『あなたの脳は変えられる』の【「やめられない! 」から抜け出す方法】とは?

マインドフルネス

『あなたの脳は変えられる』の【「やめられない! 」から抜け出す方法】とは?

『あなたの脳は変えられる 「やめられない! 」の神経ループから抜け出す方法』

スマホのゲームなど、精神的なストレスを感じる度に、「わかっちゃいるけどやめられない」、ついつい続けてしまう習慣をお持ちではないですか?

今回は、『あなたの脳は変えられる 「やめられない! 」の神経ループから抜け出す方法』(ジャドソン・ブルワー 著 久賀谷亮 監修・翻訳 岩坂 彰 訳 ダイヤモンド社)という一冊について、書評もかねて述べていきたいと思います。

 

現代社会においては、毎日の生活のなかでどこか心が満たされず、ストレスを感じてイライラするとすぐにスマホを眺めたり、ネットショッピングで買い物をしたり、アルコールを摂取したりしてしまう、という方は多いのかもしれません。

スマホを操作してSNSやゲームを楽しんだり、美味しいスイーツを味わったり、お酒やタバコを嗜んだりすることが、自分自身の人生にとって100パーセントプラスになるのであれば、そのような習慣は、自分の人生に意味をもたせるために、ずっと続けたとしても、何も問題はないように思います。

 

しかしどこか心のむなしさを埋めるために、「やめなければ」と頭のどこかで思いつつも、必要以上にスマホを眺めたり、欲しいと思った商品を買いすぎたり、ギャンブルにはまったり、食べ過ぎたり飲み過ぎたりしてしまう場合、そのことでより健康的で幸福な人生を送れる保証はありません。

むしろ、エネルギーの使い過ぎで心身のバランスを崩し、気持ちが塞ぎこみやすくなったり、体調を崩しやすくなったりすることが考えられます。

そして最終的には「快」よりも「不快」のほうが勝り、ストレス解消のつもりが逆にイライラして、自分自身のコントロールを失ってしまうということも、日常的にはよくあることではないでしょうか?

 

「わかっちゃいるけどやめられない」から抜けすための方法とは?

「わかっちゃいるけどやめられない」から抜けすための方法とは?

ですが、「もっと欲しい」「わかっちゃいるけどやめられない」と依存症的に同じことを繰り返してしまう習慣を抜け出すのは簡単ではありません。

そもそも、目の前の報酬に飛びつく性質は、生き残りをかけた進化の過程では仕方のないことであり、消費社会においても、そのようなどんどん快感をもたらしてくれるものにハマっていく脳の仕組みを利用して、様々な商品やサービスを企業が生み出しているのです。

そのため、目の前のつい魅力的な商品を高額な値段で購入したり、SNSでたくさん「いいね!」を求めたりすることは、ヒトの脳の習性として当然なのかもしれません。

 

ところが、いくらお金を払って「モノ」を消費したり、「いいね!」されることで他者から承認されたつもりになったとしても、心の渇きはなかなか解消されず、時にはより虚しい気持ちになることもあるのではないでしょうか?

そこでジャドソン・ブルワー氏が書いた『あなたの脳は変えられる 「やめられない! 」の神経ループから抜け出す方法』という一冊の出番なのであり、副題にある「「やめられない! 」の神経ループから抜け出す方法」とは、早い話がマインドフルネス瞑想の実践なのです。

 

マインドフルネス瞑想で「あなたの脳は変えられる」理由とは?

マインドフルネス瞑想で「あなたの脳は変えられる」理由とは?

