普段からマスクや手洗いといった対策はしっかりしているものの、どういうわけか風邪をひきやすいなど、「免疫力の低下」が気になりませんか?
今回は、インフルエンザや感染症予防対策のために注目される「免疫力」を上げるには自律神経のバランスが大切であるということです。
免疫力アップの秘訣は自律神経のバランスであるということについては以前の記事でも述べましたが、日頃のストレスによって免疫力が低下してしまう理由のひとつは、交感神経が緊張する状態が続くことで、自律神経のバランスが崩れていくためだと思われます。
ちなみに自律神経とは、無意識のうちに体内の全ての調整を行っている神経で、「交感神経」と「副交感神経」から成っており、血管に巻き付くようにして全身に張り巡らされているものです。
アクティブな状態になったり、興奮したり怒ったりすると「交感神経」が緊張し、反対にゆっくりとした呼吸を行ってリラックスしたり、安全な場所でくつろいだりすると、「副交感神経」が優位になると言われています。
しかし自律神経の働きを司る脳の視床下部が、ストレスによる信号を認識し続けると、混乱が生じて自律神経の切り替えがスムーズに出来なくなるとされています。
また、視床下部には下垂体ホルモンを調節したり、体温を調節したりする役割もあるため、ストレス状態が長く続くと、結果的に体温を下げてしまうことになると言われています。
副交感神経が優位になりすぎても免疫力は低下する。
このようにストレスによって交感神経が緊張する状態が続くと、体温の低下によって免疫力も低下してしまう可能性が出てくるため、頑張り過ぎずにリラックスすることが時に必要になってきますが、かといって、家の中で食べ過ぎや運動不足の生活を送っていても、疾患のリスクは高まると言います。
それは主に鼻炎や皮膚炎などのアレルギー性の病気です。
副交感神経が優位になりすぎると、やはり体温は低下していき、今度はリンパ球の比率が高まっていきます。
リンパ球が多くなりすぎると、ダニやほこり、花粉などが体内に入って来た時に、本来敵ではないのに敵と見なして過剰反応を起こしてしまいます。そのことを「アレルギー反応」と呼び、くしゃみや鼻水といった症状として現れます。
副交感神経優位は食べ過ぎ、運動不足で起こり、活動量の低下が強いと、ついには循環量、代謝熱の低下によって低体温となるのである。このとき、副交感神経過剰優位症状も出てくる。徐脈、低血圧、低血糖、疲れやすさ、無気力なのである。筋力低下が来るので、姿勢が悪くなり腰痛になることもある。足がむくむことも多い。
(安保徹『免疫進化論』 河出文庫 24頁)
免疫力の低下を防いでより健康的な毎日を過ごすには、自律神経のバランスを整えることが効果的。
すなわち、ストレスの多い生活やダラダラとした生活ばかりを送っていると、自律神経の片方ばかりが優位になってしまうのです。
このことに関しては、例えば免疫学が専門の安保徹氏が『免疫進化論』のなかで、「多くの病気(七〇%くらい)は交感神経緊張側への偏りで起こるが、一部(三〇%くらい)は副交感神経優位側への偏りでも起こる」としています。
したがって、免疫力の低下を防いでより健康的な毎日を過ごすためには、自律神経のバランスを整えることが効果的なのだと考えられるのです。
たとえば日々の生活において、時間に余裕がなく、ストレス過多で交感神経が緊張しやすい生活を送っている場合はゆっくりとした呼吸やストレッチ、ヨガなどを、一方、家の中でテレビなどを見て漫然と過ごすことが多いという場合は、腕立て伏せやスクワットなどで筋力トレーニングを行なってみると良いと思います。
免疫力を高めるために大切なのは「バランス」を整えること。
なお、自然災害や気候変動、深刻な経済不況などによって、これまでは当たり前だった生活環境が危ぶまれるこれからの時代、免疫力を高めて健康を維持していくためには、「自律神経」をはじめとして、常にバランスを意識していくことが重要であると私自身は考えます。
このことに関して『免疫進化論』のなかで安保徹氏は、
「基本的には、三八億年かかってたどり着いた生命体である人間のからだが間違いを起こす、ということは稀であろう。むしろ、私たちの生き方の偏りが、防御系、調節系、循環系を乱し、病気をつくっているのではないだろうか」
とし、さらに、
「免疫力の強化の第一は、生き方の偏りを自覚し、自分で是正してゆくこと」
であるとも述べていますが、長い人生における健康維持のためには、常にバランスを意識していくことが重要であると考えられるのです。
また安保氏は『免疫革命』において、
やはり人間が充実した人生を送るためには、メリハリが必要です。積極性や気迫が必要なときもあれば、リラックスしてゆっくりと休息をとる時間も必要です。そのリズムのガイドラインとなるのが、日内リズム、気圧のリズム、年内リズムにあわせて生きるということではないでしょうか。興奮と休息がほどよい揺らぎで訪れるような生き方、それは自然のリズムにしたがって生きることであり、身体と心の健康を保つことに通じている、そう私は考えています。
(安保徹『免疫革命』280~281頁)
と述べていることは、これからの不安定な時代にこそ、問い直す必要があるのではないでしょうか?
すなわち、これからの免疫力を高める生き方としては、自分の体調はもちろん、気候や季節の変化を敏感に注意深く感じ取り、状況に合わせて臨機応変にバランスを整えるようにすることが必要になってくるように思うのです。
今回は、免疫力を上げるには自律神経のバランスが大切であるということについて述べてみました。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます(^^♪
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