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ポピュラーなお経である<般若心経>が説く【空】を正しく理解することは、小さな悩みや多くの苦しみが無くなる生き方を始めてみるのにオススメです。
そういうわけで今回は、令和の時代の真の健康と幸福の実現のために、苫米地英人『一生幸福になる 超訳「般若心経」 』(PHP文庫)を取り上げたいと思います。
前回は【般若心経】を感じるマインドフルネスが脳疲労やイライラを軽減する、ということについて述べましたが、般若心経は内容をただ頭だけで理解しようとするよりも、実際に唱えて「空」を体感しようとすることで効果を発揮するお経であると思われます。
そして、そのことを実感させてくれるのは、苫米地英人『一生幸福になる 超訳「般若心経」 』という一冊なのです。
「空」を本当に理解できれば、この世のあらゆる悩みから解き放たれます。悩みも、悩みの種もすべて「空」だと理解できるからです。
内容をしっかりとイメージして「般若心経」を唱えると、必ずその内容があなたにとっての現実となります。そのためにあなたは「般若心経」を唱えるのです。
(苫米地英人『一生幸福になる 超訳「般若心経」 』 p58)
「般若心経」は瞑想の実践に最適。
しかし、般若心経は実際に唱えることで効果を発揮する(ご利益がある)といっても、「空」について述べているその内容を理解しないよりは、正しく理解したうえで唱えたほうが良いのです。
ですが、苫米地英人氏は、般若心経は「空」を説いているといっても、
「途中から「空」を「無」と置き換えてしまったところ」
に「最も重要な修正点」があるとしています。
そしてこの「無」は、「「道教」の影響が非常に強い」といいます。
そのため、苫米地英人氏の『一生幸福になる 超訳「般若心経」 』では、「『空』の思想を理解しやすいように添削する」という大胆な試みがなされています。
【般若心経】が説いている「空」とは何か?
では、「色即是空」「空即是色」など、般若心経が説いている「空」とはそもそも何でしょうか?
苫米地英人氏は、『一生幸福になる 超訳「般若心経」 』のなかで、「「空」とは「有」と「無」の両方を包摂する、一つ視点の高い概念です」と説明しています。つまり、
「「在るともないとも言える」=「空」なのです」(p147)。
そして、そのあるともないとも言えるものの具体例として、ユークリッド幾何学で「線分の端」や「円の中心として定義」される、「位置は確定できるが幅も長さもない(当然、面積もない)もの」である「点」を挙げています。
実は「空」というのは、「有」も「無」も両方を包み込む(包摂する)概念です。「有」でも「無」でも同じことだよというのが「空」です。「有」や「無」よりも高い視点で、その両方を見下ろすことができる概念なのです。ですから、「無」という言葉が出てくるところは基本的に間違い(誤解)です。「空」とは何もないことではないのです。
(苫米地英人『一生幸福になる 超訳「般若心経」 』 p40)
「空」とは、「無」のことではなく、「無」と「有」を包摂する。
しかし、般若心経を読んでいてどうしてもひっかかるのは、「空」とはからっぽのことであり、全てのものに実体は無いから、意味も無い、だから何をやっても虚しい、と何となく思ってしまうことです。
たとえば、「無受想行識 無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法」といったくだりを読むと、眼や耳、鼻や舌、身体や心で感じたこと全てに実体はなく、<私>が生きている世界や、目の前のリンゴは、脳内現象としての「幻」や、脳が生み出したホログラムにすぎないのではないかと、疑ってしまう可能性があるのです。
ところが苫米地英人氏が説明するように、「空」とは「無」のことではなく、「無」と「有」を包摂する概念であり、
「「空」とは、あらゆるものが関係して存在があるという前向き、かつダイナミックな思想」
であると考えれば、納得がいきますし、元気も湧いてくるのです。
「どうせすべてのものは『ない』のだから、何をやったって意味がない」と考えるのが虚無主義の特徴ですが、「空」の思想はそういうことではありません。「空」とは、あらゆるものが関係して存在があるという前向き、かつダイナミックな思想です。目の前のペットボトルは誰かが発明し、製造し、誰かが置いて目の前にあるのです。その存在に関わるネットワーク(縁起)といいます)は、全宇宙に広がります。一つの存在に全宇宙がダイナミックに込められています(これを一念三千と言います)。これが「存在とは空」という意味です。
(苫米地英人『一生幸福になる 超訳「般若心経」 』 p137)
『一生幸福になる 超訳「般若心経」 』ならダイナミックな「空」を理解できる。
以上今回は、認知科学者であり、『お釈迦様の脳科学』や『超悟り入門』、『人はなぜ、宗教にハマるのか?』『音楽と洗脳』などの著作も注目な苫米地英人氏の『一生幸福になる 超訳「般若心経」 』を取り上げながら、般若心経が説いている「空」についての、苫米地英人氏の考え方を紹介してみました。
般若心経に関心があり、空っぽの「emptiness」ではなく、「あふれんばかり」のフルネス「fullness」(p204)としての「空」を理解したい方は、『一生幸福になる 超訳「般若心経」 』(PHP文庫)を手に取ることで、悩みや苦しみが無くなる空を実現する生き方を始めてみてはいかがでしょうか?
また、『一生幸福になる 超訳「般若心経」 』を面白いと感じたら、苫米地英人氏の新刊『超悟り入門』もオススメです。
「一切の苦しみを取り除くのは「マントラ」の力ではなく、止観瞑想によって自分も含めたすべてのものが「空」であるとリアルに感じる力なのです。」(p181)