病気の9割はデトックスで防げる!

    有害物質

    『毒だらけ 病気の9割はデトックスで防げる!』で毒出し生活。

    今回は『毒だらけ 病気の9割はデトックスで防げる!』(内山葉子…

  4. 地橋秀雄『ブッダの瞑想法』はヴィパッサナー瞑想を始めるための一冊。

    ブッダ/仏教

    地橋秀雄『ブッダの瞑想法』はヴィパッサナー瞑想を始めるための一冊。

    今回は、私が瞑想を始めてみる際に手に取った『ブッダの瞑想法 ヴ…

  5. GO WILD 野生の体を取り戻せ!

    生活習慣

    生命力を高めるには『GO WILD 野生の体を取り戻せ!』がオススメ。

    本当の健康を取り戻したいならば、時々、スマホやパソコンから離れ…

  6. 『オートメーション・バカ』はAI・デジタル化社会で「生きる喜び」を取り戻すために必読。【読書メモ/書評】

    生き方

    『オートメーション・バカ』はAI・デジタル化社会で「生きる喜び」を取り戻すために必読。【読書メモ/書…

    AIが自分の代わりに何でも優れた仕事をしてくれ、自分がいまやっている仕…

特集記事

  1. ギー(Ghee)の効果・効能で油を変える健康生活。
  2. 『40代からの健康長寿&認知症予防対策 食事・運動・瞑想でゆっくりアンチエイジング』
  3. ストレス・慢性炎症・生活習慣病を防ぐためのセルフケア習慣
  4. 乳酸菌より注目な「乳酸菌生産物質」の腸への効果とは?
  5. 『コズモグラフィー』が示す「関係性の宇宙」と未来へのヒントーなぜ今、バックミンスター・フラーなのか

オススメ記事

  1. 体が硬い人ほど【ゆっくりヨガ】でからだを観察&マインドフルネ…
  2. 温暖化の世界に適応するには?『ヒトという種の未来について生物…
  3. 『ミトコンドリアがあなたのエネルギーを増やす。呼吸・ヨガ・ス…
  4. ゆっくり息を吐く呼吸×クリスタルボウルのサウンドで、気持ちの…
  5. 知っておきたい【森林浴】の免疫力を高める効果とは?

カテゴリー

『腸内フローラ改善習慣で、腸を元気にする生き方』Kindle で販売中です😊

管理人
塩川水秋

真の健康と幸福の実現を創造&情報発信。

ブログ内検索

Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Post Type Selectors

Copyright © 2024 copyrights.ハチミツとミトコンドリア All Rights Reserved.

 

amazonアソシエイトプログラムに参加しています。当ブログの記事には、訪問者様が製品またはサービスをamazonから購入した場合に、管理人が手数料を受け取ることがあるリンクが含まれています。

  1. 乳酸菌より注目な「乳酸菌生産物質」の腸への効果とは?

    腸活・腸内環境

    乳酸菌より注目な「乳酸菌生産物質」の腸への効果とは?
  2. 温暖化の世界を生き延びるには?『ヒトという種の未来について生物界の法則が教えてくれること』

    進化

    温暖化の世界に適応するには?『ヒトという種の未来について生物界の法則が教えてくれ…
  3. ミトコンドリア

    ミトコンドリアが<免疫力アップ>に関係しているワケとは?
  4. 電子書籍

    『セルフ・コンパッション×マインドフルネスで、自分を思いやるセルフケア生活』Ki…
  5. 「免疫力を高める」は習慣が9割

    電子書籍

    『「免疫力を高める」は習慣が9割 ストレスに負けないメンタルが免疫力の低下を防ぐ…
PAGE TOP