マスクをしているために何となく息苦しいと感じることはありませんか?
そういうわけで今回は、ミトコンドリアにおける「呼吸」とは一体何を意味するのか、ということについて、考えてみたいと思います。
ミトコンドリアにおける「呼吸」とは、食事で得た栄養素と、肺から吸い込んだ酸素を巧みに反応させることで、エネルギーを生み出すことを意味します。
酸素を利用した呼吸は、解糖系⇒TCA回路(クエン酸回路)⇒電子伝達系の3つの過程を経て段階的に行われます。
そして、この酸素呼吸で何が合成されるのかといえば、エネルギー通貨である「ATP」(アデノシン3リン酸)です。
ちなみに酸素が使われない解糖系では、ブドウ糖1分子に対して、2分子のATPが生成されますが、「呼吸鎖」と呼ばれているミトコンドリアの内膜にある電子伝達系においては、30~32分子程度のATPが合成されます。
また、電子伝達系(複合体Ⅰ~Ⅳ)では、電子の受け渡しが行われています。
このあたりの「酸化還元反応」が関わる生化学的な仕組みについては省略しますが、ミトコンドリアにおける<呼吸>の意味とは、酸素を利用して、「ATP」(アデノシン3リン酸)を多く合成することなのです。
そしてこの「ATP」は、「エネルギー通貨」と呼ばれているとおり、イオンの輸送をはじめとして、生命の基本的な活動を支えるのに、きわめて重要な役割を果たしています。
今回の記事では、ミトコンドリアにおける<呼吸>の意味について述べてみました。
マインドフルネス瞑想やヨガの実践の際には、「呼吸」を意識することが重要ですが、この呼吸に深く関わる「ミトコンドリア」は、実は生命力の源であるといっても過言ではないのです。
大ざっぱに言えば、呼吸はプロトンポンプを使ってエネルギーを生成する。まず、酸化還元反応で発生したエネルギーによって、膜を通してプロトンが汲み出される。すると膜をはさんで、およそ150ミリボルトの電位差に相当するプロトン濃度の差ができる。このプロトン駆動力がATPアーゼのモーターを動かし、生命の普遍的なエネルギー通貨であるATPを生み出すのだ。
これと非常によく似たことが、光合成でも起きている。呼吸と同じように、光合成の場合、太陽のエネルギーによってプロトンが葉緑体の膜を通して汲み出される。細菌も、細胞の外膜を越えるプロトン駆動力を生み出すことによって、ミトコンドリアと同じような働きをしている。微生物学者以外の人にとっては、生物学において、細胞がおそるべき多芸さでエネルギーを生み出すことほど不思議な現象はない。
(『ミトコンドリアが進化を決めた』 ニック・レーン 著 斉藤隆央 訳 p126)
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