過去の出来事や未来ではなく、いまの瞬間に意識を集中させるマインドフルネス瞑想を始めてみる理由やその方法については、他の記事で述べていますのでここでは割愛させていただきますが、なぜマインドフルネス瞑想がこれまでの習慣を断ち切るのに有効であるのかということについて、本書『あなたの脳は変えられる』のなかで著者のジャドソン・ブルワー氏が以下のように述べている点は、傾聴に値します。

 

 私たちはみな、ストレスの引き金になる何らかのボタンを持っている。そのボタンがどんなものであるかは、報酬による学習で身につけてきた人生への取り組み方(あるいは取り組まないやり方)でほぼ決まってくる。また、そのストレス因子が自分の生活や周囲の人間にどの程度影響するかえ、問題の重症度が決まってくる。

最も重症な側に依存症、つまり悪影響があるにもかかわらずやめられない学習がある。靴のひもを結ぶのは問題のない習慣だが、運転中のスマホは悪い習慣だ。ここで重要なのは、どのような行動を身につけるか、どのくらいのペースでそれを学習するか、どのくらい根深い習慣になるかは、報酬の中身次第という点だ。

(ジャドソン・ブルワー『あなたの脳は変えられる』 岩坂 彰 訳 p98)

 

マインドフルネスとは、世界を今よりもはっきりと見ることだ。主観的バイアスのせいで道に迷い、同じ場所をぐるぐると回っているとき、マインドフルネスはそのバイアス自体に気づかせてくれる。その結果、自分がどうやって迷ったかが見えてくるのである。どこにもたどり着かない道を歩いていることにいったん気がつけば、そこで立ち止まり、不要な荷物を捨て、違う方角に歩き出せる。たとえて言うなら、マインドフルネスは、人生を歩む際に役立つ地形図となりうるのだ。

(ジャドソン・ブルワー『あなたの脳は変えられる』 岩坂 彰 訳 p52)

 

 森の中で迷ったときは、立ち止まり、深呼吸をして、地図とコンパスを取り出せと私は教わった。位置関係がわかり、方角がはっきりした時点で、初めて歩きはじめるべきなのだ。本能に反するやり方だが、私は実際、これで命拾いをしてきた(今でもこのやり方を守っている)。同じように、物事をはっきりと見極めつつ、それに反応せずにいることで、自分が不ー快をどのように悪化させているか、また、どうすればもっとうまく取り組んでそこから離れられるのかを学んでいけるだろう。

(ジャドソン・ブルワー『あなたの脳は変えられる』 岩坂 彰 訳 p53)

 

ちなみに本書の監訳をしている久賀谷亮氏は、冒頭にある「解説 やめられない脳をどうにかする」のなかで、

 

「瞑想を継続すれば、脳の仕組みから生まれるやっかいな渇望を、外敵報酬とは異なる仕方で、いわば〝内側から〟満たせるようになります」

「そんな脳が手に入れば、スマホに多くの時間を奪われたり、独善的な振る舞いをして恋人を失ったり、暴飲暴食や禁煙失敗を繰り返したり、感情的になって怒鳴ってしまったり、いつまでも思考をループさせたりすることもなくなります。」

 

と述べています。

このことはわかりやすくいえば、マインドフルネス瞑想の実践を継続すれば、同じ思考パターンや当たり前になっている生活サイクルから脱け出せるかもしれないということです。

 

マインドフルネスによる気づきに満ちた生き方が、これまでの心の習慣を断ち切る。

マインドフルネスによる気づきに満ちた生き方が、これまでの心の習慣を断ち切る。

また、アメリカにおけるマインドフルネスの第一人者であり、『マインドフルネスストレス低減法』の著者としても有名なジョン・カバットジン氏は、本書『あなたの脳は変えられる』について、

「本書の内容の基礎となる研究は読みやすく説明されており、高度な科学についても非常にわかりやすい。この内容から読者は、学習について、また、心の習慣を断ち切ることについてまったく新しい視点を与えられるだろう。」

というコメントを寄せています。

 

 本書の内容の基礎となる研究は読みやすく説明されており、高度な科学についても非常にわかりやすい。この内容から読者は、学習について、また、心の習慣を断ち切ることについてまったく新しい視点を与えられるだろう。習慣は力ずくで断ち切ろうとしたり、意志の力や一時的なその場しのぎの報酬を利用して抑えようとしてもうまくいかない。そうではなく、「そこに在る」という領域に完全に入り込み、純粋な気づきそのものの空間に親しみ、「今」と呼ばれる時間のない瞬間の真っただ中でそうしたことがどのように可能かを発見することによって、習慣は断ち切れると本書は説明している。

