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当ブログでは令和の時代の真のヘルスケアについて述べていますが、今回は『食品業界は今日も、やりたい放題』(小藪浩二郎 著 三五館)をこれからの健康と毎日の食生活を考えるための一冊として取り上げたいと思います。
近頃、小腹が空いた時にコンビニエンスストアに立ち寄って、菓子パンやスイーツなどを買おうとすると、以前よりも含まれている食品添加物の種類が増えているのが気になりますが、小藪浩二郎氏の『食品業界は今日も、やりたい放題 食品メーカー研究者のあぶない話』は、普段、私たちが無防備に食品添加物を摂取していることを考えさせられる一冊だといえます。
また、危険な食品添加物を極力使わないように努力している良心的な食品メーカーもたくさんあることは十分承知していますが、本書を実際に読んでみて感じたことは、食品メーカーも添加物メーカーも、現行の法律や消費者が食品に対して無関心であることを隠れ蓑にして、いかに見た目を良くするか、コストが抑えられるか、美味しく出来るか、日持ちさせるか、ということばかりを優先させている可能性が高いということです。
そして、消費者の健康をそっちのけにしている現場の状況が、消費者の問題意識によって大きく変わらない限り、「食品業界は今日も、やりたい放題」なのだということです。
ところで先程、「私たちが無防備に食品添加物を摂取していることを考えさせられる」と書いたのは、たとえば、本書の「はじめに――放射能より恐い食品業界」で、著者の小藪浩二郎氏は、以下のように述べているからです。
「食品の安全性について、放射能より食品業界の〝やりたい放題〟ぶりのほうが悪影響を与えている」と書けば、読者はいぶかしく思うでしょうか。
東京電力福島第一原子力発電所の大事故で大気中に放出された放射性物質は農水産物を汚染し、その影響は日本国民すべてに不安を与えています。
安心を求める消費者は、自分で山地を選択するなど、放射能の影響を小さくできるようにおのおの努力・工夫されていることでしょう。
また、国や自治体も、それが十分かどうかはともかく、規制値などを設定し、また放射能を実際に測定して、「食の安全」を守る態勢をとっています。
こうした日本の状況を眺めながら、私は不思議に思うのです。
放射能に汚染された食品については神経質になるのに、それ以上に危険性を持つかもしれない添加物まみれの食品を平気で食べつづけることに不安を抱かないのはなぜだろう、と。
(小藪浩二郎『食品業界は今日も、やりたい放題』 p2)
また、本書の「おわりに―本当に大切なもの」には、以下のような一節があります。
本書をお読みいただいたみなさんにはおわかりのとおり、現在の法制度では、どんな不純物がどれくらい含まれているかもわからない添加物が食品に使われています。化学合成物でありながら「食品扱い」のため、表示の必要もなく使い放題な添加物があります。悪魔の脂肪酸「トランス脂肪酸」がどれだけ含まれていても問題なしです。
(小藪浩二郎『食品業界は今日も、やりたい放題』 p222)
食品添加物の実態は目隠しされていることが問題。
食品添加物の問題に関しては、消費者ひとりひとりが、食品添加物の危険性や問題点を知ろうとし、日頃から口にしている食品に対する意識を高めていくことは、もちろん大切なことです。しかし消費者側から見れば、食品添加物が使われている加工食品の多くは、一見、安心・安全であるかのように見せかけられていることも、非常に問題であるように感じます。
たとえば驚くべきことに、ファストフード店やスーパーマーケットなど、店内で製造・販売されているものや、コーヒーフレッシュのようにパッケージが小さいもの、あるいは栄養強化剤や加工助剤といった目的であれば、食品添加物が使われていても、食品衛生法で定められている「表示免除」によって、使用した食品添加物を表示しなくても良いのだといいます。
また、「添加物メーカーや食品メーカーは、「一つひとつの添加物を書くとたいへんで煩雑になるうえに、表示するスペースが大きくなる」と主張する」ためか、「PH調整剤」や「乳化剤」、「イーストフード」「香料」「酸味料」などは、添加物として使われている物質名を全て表示しなくても良いそうです(「一括表示」)。
そのため商品のパッケージ裏に「PH調整剤」や「乳化剤」とだけあっても、その名称の背後に何種類もの添加物が使われている可能性があるのだといいます。
食品添加物の多くは決して安全性が保障されているわけではない。
そのほか、本書『食品業界は今日も、やりたい放題』を読むと、
- タンパク質加水分解物
- 加工でんぷん
- 加工油脂(食用油脂)
など、それほど体に悪くなさそうな名称で、当たり前のように使われている食品添加物の多くは、決して安全性が保障されているわけではない、ということが分かります。
これらのことは食品業界の実態のうちのごく一部ですので、より詳しく食品業界の闇について知りたい方は、小藪氏による『食品業界は今日も、やりたい放題』を実際に読んでみていただきたいと思います。
なお、前回の記事でご紹介した『加工食品には秘密がある』(メラニー・ウォーナー 著 楡井浩一 訳 草思社)も併読していただくと、加工食品や食品添加物についてより理解が深まるように思われます。