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何をやっても結局長続きしなかった、という場合、新しく始めたことを習慣化したいならば、最初のハードルを低く設定する「小さな習慣」から始めてみてはいかがでしょうか?
今回は前回に引き続き 『小さな習慣』(スティーヴン・ガイズ 著 田口 未和 訳 ダイヤモンド社)という一冊を取り上げながら、「小さな習慣」なら本当の習慣に育てていくことができる理由について述べていきたいと思います。
前々回の記事では、『小さな習慣』の著者であるスティーヴン・ガイズ氏のいう「小さな習慣」とは、筋トレ習慣が健康のために良いと知り、腕立て伏せを毎日しようと決めたならば、いきなり30回や100回を目標にするのではなく、1回を目標にするということだと述べました。
また、前回の記事では、「小さな習慣」の実践には、「モチベーション」の代わりに「意志の力」、すなわち「小さすぎて失敗できないような小さな習慣を実行に移してくれるほんのわずかな力」だけは必要になると述べました。
ですが、新しいことを習慣として実践するには、必ず何らかの原因が障害となり、途中で挫折してしまいがちです。
このことに関して、スティーヴン・ガイズ氏は『小さな習慣』のなかで、「意志の力や自制心の低下」・「自我消耗の主な原因」として、
- 努力
- 困難の自覚
- 否定的な感情
- 主観的な疲れ
- 血糖値レベル
を挙げています。
たとえば新しく筋トレや読書などを習慣として続けようとしても、多大な努力を要したり、難しいと思ったり、時間を無駄にしたといったような否定的な感情を抱いたり、ひどく疲れたと感じたりしたら、結局は長続きしません(もしくは低血糖状態のせいでやる気が起きないなど)。
しかし小さな習慣であれば、「自我消耗の主な原因」を乗り越えることが可能なのです。
そして、
「もっとやりたい気持ちになること、そして、その行動を本当の習慣に育てていくこと」
もできるのです。
「小さな習慣」とは、毎日ひとつから4つの〝ばかばかしいほど小さい〟行動を自分に強いる方法です。一つひとつはほんの小さな行動なので、失敗することなどありえません。そして、急に何か想定外の状況が起こったとしても、やり損なう口実にはなりません。小さな習慣は、次のふたつの目的を達成できます。もっとやりたい気持ちになること、そして、その行動を本当の習慣に育てていくことです。
(スティーヴン・ガイズ 『小さな習慣』 田口 未和 訳 p84)
コンフォートゾーンから一歩だけ外に出ることの大切さとは?
また、新しい習慣を毎日の生活に採り入れる際に障壁となって立ちふさがるのは、自分自身の脳の習性であると思われます。
つまり、新しい習慣によって人生を良い方向に変化させようとしても、惰性によるこれまでの生き方のほうがやっぱり心地よいと思ってしまうと、脳が新しい変化に対応しようとせずに元に戻ってしまい、なかなかこれまでの習性を変えることは出来ないのです。
もちろん、自分にとって本当に良いと思える習慣であれば、その習慣をわざわざ変えようとする必要はないのですが、たとえば、必要もないのに仕事帰りにストレスのせいでつい買い物をしすぎてしまったり、体重を気にしているのに、夕食後にスイーツを食べ過ぎてしまったりする習慣はどうでしょうか?