(ジャドソン・ブルワー『あなたの脳は変えられる』 岩坂 彰 訳 p338)

 

以上今回の記事では、『あなたの脳は変えられる 「やめられない! 」の神経ループから抜け出す方法』(ジャドソン・ブルワー 著 久賀谷亮 監修・翻訳 岩坂 彰 訳 ダイヤモンド社)という一冊をご紹介してきました。

マインドフルネスでやめられない習慣が断ち切れる理由など、本書の内容については、次回の記事で述べたいと思いますが、なぜマインドフルネス瞑想が、目の前の報酬にすぐに飛びついてしまう私たちの脳の習性やパターンを変える可能性をもっているのか、ということについて関心がある方には、一読に値するおすすめの一冊だといえます。

 

また、本書の中盤以降では、自己関連づけに関わるデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)と呼ばれる脳内ネットワークの働きが、瞑想によって弱まるという研究結果や、「フロー状態」、ブッダの教えのことなどについてふれていて興味深い内容になっています。

 

 マインドフルネスを学べば、気づきと気遣いを深める生き方を身につけることができる。ドーパミンの分泌を求めて機械的にレバーを押し続けるよりも、あらゆる行動に注意を向けつつ、関わるものすべてを意識的に選択する生き方である。そのとき私たちは、浅い興奮に満たされるだけの人生ではなく、より幸せで健康的な人生を見出すだろう。

(ジャドソン・ブルワー『あなたの脳は変えられる』 岩坂 彰 訳 p325)

 

そのほか、『なぜ今、仏教なのか 瞑想・マインドフルネス・悟りの科学』(ロバート・ライト 著 早川書房)と併読すると、現代社会におけるマインドフルネス瞑想やブッダの思考法の意義への理解がより深まるように思います。

 

『なぜ今、仏教なのか 瞑想・マインドフルネス・悟りの科学』

 

『あなたの脳は変えられる 「やめられない! 」の神経ループから抜け出す方法』 目次

 

解説 やめられない脳をどうにかする ── 『あなたの脳は変えられる』をお読みになる方へ 久賀谷 亮

はじめに 私の脳はこうして変わった

序章 脳はこうして「悪癖」にハマる ── 「わかっちゃいるけどやめられない」の生物学的メカニズム

第1部 「つい、またやってしまった……」を科学する

第1章 「したい!」に流されない方法 ── 「やめられない」の脳科学

第2章 「いいね!」は脳の麻薬である ── ついついスマホを見てしまう理由

第3章 「ワタシ」が頭から離れない! ── 偏見・思い込みにハマるメカニズム

第4章 「雑念まみれの脳」を救うには? ── 過去・未来に振り回されなくなる方法

第5章 「反芻思考」が脳を疲労させる ── DMNの思考ループを止める方法

第6章 「愛情中毒」のニューロサイエンス ── 「燃えるような恋」が人を狂わせるまで

第2部 こうすれば、あなたの脳は変わっていく

第7章 なぜ、集中できないのか? ── 脳の「呪縛」を解く方法

第8章 ついカッとしてしまう人の脳 ── ストレスの正体

第9章 いつでも「フロー」に入れる脳になる ── 最高の集中状態は「学習」できる

第10章 「しなやかな脳」をつくる瞑想の習慣 ── 快感回路スパイラルから脱出しよう

おわりに あなたの脳は変えられる、ただし…

本書に寄せて 「悪癖だらけの脳」を救う ── 今こそマインドフルネスをはじめよう ジョン・カバットジン

 

 

ここまで読んでくださり、ありがとうございます(^^♪

 

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(なお、健康についてはそれぞれ個人差があり、誰にとっても100%正しい情報というのは考えにくいため、当ブログの記事内容については参考程度に止めておいていただければ幸いです)。

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