ローヤルゼリーがカラダのためにいい、とよく聞きますが、今回は、生ローヤルゼリーの健康効果が心と体にオススメなわけについてです。
ところで、そもそも「ローヤルゼリー」とは、何でしょうか?
ローヤルゼリーとは、働き蜂の喉頭腺から分泌されるミルク状の物質のことです。
より具体的には、ローヤルゼリーとは、はたらき蜂が花から採取した花粉を、体内で消化、分解、生成し、人間の唾液腺にあたる下咽頭腺と大あご腺から分泌したもののことであり、女王蜂になる幼虫に対して、成長のための食糧として与えられることから、その働きが注目されるようになりました。
そのローヤルゼリーには、炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、必須アミノ酸など、はちみつと同様、様々な栄養素がバランスよく凝縮されています。
またローヤルゼリー特有の成分として、自律神経失調症や更年期障害に効果的なデセン酸と呼ばれる脂肪酸や、体の老化を防ぐといわれている類パロチンがあります。
さらに、ローヤルゼリーには、パントテン酸、アセチルコリン、イノシトール、ビタミンB群、20種類のアミノ酸などが、豊富に含まれています。
ちなみにローヤルゼリーは古代ローマのアリストテレスの著書「動物誌」のなかに登場するほど、古くから知られている食材であり、中国では「蜂乳」と呼ばれ、漢方の世界では、ローヤルゼリーは、生薬のうち、五臓六腑を強めて自然治癒力を高める「上薬」にランク付けされています。
ローヤルゼリーに期待できる効果・効能
そのローヤルゼリーには、以下のような健康効果が期待できるとされています。
- 免疫力を高める効果
- 抗炎症作用
- 自律神経のバランスを整える効果
- ストレスの緩和
- 疲労回復効果
- アンチエイジング効果
- 美肌効果・皮膚の老化予防
- 便秘の改善
- コレステロール値の調整
- 動脈硬化の予防
- 更年期障害の予防
このようにローヤルゼリーに多くの健康効果が期待できる理由は、ビタミンやミネラル、アミノ酸など、様々な栄養成分が共同して働くからだと考えられています。
さらに、ローヤルゼリーに含まれている、リジンやバリンをはじめとした豊富なアミノ酸は、疲労回復や体力回復に役立つといわれていますし、特有成分の類パロチンは、美容や美肌への効果が注目されています。
ローヤルゼリーに含まれる栄養素・天然成分
- ビタミン類・・・ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビオチン、パントテン酸、ナイアシン、葉酸、アセチルコリン、イノシトール
- ミネラル類・・・鉄 、銅 、亜鉛 、マンガン、マグネシウム 、カルシウム
- アミノ酸・・・アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、アルギニン、プロリン、チロシン、グリシン、アラニン、システイン、タウリン、β-アラニン、γ-アミノ酪酸、オキシプロリン
- 必須アミノ酸・・・ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、リジン、バリン、スレオニン、ヒスチジン
- 特有成分・・・デセン酸、類パロチン、ピオプテリンなど
ローヤルゼリーの免疫力を高める効果
ローヤルゼリーには、ハチミツと同様、免疫力を高める効果が期待できます。
細胞実験でその効果が確認されており、特にローヤルゼリーにのみ含まれるデセン酸は天然の抗生物質で、強い抗菌作用を持つと言われています。
また、自律神経のバランスの乱れは、免疫力の低下につながると考えられていますが、ローヤルゼリーは、視床下部の「間脳」に働きかけることで、自律神経の司令塔を活性化してその機能を高めるといいます(参考 『ロイヤルゼリー小事典』 現代書林)。
さらに、ローヤルゼリーの基礎研究では、動脈硬化を促進するような実験食を与えられた実験動物にローヤルゼリーを投与したところ、動脈硬化が抑制されたと言いますし、糖尿病の実験動物においては、炎症が抑制されたという報告もあるようです。
ローヤルゼリーの注目成分「デセン酸」
ところで、ローヤルゼリーだけに含まれる成分としては、脂肪酸の一種である「デセン酸」(10-ヒドロキシ-2-デセン酸)が挙げられます。
そして、このローヤルゼリーの「デセン酸」には、以下のような効果・効能が期待できるとされています。
- 抗菌作用。
- 肌をきれいに保つ皮脂分泌抑制作用。
- 糖尿病の血糖値を下げるインスリン様作用。
- 高血圧の降下をもたらすアンジオテンシン転換酵素阻害作用。
- 動脈硬化の原因となる血中コレステロールの低下作用。
- ガンを抑制する抗腫瘍作用。
(『ロイヤルゼリー小事典』 現代書林より抜粋)
ローヤルゼリーの自律神経失調症の症状を改善する効果
ローヤルゼリーに含まれる脳内で情報を伝達するアセチルコリンには、自律神経の乱れを調整し、イライラやめまいなどの症状を改善する効果があるとされています。
また、ローヤルゼリーに特有の脂肪酸であるデセン酸も、自律神経失調症や更年期障害などに有効であるとされています。
更年期障害とは、女性ホルモンのバランスの乱れが原因で、のぼせやほてり、めまい、イライラなどを引き起こす病気のことですが、ローヤルゼリーは、特有成分であるデセン酸の働きによって、更年期障害の症状を改善する効果も期待できるとされています。
生ローヤルゼリーの効果的な摂取方法・注意点
生ローヤルゼリーは、1日300~3gを標準量として摂取するのが望ましいとされています。しかし、そのまま摂取すると、特有の酸味や風味が気になって毎日続けるのが難しいと感じられるかもしれません。その場合は、はちみつに混ぜてから摂取すると、食べやすくなります。
また、ローヤルゼリーはアレルギー反応を引き起こし、ひどい時にはアナフィラキシーに至ることもあるとされているため、何らかの食物アレルギーや喘息を患っている方が摂取する場合は、注意が必要です。
さらに、生のローヤルゼリーは変質・劣化が早いため、およそ3ヵ月以内は冷蔵で保管し、早めに食べきる必要があります。もし封を開けずに長期保管する場合は、必ず冷凍にして保存する必要があります。
私が生のローヤルゼリーをオススメするわけ。
ちなみにローヤルゼリーには、
- 生ローヤルゼリー
- 乾燥ローヤルゼリー
- 調整ローヤルゼリー
の三種類があり、このうち生ローヤルゼリーには、
- 長期保存に向かない
- 独特の味が食べにくい
- 値段が高価
という短所がありますが、私自身はもしローヤルゼリーを健康食品として食生活に取り入れるならば、生のローヤルゼリーをオススメしたいと思います。
その理由は、大自然とミツバチの恵みであるローヤルゼリーは、ハチミツと同様、加工せずにそのまま食べたいと単純に思うからです。
以上ここまで、生ローヤルゼリーの健康効果が心と体にオススメなわけについて述べてきました。「不老長寿の霊薬」「若返り薬」「万病に効く万能薬」とも呼ばれ、様々な栄養が凝縮されている、女王バチのためだけに作られたローヤルゼリーを、日頃の健康維持のためにとりいれてみてはいかがでしょうか?
ローヤルゼリーは、消化にかかる負荷がほとんどなく、ほぼ全量が、そのまま速やかに無駄なく吸収され、老廃物が出ないので、女王バチは糞をしないのだという。「女王」と優雅に呼ばれつつ、実は気が遠くなりそうな重労働を背負っているのだが、群れの中でただひとりの母として、数年間をたくましく生きる。彼女が新しい細胞とそこに宿る命を、たゆみなく生み出す栄養源が、ローヤルゼリー=「はちミルク」なのだ。
(前田京子『はちみつ日和』p161)