ちなみに、自分にとって心地よい状態・現状のことは「コンフォートゾーン」と呼ばれますが、新しいことを習慣化するとは、この「コンフォートゾーン」からある程度脱け出ることが必要になることを意味するのです。
スティーヴン・ガイズ氏も『小さな習慣』のなかで、
「大きな変化に直面すると、あなたの脳はびっくりして飛び上がり、快適に感じられる日課へと駆け戻ってきます。」
と述べています。
ですが、その一方で、
「しかし、穏やかな変化をほんのちょっとだけ与えれば、(恐れることなく)好奇心にかられてもっと探検したいと思うかもしれません。」
「ほんの少しだけ前に進めば、あとは自然に転がっていけます。」
としているのです。そして、
「小さな習慣は、コンフォートゾーンの境界線のところまで歩いていき、一歩だけそこから外に出ることと考えられます。そこはサークルの中ほど快適ではないのですが、それでも大きな違和感はありません。」
だと述べています。
小さな習慣は、コンフォートゾーンの境界線のところまで歩いていき、一歩だけそこから外に出ること、と考えられます。そこはサークルの中ほど快適ではないのですが、それでも大きな違和感はありません。一歩後戻りすれば、すぐにコンフォートゾーンに戻れるとわかっているからです。最初の何回かは、すぐに中に戻ってしまうかもしれません(小さな課題をこなすだけで終わりにします)。しかし、何度かサークルの外に踏み出しているうちに、あなたの潜在意識は次第にそれに慣れ、サークルが広がっていきます(これが小さな習慣が本格的な習慣へと発展するプロセスです)。こうすると、サークルの外に勢いよく飛び出していったときとは違い、あなたは境界線の位置を元に戻すことなく、どんどん広げていけます。これこそが小さな習慣の魔法です。
(スティーヴン・ガイズ 『小さな習慣』 田口 未和 訳 p96~97)
小さな習慣ならライフスタイルに合わせて、いくらでも柔軟に取り入れられる。
以上今回の記事では、前回や前々回に引き続き 『小さな習慣』(スティーヴン・ガイズ 著 田口 未和 訳 ダイヤモンド社)という一冊を取り上げながら、「小さな習慣」なら本当の習慣に育てていくことができる理由について述べてきました。
なお、本書『小さな習慣』には、「大きな変化をもたらす「小さな習慣」8つのステップ」や、「「小さな習慣」を失敗させない8つのルール」、アプリをうまく活用しての小さな習慣の実践など、「小さな習慣」をより自分のものにするための秘訣が詳しく書いてありますので、関心がある方は、実際に本書を読んでみていただきたいと思います。
また、「生活習慣」について書かれている本は山ほどありますが、スティーヴン・ガイズ氏が本書『小さな習慣』のなかで、
- 「小さな習慣なら本当に小さな行動から始め、意志の力を効率的に使えるので、一度に複数の習慣に取り組めます。」
- 「小さな習慣は、現在のあなたのライフスタイルに合わせて、いくらでも柔軟に取り入れられるはずです。」
と述べている点は、自分の人生を良い方向に変化させるうえで、非常に魅力的であるといえます。
今回は「小さな習慣」なら本当の習慣に育てることができるワケについて述べてみました。
もし健康のために、運動や瞑想、食事の改善などを始めたいというのであれば、この「小さな習慣」から始めてみてはいかがでしょうか?
小さな習慣には多くの長所があります。応用の幅が広く、いつもポジティブな気持ちでいられます。ひとつの達成が次の達成につながり、つねに成功できるため、自然に自己肯定感が高まります。もちろん、小さな習慣として始めた行動がやがて本物の習慣に変わっていきます。
(スティーヴン・ガイズ 『小さな習慣』 田口 未和 訳 p35)
小さな習慣なら本当に小さな行動から始め、意志の力を効率的に使えるので、一度に複数の習慣に取り組めます。忙しくて時間に追われた人たちでさえ、小さな習慣をいくつも身につけることに成功しています。小さな習慣をあなたの生活の基礎になるものと見なしてください。どれも必ずやらなければならないことですが、数分もあれば全部終えられます。それが終わってしまえば、〝おまけ〟であろうと、そのほかの活動であろうと、自分の好きなことをしてかまいません。小さな習慣は、現在のあなたのライフスタイルに合わせて、いくらでも柔軟に取り入れられるはずです。それでいて、生活改善のための効果的な「てこ」になります。最初は生活の中に取りこむ小さな習慣だったものが、何かもっと大きなものに成長するからです。
(スティーヴン・ガイズ 『小さな習慣』 田口 未和 訳 p110~111)
ここまで読んでくださり、ありがとうございます(^^♪